21年の宿泊業倒産は86件 負債前年比2・4倍の1396億円(東京商工リサーチ)
2022年1月25日(火) 配信
東京商工リサーチがこのほど発表した2021年(1~12月)の宿泊業倒産は、前年度比27・1%減の86件だった。100件を割り込んだのは19年の75件以来2年ぶり。このうち、新型コロナウイルス関連倒産は47件で、宿泊業の倒産の過半数(54・6%)を占めた。発生件数は2年ぶりに前年を下回ったが、負債総額は前年比2・4倍の1396億円と、直近10年間で最大となった。
21年4月に特別清算の開始決定を受けた東京商事(東京都、負債1004億8300万円)が、宿泊業では14年ぶりの負債1000億円超えの大型倒産となり、負債総額を押し上げた。
21年通期の宿泊業倒産は、原因別では「販売不振」が67件で、構成比は67・7%と全体の8割を占めた。
負債額で見ると、10億円以上が11件、5億円以上が7件、1億円以上が37件、5000万円以上が10件、1000万円以上が21件。前年に比べ、小規模倒産の割合が高まった。
地区別では、9地区すべてで宿泊業の倒産が発生した。関東の23件が最多となり、中でも栃木県が6件と、東京都(5件)を上回った。次いで、中部17件、九州15件、近畿10件、東北8件、中国7件、北海道4件、北陸と四国が各1件ずつとなった。
同社が20年12月に行ったアンケートでは宿泊業の81・8%が「債務の過剰感がある」、「債務過剰となった」と回答した。同社は、「全業種の中で宿泊業の回答比率が最も高かった。オミクロン株の感染急拡大により、宿泊業の息切れ倒産を増加させる恐れがある」と危機感を露わにしている。