test

プレミアムフライデー ― 終わりなき残業よりも遊んで豊かに

2017年2月11日
編集部

 2月24日から「プレミアムフライデー」が始動する。

 官民が連携して、毎月末の金曜日は早期退社を推進する。給料日後のため、買い物や飲食、週末へと続く旅行など豊かな時間を多くの人が過ごすことによって、消費を喚起していく運動だ。経済産業省が提唱し、観光庁も乗り出した。観光産業に追い風になると期待されている。

 旅行会社やホテル・旅館、レジャー施設、飲食店などはいち早く「プレミアムフライデー」に対応した商品を企画し、積極的にPRしている。ニッポンレンタカーは毎月末金曜日の午後5時から月曜日の午前9時まで、最大64時間利用できる割引プランを企画。2万1060円のコースが、約37%の割引で1万3284円と、お得感を打ち出している。

 宿泊施設や旅行商品も、ドリンク無料サービスなど、多種多様な特典を付けている。

 DeNAトラベルは、会社に勤務する25―69歳の男女509人を対象にプレミアムフライデーに関する調査を実施した。これによると、「導入予定」は全体のわずか2・2%。一方、最も多かったのは「導入予定なし」で55・0%。続いて「分からない」が39・5%。「勤め先が導入したらどう思うか」では、「とてもうれしい」が43・6%、「ややうれしい」が23・6%と全体の3分の2が肯定的に捉えている。「導入されると、アフター3は誰と過ごしたいか」(複数回答)では、トップは「パートナー」(50・1%)。次いで「1人」(48・1%)、「友人」(45・6%)――の順となっている。

 「何をして過ごすか」(複数回答)では、「旅行」(70・9%)が、「買い物」(36・0%)や「外食」(33・6%)の約2倍と、圧倒的に多かった。一方で消費とはあまりつながらない「自宅でゆっくり」も46・4%あるのも見逃せない。

 旅行を選択した人に「どこに行きたいか」(複数回答)では、①台湾(17・3%)②韓国(12・8%)③沖縄(9・8%)④北海道(8・3%)が人気を集めた。

 企業側では、これまで「失恋休暇」などユニークな制度を導入してきたサニーサイドアップ(次原悦子社長、東京都渋谷区)がプレミアムフライデーに賛同している。毎月末金曜日は就業時間を午後3時までとし、それ以降は社内会議や行事を行わない。さらに、初回の2月24日には、非正規雇用社員を含む全スタッフに、支援金として3200円を支給するという徹底ぶりだ。同社のスローガンは “たのしいさわぎをおこしたい”。次原社長は「プライベートが充実すれば、より良い仕事に結びつく」とし、仕事の生産性向上にもプラスに作用すると捉えている。

 このプレミアムフライデーは経産省が、「もっと遊べ、もっと旅行しろ、人生を楽しんで国を豊かにしてくれ」と民間企業に対しても積極的に早期退社を推奨し、旗を振っているところが逆説的に映って面白い。今後、広く浸透し、定着するかは未知数だ。「月末の目が回るような忙しい時期に冗談じゃない!」という声が、多くの企業の現場から聞かれるだろう。しかし、日本人はやはり働き過ぎである。終わりなき残業でダラダラと深夜まで働くより、個々の豊かな時間が全体的に増えて、なおかつ経済が活性化した方がいい。

(編集長・増田 剛)

いいね・フォローして最新記事をチェック

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。