【香港】ハイテクを駆使して安全性を確保 JATAのアウトバウンド促進協議会「B2Bウェブセミナー」
2020年6月5日(金) 配信
日本旅行業協会(JATA)のアウトバウンド促進協議会(JOTC)が6月3日(水)に開催した「B2Bオンラインセミナー」で、香港政府観光局が新型コロナウイルス対策の現状や、今後の観光客受け入れなどについて発表した。
香港の新型コロナウイルス感染者の累計は1085人で、すでに1037人が退院している(6月1日午前11時現在)。香港政府観光局の山本恵美氏は、香港の公共の場での衛生管理について、「ハイテクを駆使した安全性の確保をすでに始めている」と述べた。
□公共交通施設に除菌ロボット配備
香港国際空港には「インテリジェント殺菌ロボット(ISRs)」を配備し、紫外線、360度スプレーノズル、エアーフィルターを組み合わせて、細菌やウイルスの殺菌を行う。香港で開発されたこのロボットはこれまで、病院で使われてきたといい、「今回、世界で初めて空港で使用している」と紹介した。
香港の地下鉄MTRでは、車内に除菌ロボットを配備。過酸化水素ガス(VHP)ロボットが車両や駅を除菌する。このほか、エアコンフィルターは頻繁に洗浄、交換し、接触頻度が高い券売機やエレベーターのボタン、手すりは、2時間置きに漂白剤で消毒を行う。
観光で利用することもある2階建てバスは、車内と各停留所に消毒液を設置。フロアマットは漂白剤を浸し、乗車時の靴の消毒を実施している。
□対象者別にガイドライン作成
香港衛生署衛生防護センターは、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを作成し、同センターのサイトで公開している。一般的な衛生対策のほか、「旅行者と帰国者」、「医療専門家」、「教育機関と学校」などに分け、さらにシーンや対象者を細かく分類し、それぞれに適した対策を紹介している。
「ビジネスと職場」の項目では、ホテル産業向けの予防と健康上に関するアドバイスがなされ、「手指の消毒は70%以上のアルコールを使用する」や「ソーシャルディスタンス(社会的距離)に基づいたレストランのテーブルの配置」など、詳細なアドバイスが記されている。
「SARS(重症急性呼吸器症候群)の時の経験を生かし、厳しい対策の内容が記されている」と山本氏は説明した。
□観光地の再開状況
香港では次の観光地やイベントが再開している。
文武廟(開館時間は午前10時~午後3時30分)、黄大仙、ゴンピン360、香港観覧車、マダム・タッソー香港、スカイ100香港展望台(営業時間は午前11時~午後8時)、シンフォニー・オブ・ライツ(毎日午後8時~開催)、香港歴史博物館、香港文化博物館、香港美術館など。
□日本―香港間の規制
日本から香港、香港から日本への規制について、それぞれの政府の対応について報告した。
【日本→香港】
日本政府
感染症危険情報「レベル3(渡航中止勧告)」、危険情報は全世界を対象に「レベル2(不要不急の渡航は止めてください)」を発出。
香港特別行政区政府
外国人の入境は9月18日(金)まで禁止。香港国際空港でのトランジットは、同航空会社間に限り可能。
【香港→日本】
日本政府
香港・マカオを含む過去14日以内に滞在歴のあるすべての入国者に対してPCR検査を実施。指定する場所(自宅やホテルなど)で14日間待機し、到着後は公共交通機関の不使用を要請する。
山本氏は「双方向の規制が解除されて、初めて香港への販売促進の体制がスタートできる」と述べ、香港政府観光局ではこの情報を注視していく考え。最新情報について、旅行会社からの問い合わせに応じるとした。
また、同観光局が運営する旅行会社専用サイト「香港パートナーネット」に登録すると、イメージ写真のダウンロードのほか、統計の閲覧やイベント検索などができる。