不思議な時間を犬山で 個性的な4施設を巡る
2018年6月8日(金)配信
愛知県犬山市は現在、若い女性を中心に三光稲荷神社のハートの絵馬などが「インスタ映えスポット」として注目されている。また、国宝「犬山城」は昨年約57万人の入城者があり、今年は昨年を上回る人が訪れている。一方、五感で楽しめる博物館や独特の世界観が広がる神社、世界最多種を飼育するサルだけの動物園など個性的な施設が多いことは、あまり知られていない。犬山市観光協会は5月16―17日、プレスツアーを行い、市内の観光施設をPRした。
2・5㌔の世界旅行
「野外民族博物館リトルワールド」は、1周2・5㌔の園内に23カ国、32の家を展示。建物を移築できない場合は、現地から材料を運び、大工を招いて形態復元を行っている。大規模な修復の場合も、やり方は同じとのこと。建物を巡りながら、国ごとの家の構造や、生活習慣と間取りの関係性などを実感できる。本館では世界中で収集した約4万5千点の民族資料の中から、常時約6千点を展示。死生観や文化などが多角的に学べる。
博物館でありながら、各国の民族衣装を着て記念写真が撮れたり、土産が買えたりと、世界旅行気分も存分に味わえるのも魅力。とくに園内で楽しめる食事は日本人になじみ深いものだけではなく、アフリカで食べられているワニやラクダなど珍しい食材にも挑戦できる。園内では定期的に食のイベントも開かれ、7月1日までは、「ワールドスイーツフェア」が開催中だ。
「明治」をテーマに時間旅行
1965年に開村した明治建築を保存展示する野外博物館「明治村」。夏目漱石が「吾輩は猫である」を発表した「森鴎外・夏目漱石住宅」や「西郷從道邸」など67棟の建物が移築されており、うち11件が重要文化財に指定されている。「建物ガイド」からは、見どころのほか、住人や家のエピソードなどを聞くことができる。また、映画「春の雪」やNHK朝の連続テレビ小説「半分、青い」などさまざまな映像作品の撮影も行われており、ロケ地巡りも楽しめる。広大な敷地内では、鉄道開業から2年後の1874年、イギリスから輸入され新橋ー横浜間を走った「蒸気機関車12号」が現役で走行中。車窓からは、帝国ホテルなどが一望でき、小さな旅情感を演出してくれる。
明治村では、芝居小屋「呉服座」で寄席を上演するなど、本来の雰囲気を生かした企画も話題。謎解きなど若者に人気の題材も取り入れ、入園者を増やしている。
桃太郎は犬山生まれ?
市の木曽川沿岸には、桃太郎誕生地伝説があり、鬼ヶ島や坂祝など伝説にゆかりのある地名も多い。「桃太郎神社」の境内には、桃太郎や鬼などのコンクリート彫刻が約20体あり、宝物館には、きびだんごを作ったとされる臼や杵、火事で焼失してしまった鬼のミイラの写真などの資料が展示されている。地元では子供の健康を祈る神社として信仰され、桃の鳥居をくぐれば、「悪は去る(猿)、病いは去ぬ(犬)、災いは来じ(雉)」とも。
世界中のサルに会える動物園
世界最多種約60種900頭のサル類を飼育する、「日本モンキーセンター」。国内で唯一大学教授が運営の中心を担い、研究施説としての顔を持っている。
おすすめは、人付け(観察者の存在に慣れ、人がいても自然な行動を取る)をすることで、普段は見ることが難しい自然な表情や動作を堪能できる2つの施設。「リスザルの森」ではリスザル16頭が生活し、虫を捕獲する姿や木々を跳ね回る姿を見せてくれる。「Waoランド」では、ワオキツネザルの群れの暮らしぶりを間近で観察できる。