「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(5月号)」
2020年5月23日(土)配信
〈巻頭言〉
今から10年前、くしくも日本の経済産業省が海外での日本ブームを追うように「クール・ジャパン室」を設置した2010年6月に、本誌はフランスで産声をあげました。私たちは新しい媒体作りにあたり、ブームをあおる記事ではなく、フランスの人々に日本に関する新しい知識、そして日本について考えるきっかけを与えられる雑誌作りを目指しました。手探りで始めたフリーマガジンは支持され、現在は欧州6カ国に読者を持つメディアとなりました。第100号はCOVID-19感染拡大の影響下で、予定よりも大幅に内容を縮小したものの、節目となる号を出版できたことを感慨深く受けて止めています。この10年間、本誌を支えてくださった広告主様始めご協力くださった多くの方々、そして私たちの誇りでもある大勢の読者にこの場を借りて御礼申し上げます。
(編集長 クロード・ルブラン)
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□特集 東京特集
多くの媒体が過去に何度も東京にスポットを当ててきたが、常に変化を続けるこの巨大都市は、何ページ割いても語り尽くせない多面性を持っている。これまで、比較的フランスで知名度の低い地域を紹介することを優先し、意図的に東京の情報発信に制限をかけてきた分、創刊10周記念の特別企画で大々的に取り上げる予定が、直前になってCOVID-19のパンデミックによりやむ無く軌道修正することとなり、予定のほぼ半分のボリュームでに納まった。■世界一人口が多い都市でありながら安全で、交通の便も優れ、居心地もいい。また、その建築技術の高さが世界の建築家たちを虜にする東京。だが裏を返せば歴史ある建物の解体と新築を繰り返す「建築ラボ」でもある。他都市にない稀な魅力と、街の姿を過容赦なくリセットする非情さが同居するのもまた東京らしさだろうか。■山手線と新駅を知る。■地下鉄南北線に乗って東京生活を体験。■壬生篤氏が誘う時間旅行、永井荷風の足跡を求めて下町を歩く■葛西育ちの建築家・関口雄三氏に聞く東京湾の移り変わり。■釣りの名手の仕事場は隅田川。■阿佐ヶ谷で見つけた東京の味、伝統の和菓子。■小津映画風に、はとバスにのって東京再発見。
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□〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉100号出版後記
おかげさまで本誌は創刊10周年を迎えました。今月号は、編集部にとって特別なナンバーです。どんな形で協賛団体や読者に感謝を伝えるかを課題に準備を進め、素材がそろったところでCOVID-19の感染拡大により国全体がロックダウン。多方面の活動制限によって、本誌も経済的大打撃を被りました。それでも100号目を出版したいという私たちの思いに迷いはなく、赤字覚悟の刊行を決定。とはいえ、経費をどう捻出し、配布ポイントの閉鎖をどう乗り切るか。そこで、読者に第100号を1部5ユーロ(約580円)で予約してもらうことにしました。10周年記念ポスターが付いているものの、郵便代としては些か高い金額。予約受付は支援の呼び掛けです。年間購読者以外の、その実態がつかみにくい「無料ピックアック」を習慣とする読者層がお金を払ってくれるのか。結果は編集部の予想を上回り、連日届く予約と出版の継続を願う声に、万感の思いがこみ上げてきました。これらは、多くの人々が日本を求め続けている証です。この希望の光を絶やさぬよう、苦境においても私たちは創刊時と変わらぬポリシーで活動を続け、これからも皆様の広報のお役に立てることを願っています。
フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉