阪急交通社が豪華バス「クリスタルクルーズ菫」を本格導入
2019年4月2日(火) 配信
阪急交通社(松田誠司社長)は4月から、豪華バス「クリスタルクルーザー菫」の運行を開始した。高級感をテーマにしたバスの導入は同社初で、高級旅行ブランド「クリスタルハート」で売り出す。コンセプトは「バス乗車を楽しむ」。快適なシートの提供や、シニア層に向けた商品に注力している。
同社は3月18日(月)、東京プリンスホテルで会見を開いた。松田社長は、同社のツアーでビジネスクラスやグリーン車、グランクラスの利用が増加しており、豪華客船クイーンエリザベスの売上は2年間で4倍以上と近年の高級志向を説明した。「バス旅行もお客様からのニーズに敏感に対応して、満足度の高い商品を企画しなくてはいけない」と同バス導入の理由を語った。
同バスはKEN OKUYAMA DESIGNの奥山清行社長がデザインとネーミングを手掛けた。“菫”は「旅に彩りを添えてほしい」という同社の願いを込めて採用した。
座席は全18席。腰掛部分に布生地を使用することで、快適な座り心地を提供する。また、アームレストなどに本革を使用し、高級感を演出している。外観は、阪急グループの「宝塚歌劇団」の“華やか”と“ゴージャス”をイメージし、デザインした。また、阪急電車と同じカラーを採用。開発を指揮した、堤真也執行役員は「地域に愛着を持てるデザインに仕上げた。座席にはとくにこだわった。添乗員とガイドは特別に設けた研修を受けた。優雅でゆったりとしたバス旅を楽しんでほしい」と自信を覗かせた。バスの運行・管理とガイドなどの派遣はケイエム観光バスが担当する。
今後の展開について松田社長は「海外の現地観光もバス利用が多い。現地バス会社と協力して、高級バスのツアーを造成していく」と高級バスに注力する考えを示した。
目玉商品として「日本一周の旅」の東日本編と西日本編を用意している。東日本編は、東京から日光(栃木県)や函館(北海道)、月岡温泉(新潟県)、白馬(長野県)を巡る。価格は2人1室で1人当たり98万円(税込)。シニアの夫婦や、友達、1人旅にターゲットを絞っている。
また、同バスに乗車し、星野リゾートの界に宿泊する商品も売り出す。同商品はコラボレーション企画で、堤氏は「界のコンセプトである『地域の魅力を再発見。心地よい和にこだわった上質な温泉旅館』が菫の考えと合致したため」と企画主旨を説明した。
□車内のようす
車内の座席は2列シートと1列シートを配置している。座席間隔は1220㍉で、最大129度まで傾けられる。レッグレストとフットレストを装備しているので、ベッドのように使用できる。座席全体の一部にリクライニングのためのスペースを用意。後ろの座席の人への気遣いは不要だ。また、バス上部荷物棚は撤去し、広い眺望を確保した。着席した座席と逆側の車窓も十分楽しめる。荷物は座席前の「『菫』オリジナルシェル」に収納可能だ。トイレは大変広く、洗面台と鏡を装備している。コンセントとUSBポートを各座席に複数配置している。イヤホンを使用すれば、音楽鑑賞が可能。落ち着いた音楽を用意する予定とのことだ。