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「津田令子のにっぽん風土記(49)」仲間とともに賑わいの拠点を作る~ 岐阜県岐阜市編 ~

2019年5月16日(木) 配信

倉庫改修のようす。できるところは自分たちで

 

 岐阜市の長良川北岸、長良川鵜飼の鵜匠の家などがあるエリアに、今年の鵜飼シーズンが始まる5月11日、「&n」(アンドン)がオープンする。木材店の倉庫を改装した建物で、カヌーや和船に乗る体験プログラムの事業者やバー、コワーキングスペース、家具店などさまざまなテナントが順次入居するものだ。企画・運営は、地元在住の建築家、旅館経営者、デザイナーなど13人による「長良川リバースケープLLP(有限責任事業組合)」が行う。この地域はかつて夏になると泳ぎに来る住民や観光客でにぎわっていた。しかし今は泳ぐ人もほとんどおらず、営業する店舗も減ってきた。「この地域を活性化させたい」と、長良川リバースケープに参加する関愛子さんは話す。

長良川リバースケープ 関 愛子さん

 
 関さんは、岐阜を拠点に岐阜ならではのワークショップを企画する「ぎふのふ」代表を務める。東京都出身だが「基本的に転勤族」で「人生の半分は田舎暮らし」だった。北海道や三重、そして直近ではスイスに住んでいたが、2017年に帰国。その後は岐阜に暮らすことになった。初めて岐阜を訪れた関さんは、長良川河畔の金華山を望む景色に魅了される。

 
 スイス滞在中に「旅行者に画材を貸す仕事はどうだろう」と考え、岐阜で暮らすうち「ここで貸せばいい」とアイデアが浮かんだ。また、使わなくなった画材をリユースすることで、環境にやさしく、アートの好きな人が続けやすい環境をつくる、持続可能なアートの活動にも取り組みたいと考えた。

 
 関さんは長良地区で活動する人々の集まる「長良会」にも参加している。ここでアートに関心のある建築家の協力を得て、まずは「長良川おんぱく」というイベントで、地元の画家とともに長良川河畔で絵を描くプログラムを実施した。

 
 活動するなかで「常設の拠点がほしい」と思い始めた。長良会のメンバーにも「バーがほしい」などそれぞれに思いがあった。そんなとき、閉業する木材店から、倉庫の活用方法の相談があった。初めて入ったとき「こんなに広いのか」と思い、「遊びではできないと本気になりました」と関さん。長良会のメンバーらにより、長良川リバースケープLLPが立ち上げられた。

 
 工事費用についてクラウドファンディングを行い、108万6500円が集まった。「長良川が楽しく遊べる場所になるといいと思います。アーティストが気分よく描ける場所でもあってほしいですね」と語る。

 

コラムニスト紹介

津田 令子 氏

 

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

 

 

 

 

 

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