test

「インバウンド3.0」へ、全産業が訪日に関わる将来(観光立国フォーラム)

パネルディスカッションのようす
パネルディスカッションのようす

 ドン・キホーテグループの訪日事業部門「ジャパンインバウンドソリューションズ」(中村好明社長)は10月7日、東京都内で「観光立国フォーラム」を開いた。「観光立国革命!~インバウンド3.0の衝撃!~」をテーマに据え、すべての産業が訪日客と関わる観光の将来について語った。

 中村氏は、小泉内閣が観光立国のコンセプトを打ち出した2000年代を「インバウンド1.0」の開始とし、当時を「狭義の観光の時代」と位置付けた。運輸・宿泊・旅行会社など、観光振興が狭い範囲で注目されてきたことに起因する。

 「広義の観光」化したのは免税制度改正の昨年10月からで、この変化を「インバウンド2.0」とした。「2.0」は「爆買い」で代表されるショッピングツーリズムのように、観光が商業者など広い業種に影響を与えるようになり、同時に都市中心の観光が地方にシフトした時代を指す。

 中村氏は観光の今後あるべき姿を「インバウンド3.0」とし、「日本のすべての産業がインバウンドに関わる時代」と定義した。「観光による不動産投資が進めばさまざまな業種が潤う。行政も全部署が関わるようになり、全地域がインバウンドの対象になる。最終的にプロのおもてなしだけでなく、全国民のおもてなしも必要になる」と持論を展開した。

 観光庁の大石英一郎観光戦略課長は基調講演で「新3本の矢では『成長』に注目する。その成長戦略の大きな要が観光政策だ」と述べた。大石氏は過去に鉄道事業課で地域鉄道、海事局内航課で離島航路やフェリーなどを担当。「どの部署でも観光に関わる仕事がある。とくに公共交通分野は人口減少のなか、交通を維持するために交流人口を考えていかなければならない」とし、観光政策の重要性を強調した。

「日本版DMO」「本質的な交流」――、インバウンドが日本を変えるために必要なもの。

 フォーラム後半は「インバウンドが日本を変えていくために必要なものは何か?」をテーマに、観光の最前線に立つ人物らがパネルディスカッションを行った。

 地域連携事業を進める感動創造研究所プロジェクトマネージャーの岡本淳芳氏は、地域の訪日誘客について「各地域が持つ物語は小さなものが多く、インバウンドの心を揺さぶるほどの物語を作るには地域連携は必須。資源を開拓し、磨き上げて商品を作りつなげていき、さらに宿泊やショッピングにもつなげ、『集中と選択』の投資を戦略的に進めなくてはならない」と語った。

 一方で現状の地域連携は「横並びの状態で、共同でプロモーションするにとどまっている」と述べた。これを打破するには日本版DMOが必要で、「戦略的に鳥の目で広域を見ながら、かつ虫の目で地域の価値を汲み上げていく受け皿が求められる」と強調した。

 ゲストハウス運営や開業支援コンサルティングを行う宿場JAPAN社長の渡邊崇志氏は、「(交流が無ければ)高級ブランドが目的の買い物客は、ほかにお店ができると流れてしまい、金銭に余裕が無くなれば来なくなる」と、訪日対応に本質的な交流の質が高められているかを会場に問いかけた。渡邊氏が館長を務めるゲストハウス品川宿は「利用客との交流の質を高めた結果、ファンが増え、店や人を尋ねてくるほど交流が深まり、街に対しての感謝のメッセージを送ってくれる人もいる。今は広告なしで人が集まるようになった」と語った。

いいね・フォローして最新記事をチェック

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。