旅のUDアドバイザー開講1周年記念 「当社の旅のユニバーサルデザイン」④ 共通の理解と理念でUD促進へ――デスティネーションアジアジャパン 渋谷 武明氏
2021年11月13日(土) 配信
「世の中のほとんどのバリアは、実は人間の力で超えられる」――。車イスで世界一周を達成した三代達也さんの言葉です。
今春、業界誌でケアフィット推進機構主催の旅のユニバーサルデザインアドバイザーについて知りました。これは重要な取り組みだと思い、コロナ禍の人数制限のなか、追加設定にて研修を実施していただきました。
事前に配布されたテキストの質が非常に高く、各項目の要点が適切な分量でまとめられており、それまでの漠然とした知識を整理することができました。
また当日の研修にて理解を深め実技も通して、接遇される側の気持ちについても実感することができました。三代達也さんとも研修会場でお会いでき、三代さんの著書「No Rain, No Rainbow 一度死んだ僕の、車いす世界一周」を読み、感銘を受けた言葉が冒頭に紹介した引用です。
当社は、欧米圏からの旅行者を主に取り扱うインバウンド事業に特化したDMC(デスティネーションマネジメントカンパニー)で、本部はバンコクにあり、アジア11カ国でオフィス展開しています。
CSRの取り組みとして、早くから動物保護や児童労働の撲滅、地域コミュニティへの貢献事業などをはじめ、持続可能な観光運営に取り組んで参りました。
昨年末に日本オフィスは、観光業における持続可能な取り組みを実現するための認証団体 “Travelife” のパートナーレベルを取得しました。旅のユニバーサルデザインについても責任ある観光を実現する企業活動として目指す方向はまったく同じであります。
現在、イギリスで先進的にインクルーシブツーリズムに取り組む「Inclu」社とパートナーシップを結び、当社がアジア旅行業界におけるユニバーサルツーリズムのパイオニアになるという目標をもって取り組んでいます。
「Inclu」社は「インクルージョンとは、Independence(独立)・Equity(公平・公正) ・Dignity(尊厳)」と言っています。
これは、障害の有無に関係なく、人としての基本的な態度です。つまり、根本的な理解の欠如が、誤解や偏見を生み、異なる態度を引き起こしてしまっているのです。
これまで障害のあるお客様の旅行のお申し込みはありましたが、対応するスタッフ個人の能力に依存することが多く、お客様の要望をきちんと理解し、十分な対応やサービスが提供できていたかは自信をもって回答することはできません。
コロナ禍によって、世界中の人々はこれまで後回しにされてきた問題に向かい合う機会となり、SDGsへの取り組みも高まっています。
当社は、今後スタッフ全員へのトレーニング実施やケアフィット推進機構様との協働などを通じて、全社員が共通の理解と理念をもって持続可能な観光運営のもと、ユニバーサルツーリズムの促進に取り組んで参ります。