ツーリズムEXPOジャパンin沖縄、基調講演でOCVB下地会長「見せる復興を」
2020年11月5日(木) 配信
「ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典in沖縄」が開幕した10月29日(木)、開会式に続いて基調講演が行われた。「コロナ感染を乗り越え、強靭で持続可能な観光成長をめざす」をテーマに、沖縄コンベンションビューロー(OCVB)会長の下地芳郎氏が登壇したほか、フィリピン共和国観光大臣のベルナデット・ロムロ・プラット氏は、ビデオメッセージを寄せた。
OCVB会長の下地芳郎氏は冒頭、首里城火災から1年になるのを前に「多くの励ましの言葉をいただいた。(これまでに集まった)寄付金は報道によると約50億円と聞いている」と謝意を述べた。そのうえで「そうした声に応えるべく、首里城の復興、沖縄観光の全体の復興に力をいれていかなければならない」と話し、2026年の首里城正殿復元までの過程を公開する「〝見せる復興〟を大きなテーマにしている。ぜひ足を運んでいただきたい」と呼び掛けた。
また、沖縄観光の魅力について「それぞれの特徴を持った47の有人島があり、観光の本質はこれらの島々にある」と述べ、自然と文化の観光資源を大きな柱となっていると説明。近年では各地でインフラ整備が進み、県内全体で1日当たり15万人が滞在できる環境を確立している。
宿泊施設や航空路線など「さまざまな要素が組み合わさり、現在に至っている。すべてが沖縄観光を支える重要な要素になっている」と述べ、「沖縄の魅力はハード、ソフトとも揺らがない」と力を込めた。
沖縄の経済と観光の重要性については「観光と他産業の連携強化が欠かせない」と語った。同県のGDPにおける観光の比率は20・9%(19年、沖縄県旅行消費額、16年沖縄県総生産)とで、京都の8・6%、北海道の7・9%(出典:観光庁、内閣府)と比べても圧倒的に高い。「農林水産業、製造業、情報通信業など、様々な産業と融合をはかることで、県内総生産額に占める観光消費額が下がっても、他産業が伸びていくことを実現することが重要な施策である」と語り、危機管理においても大きなテーマであるとまとめた。
今後の沖縄観光については、お客の要望に柔軟に対応するため、デジタルホスピタリティを推進する一方で、高い評価を受けてきた沖縄の〝おもてなし〟を継承し、量から質への転換をはかる。「中心はリアルに置かなければならない」と述べ、「自然と文化にじっくりと触れていただきたい」とPRした。
□フィリピン 観光産業がGDPの12.7%占める
フィリピン共和国観光大臣のベルナデット・ロムロ・プラット氏は、フィリピンが2019年の外国人観光客数が過去最高の826万人を記録し、年々増加していることを報告。「観光産業がGDPに占める割合は12・7%(18年)に達し、国家発展に脚光を当てている」と述べ、国の経済に大きな影響を与えていると説明した。そのうえで、観光産業が労働人口の13・5%にあたる「571万人の雇用を生み出している」と話し、「何千人もの人々の生活を変えていきたい」とさらなる発展に期待を寄せた。
フィリピンの観光素材には、自然、文化、農場、教育、太陽とビーチ、健康、ダイビングとマリン――の7つがあると紹介した。
コロナ禍による影響については「何度も困難を乗り越えてきた。必ず強靭な国民は帰ってくるだろう」と力強く語った。