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静岡県富士山世界遺産センター、23日開館 館内概要紹介

2017年12月22日
編集部:平綿 裕一

2017年12月22日(金) 配信 

静岡県富士山世界遺産センター
水面に“富士山”が見事に映る

古くから「信仰の対象」となり、「芸術の源泉」として数多くの芸術作品を生み出しきた富士山。2013年に世界文化遺産に登録され、改めてその価値を後世に守り伝えるため「静岡県富士山世界遺産センター」が17年12月23日(土)に開館する。総事業費は約41億円。年間で県内から18万人、外国人ら含む県外からは12万人の、計30万人の来館者を見込む。

 設計者は坂茂氏。建物は展示棟を中心とし、北棟と西棟の計3つ。展示棟は木格子の外壁を持つ、特徴的な“逆さ富士”の建物だ。木格子は富士山麓で育った富士檜を使用。館内にはその香りが漂う。前面に日本最大級(約2300平方㍍)の水盤を配置。水面に逆さ富士が映り込むと、“富士山”の姿が現われる。今後はライトアップも計画しており、地元の新たな名所にしたい考え。

湾曲する壁面に映像を流す

 展示棟内部にある螺旋型のスロープ(全長193㍍)を登ると、壁面に映る映像で富士登山を疑似体験できるようになっている。湾曲する壁面に映像をしっかりと映すため、最大で8台のプロジェクターを使用するなどとくに力を入れる。最上階の展望スペースは、富士山を正面に捉えており、圧巻の景観が広がる。

 「永く守る」「楽しく伝える」「広く交わる」「深く極める」の4本柱で、富士山を多角的に紹介。螺旋型スロープ以外では、“荒ぶる山” “聖なる山” “美しき山” “育む山” “受け継ぐ山”の5つの常設展示を用意した。それぞれで富士山の歴史や信仰、芸術、文化、自然などを学べる。

最上階の展望スペースは、圧巻の眺望

 美しき山では芸術と文学を扱う。スクリーンに実寸大の屏風を映すなど、より本物に近い作品を体験してもらえるようこだわった。展示スペースにあるモニターは、タッチパネルで操作性を向上。旺盛な訪日需要にも対応させた。一部を除きすべてワンタッチで多言語化(日、英、簡・繁体、韓)できる。このほか、西棟の企画展示室では年4回ほど開催。開館に合わせ、記念特別展示「富士山の曼荼羅」を23日から始める。

 北棟の目玉は4Kシアター。富士山の春夏秋冬の移ろいや、登山者の姿など、265インチの大画面に高画質な映像を流す。ナレーションは一切いれず、映像美のみで勝負する。

 1階にあるカフェでは、静岡県の地産地消をコンセプトにメニューを揃える。富士山からの湧水を使用したコーヒー(200円)や、静岡の素材を使用したホットドック(500円ほど)などを用意。地域産品の他、地元デザイナーによる雑貨なども販売する。

 開館時間は午前9時から午後5時(夏季は6時)。入館料は個人が300円で、団体(20人以上)は200円。大学生以下と、障害者などは無料となる。車では、新東名高速道路新富士ICから約10分。電車は、JR身延富士宮駅から徒歩8分ほど。

地元デザイナーの商品も

 車・バスでの来館者のため、道路標識を17個増設し、富士急静岡バスでは、最寄りバス停を新設。新規路線「新富士駅~富士山世界遺産センターアクセス線」の運行を開館日に合わせ始める。詳しくは下記URL。また、近くには「富士宮神田川観光駐車場」を整備。普通車96台、バス20台に対応する。

所在地:静岡県富士宮市宮町5―12

TEL:0544(21)3776

富士山本宮浅間大社も隣接

富士山本宮浅間大社の拝殿

 静岡県観光協会は2017年12月6日(水)に「静岡県富士山世界遺産センター」の内覧会を行い、隣接する富士山本宮浅間大社も視察。富士山は25の構成要素から世界遺産に認定されている。今回訪れた富士山本宮浅間大社もその1つとなる。

 富士山は過去に何度も噴火が起こっている。これらを鎮めるため、浅間大神を祀った神社が浅間神社。富士山本宮浅間大社は全国1300社ほどある浅間大社の起源で、総本宮となる。1300社もある浅間大社は、富士山信仰の普及から各地で増えたとされている。

 源頼朝・北条義時・武田信玄勝頼親子らが崇敬を寄せていた。とくに徳川家康は手厚く保護し、現存する社殿を造営した。本殿は全国でも珍しい2階建ての楼閣作り。これまで国宝や重要文化財として保護されてきた。

2階建の楼閣作り

 なお、富士山の8合目以降は富士山本宮浅間大社の境内地。8合目以降という基準は、富士山の火口が200㍍ほどで、これがちょうど8合目辺りだからだと言われている。

 境内にある富士山の水が湧く「湧玉池」は国の特別記念物に登録。湧玉池は池の面積は約2500平方㍍、年平均毎秒2・1立方㍍の水量がある。富士山登山者らが、登山前の水垢離(みずごり)を行っていた場所。この霊水に禊ぎをして、登山する古くからの習わし。

 今後は同センターとも協力体制を敷き、宝物などの企画展も計画していく方向だ。

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