【特集No.563】 防疫指針「三日月STANDARD」 武漢の帰国者受けた経験生かす
2020年9月10日(木) 配信
勝浦スパホテル三日月(千葉県勝浦市)は1月29日(水)~2月13日(木)まで、新型コロナウイルスの感染が拡大した中国・武漢市からの帰国者を受け入れた。政府の緊急事態宣言を受けて休業した4~7月まで、同グループの幹部は亀田総合病院の監修・指導する講習を受講。三日月グループと同病院は、独自指針「三日月STANDARD」を策定し、防疫ポイントを7つにまとめた。具体的な対策を、三日月グループ企画室の黒川大輔主任に聞いた。
【聞き手=本紙編集長・増田 剛、構成=木下 裕斗】
□医療機関の監修で“安心感”を
勝浦スパホテル三日月は1月29日(水)~2月13日(木)まで、日本で初めて中国・武漢市からの帰国者を受け入れた。帰国者がホテルを退出したあとには、政府が用意した専門業者が、館内全体の清掃と消毒を行った。3月1日(日)には、営業を再開。4月7日(火)には政府の緊急事態宣言を受けて、再度休業した。
日本国内でも新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、同グループの幹部は7月3日(金)の営業再開まで、勝浦スパホテル三日月とのかかわりが深い亀田総合病院(千葉県鴨川市)が監修・指導する講習を受講。同病院と三日月グループは、講習と武漢からの帰国者を受け入れた経験を踏まえ、独自のガイドライン「三日月STANDARD」を作成した。
同ガイドラインは「2度の休業期間で『学び』、『考え』、『体験』し、形にした」をコンセプトに、7つの防疫ポイントを定めた。
具体的には、AIサーモグラフィを使って入口で宿泊客に体温測定を実施する。このほか、使用するすべてのアルコールは、厚生労働省が新型コロナウイルスの感染力が消失すると推奨する濃度70%以上とした。そのうえで、スプレー式アルコール消毒液は全客室と食事会場のすべてのテーブル、館内入口、ロビー、各階のエレベーターホール、大浴場入口に常備している。従業員においても全員がスプレー式アルコール消毒液を携行する。宿泊客には「気になるところがあればいつでもお声を」と呼び掛ける。
さらに、全フロントへのアクリルボードの設置と、従業員に対しては、屋外などのアクリルボードを設置できない場所ではマスク(必要に応じてフェイスガードも)の装着を義務化した。館内の換気、頻繁に触れられる箇所における多頻度の消毒なども定めた。三日月STANDARDは同社のホームページでも公開し、利用客の安心感にもつなげている。
さまざまな場面を想定したマニュアルも作成した。感染が疑われる宿泊客がいた場合、使用したリネン類は非接触対応にて密閉して適正な手順でクリーニングする。ゴミの集積と廃棄は、密閉処理を行い適正な処理を義務化している。
正しく恐れる 感染防止に自信
亀田総合病院の講習は幹部が受講したあと、すべての従業員も受けた。「同講習と三日月STANDARDは従業員の安心につながっている。新型コロナウイルスを正しく恐れれば、罹ることもないし、拡大させない」と黒川主任は力を込める。
帰国者受入後の需要回復には「不安はなかった」と振り返る。……
【全文は、本紙1805号または9月17日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】