ワーケーション意識調査 会社員と経営者の5割超が意欲的 受入自治体は懸念の声も 日本旅行
2020年9月3日(木) 配信
日本旅行はこのほど、会社員・経営者・自治体職員を対象とした「ワーケーション」に関する考え方や、意識、取り組みの実態を調べた。調査によると、会社員の6割が「ワーケーションに取り組んでみたい」と答え、経営者の5割近くが既にワーケーションを実践していることが分かった。一方で、地方自治体職員の3割が「地元活性化の効果が期待できる」と答えたが、環境の整備に関する懸念の声も上がった。【馬場 遥】
□調査結果
調査は、日本旅行(堀坂明弘社長)、ウェルビーイング・ジャパン(野口茂一社長)、あしたのチーム(髙橋恭介社長)の3社合同で行われた。
調査①「ワーケーションに対する考え方と姿勢」(対象・テレワーク導入企業の会社員322人)、調査②「ワーケーションへの取り組みの実態」(対象・テレワーク導入企業の経営者323人)、調査③「自治体における民間企業のワーケーションに対する考え方と姿勢」(対象・東京と大阪を除く全国在住の自治体職員330人)――が、8月13(木)~18日(火)にかけて実施された。
ワーケーション制度の導入に興味がある会社員が62・0%だったが、実際に自分が利用するにあたって、「休暇が結局仕事になる可能性がある」(51・5%)、「どこまで勤怠をつけて良いのかわからない」(47・1%)と課題を示す声があった(複数回答)。
導入のメリットとして、「リフレッシュすることで生産性が向上する」(47・3%)、「家族との時間やプライベートな時間の確保がしやすくなる」(38・9%)が挙げられた。
経営者の50・4%が「自社での導入に興味がある」と回答し、既にワーケーションを実践している経営者は47・6%いることが分かった。
実際に自社で導入する場合の課題点(複数回答)についての質問には、「休暇中の仕事の適切な評価が難しい」(71・4%)、「休暇中の業務の勤怠管理が難しい」(70・5%)、「仕事環境の整備が難しい」(70・5%)――と評価制度の見直しや環境整備の課題が明らかになった。
民間企業のワーケーション制度導入で、地元の活性化を期待できると応えた地方自治体職員が29・7%だった。「観光需要を喚起できる」、「新規交流人口が見込まれる」、「定住につながる可能性がある」などの回答が得られ、期待が寄せられていた。
一方で、受け入れや呼び込みに対しての「不安や課題を感じる」と答えたのは40・6%だった。受け入れの環境整備のほかに、「地域の導入に係るPRや、人の誘致に係る発信力が不安」、「新型コロナウイルス感染拡大への不安」など、懸念する回答が寄せられた。
テレワークの一般化に伴い、今後普及していくとみられるワーケーションについて、自治体内でも地元活性化の起爆剤として徐々に期待が寄せられていることが分かった。
同社は、今後ワーケーションを制度として確立するために、「民間企業での労務管理や評価の制度面の整備や見直しはもちろん、自治体内での制度の整備や呼び込み施策の策定がカギとなる」と総括した。