旅館は4万軒割れ 簡宿2390軒増、民泊影響か 2017年3月末時点、厚労省まとめ
2017年11月10日(金) 配信
旅館軒数初の4万軒割れ――。厚生労働省が10月26日に発表した2016年度「衛生行政報告」によると、2016年度末現在の旅館営業軒数は前年度比2・9%減の3万9489軒。1年間で1172軒減少し、4万軒を割り込んだ。
旅館軒数の減少に対し、前年度と比較して大幅な伸びを示したのが簡易宿所だ。同8・8%増の2万9559軒となり、昨年の2万7169軒から2390軒増加した。16年4月に簡易宿所の営業許可要件の規制緩和が行われたことが影響しているとみられる。18年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されるが、現状では合法的に民泊サービスを行うために簡易宿所の許可を得ていることが考えられる。旅館軒数との差は9930軒にまで縮まっている。
ホテル営業軒数は、同1・3%増の1万101軒となり、134軒増加。訪日外国人観光客の急増に伴い、外資系ホテルが矢継ぎ早に開業していることなどが、増加要因の1つとして考えられる。
客室数でみると、旅館は前年度比9694室減の69万1962室となった。ホテルは同2万3478室増の86万9810室と大幅に増加し、ホテルと旅館の客室数の差は17万8千室近くと、その差は広がり続けている。
都道府県別にみた旅館軒数は、静岡県が2697軒で最も多く、以下は、②長野県(2240軒)③北海道(2218軒)④新潟県(1883軒)⑤福島県(1363軒)⑥三重県(1360軒)⑦栃木県(1273軒)⑧山梨県(1260軒)⑨東京都(1246軒)⑩千葉県(1155軒)。前年6位だった福島県が、三重県を抜いて5位に浮上した。
一方ホテル軒数の上位は①東京都(693軒)②北海道(673軒)③長野県(510軒)④兵庫県(428軒)⑤大阪府(421軒)⑥福岡県(403軒)⑦沖縄県(386軒)⑧静岡県(376軒)⑨埼玉県(373軒)⑩神奈川県(336軒)――の順になった。前年5位の福岡県と6位の大阪府の順位が入れ替わったほか、前年8位の沖縄県が静岡県を抜いて7位となった。
政令指定都市の旅館軒数は、大阪市が376軒と1位。以下は②京都市(368軒)③名古屋市(245軒)④熊本市(179軒)⑤浜松市(153軒)。
一方ホテル軒数は、①大阪市(342軒)②京都市(182軒)③札幌市(180軒)④福岡市(174軒)⑤横浜市(138軒)。