第二海堡の魅力探る 東京湾に浮かぶ立入禁止の島、上陸ツアー視察
2020年10月20日(火) 配信
2019年、東京湾に浮かぶ立ち入り禁止の人工島「第二海堡」への上陸ツアー始まった。昨年はツアーが約60回行われ、2650人が上陸した。
第二海堡は、首都東京を防衛するために東京湾口部に建設された海上要塞。現在も島内には、煉瓦で築かれた掩蔽壕や砲台の跡などが残る。
上陸ツアーは、はとバスやクラブツーリズムなどが、上陸可能日に合わせて造成している。
9月21日に催行されたはとバスのツアーに参加し、第二海堡の魅力を探った。
明治から大正にかけ、富津岬と観音崎の間に等間隔で3つの海堡が配置された。すべてが人工島で、第一と第二、2つの海堡が現存している。一方、第三海堡は東京湾口航路整備事業の一環として、2000~07年までに撤去された。
上陸ができる第二海堡は1889年に着工し、1914年に竣工した。
島は水深8~12㍍の海中に大きな石を投入し海上まで積み上げ、その上に石を積み上げ堰堤を形成し、築かれている。しかし、竣工から9年後の23年に発生した関東大震災で大きな被害を受け、旧陸軍の砲台からは除籍された。大砲の性能が大幅に向上し、海堡自体の利用価値が低下したことが理由。その後、旧海軍が同島を借用し、高角砲や水中音響訓練所などを設置した。
太平洋戦争が終戦となった45年、連合軍によって、兵舎や掩体壕といった煉瓦構造物、砲台などのコンクリート建造物、砲などが破壊されたと考えられている。
現在は、海上保安庁、海上災害防止センター、東京大学地震研究所が使用。用地の大部分を国土交通省関東地方整備局が所有している。
一般の人が島に上陸できるのは、気象条件が整っており、海上災害防止センターの訓練が行われず、海堡ツーリズム協議会の事務局であるトライアングルの船が使用できる日に限られている。条件をそろえることが難しく、天候の関係で上陸できない場合もある貴重なツアーだ。
上陸ツアーでは、今も島に残る中央部砲塔観測台や防波堤煉瓦構造物などの遺構を、ガイドの案内を聞きながら巡る。島内に残る煉瓦構造物には、当時の刻印を読み取れるものもあり、これを探してみるのも楽しい。また、海堡に関わる史料が残されていないので、当時の姿を想像しながら島を巡るのもおすすめ。タイミングが合えば、LNGタンカーなど、普段あまり目にする機会のない船を間近に見ることができるのも第二海堡の魅力だ。
上陸ツアーの前後の旅程は、各旅行会社が決定する。今回参加したはとバスのツアーでは、第二海堡の上陸ツアーに加え、「ペリー記念館」と「世界三大記念艦三笠」も見学がコースに組み込まれている。日本の軍事史に触れ、考える1日を過ごすことができる。
このほか各社のツアーでは、海堡と同じく砲台が築かれた無人島「猿島」を巡るものや、「第二海堡」だけを楽しむものなどさまざま。ツアーは、海堡ツーリズムホームページから検索できる。