復興庁が選考会を実施、外国人審査員がグランプリ選出
2017年11月8日(水) 配信
復興庁は11月7日に、東北の認知度向上のため「外国人による東北投稿選考会」を開いた。SNS(交流サイト)発信が目的の部門で「TOHOKU BREWING Tourism―歴史と伝統を醸し出す旅―」がグランプリとなった。外国人ユーチューバーによる動画制作が目的の部門では、「東北における訪日外国人の周遊観光促進に向けたバス路線の活用」がグランプリに選ばれた。11月末に外国人審査員らがツアーを体験。それぞれの媒体で世界に広く発信していく。
復興庁が官民連携で進める「新しい東北交流拡大モデル事業」に採択された、旅行会社や出版社など全11事業者が参加。審査委員は欧米豪のほか、東南アジア出身の在日外国人ら、計18人で構成された。日本酒やハラル対応、富裕層向けなど、個々の事業者が特色を出し、魅力を伝えた。
審査員に外国人を起用し、部門をSNSとユーチューブに分けたことには狙いがある。東北観光復興の課題の1つは訪日外国人客。16年度の訪客宿泊者数(約73万人泊)は全国の1%程度と、需要を取り込めていない。
これまでのプロダクトアウト型ではなく、マーケットインを軸にコンテンツを磨き上げるため、外国人を委員に選定。外国人目線でSNSやでユーチューブを通して発信することで、新たな層に訴求力を高める考えだ。
SNSの「外国人視察先選定」部門の審査員を務めたルース氏は「数多くのアイデアがあり、選出は難航した。ポイントになったのは『東北にこんなコンテンツがあるのに、世界に広めないのはもったいない』という視点だった」と審査を振り返った。
SNS部門でグランプリとなった東北七新聞社協議会の事業は、日本酒などの魅力発信がテーマだ。新聞社の記者らが地元の酒蔵で、訪客の受け入れに対する課題などをヒアリング。地域に密着し、解決を模索しながら造成した旅行商品となっている。
同協議会の宗像恒成氏は「酒蔵などを巡り、日本酒に対する深い知識を得てもらいたい。人の往来が増えることで、地域活性化にもつながる」と意気込みを語った。
一方、「外国人Youtuber取材先選定」部門のグランプリとなったJTB東北の事業は、バス路線を活用。19の事業者が連携し、1万円で4日間高速バスが乗り放題になる。震災があったホテルを訪れる一方、岩手県宮古市の「鮭・あわびまつり」など、前向きに立ち上がっているところを体験することができる。
同部門の審査員に、在日外国人のユーチューバーが参加。アンジェラ氏(ニュージーランド出身)はチャンネル登録者数14万人ほど、アラン氏(台湾出身)は約18万人で、彼らが発信する動画の影響は大きい。
それぞれ審査員らは2部門のグランプリ、準グランプリの計4つを11月25~27日に体験。SNSとユーチューブで、担当部門のプランを海外に発信していく。今回の事業を含め、復興庁は「新しい東北」の取り組みを推進し、18年2月ごろに成果を報告する見通し。
なお、SNS部門の準グランプリは近畿日本ツーリストが、ユーチューブ部門はダイヤモンド・ビック社が受賞した。