日本酒に合う料理など紹介 魅力発信で価値向上を SSIがセミナー開く
2020年11月25日(水) 配信
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI、山田博彰会長、東京都文京区)は11月18日(水)、宿泊施設や飲食店のほか、日本酒愛好家などを対象に日本酒&フードペアリングラグジュアリーセミナーを開いた。ワインと比較して安く販売されているという日本酒の魅力を発信し、価値向上をはかる狙い。同セミナーはホテル椿山荘東京(東京都文京区)で行われ、18人が参加した。
冒頭のセミナーは「日本酒スタイリスト・島田律子が語る日本酒の魅力」が開催された。講師の島田氏は日本酒の輸出額が2009年の72億円から18年には222億円に増加したことを説明した。
「日本酒を楽しむことが世界の人々の憧れ」とした。
また、日本人のうち、お酒に強い人は約55%で、弱い人が約40%、下戸が6~7%ほどだという。
そのうえで、人間の酒の強さは、遺伝と体質で決まるとし、「昔、弱かった人が大量の飲酒をしても酔わないのは、慣れただけ。強くなってはいない。急性アルコール中毒に気を付けるべき」と警鐘を鳴らした。
下戸の人への酒の楽しみ方として、「料理に混ぜるほか、米を炊くときの水に加えると酔いにくい」と説明した。
次に「日本酒に恋した女・千葉麻里絵の日本酒と料理ペアリングの世界」を開いた。
千葉氏は「柑橘類とハーブが日本酒の味を引き立てる」とし、九条葱入り出汁巻き柚子胡椒卸しと日本酒「十四代超特撰純米大吟醸」の組み合わせを提案した。デザートには、抹茶ぷりんを出し、「日本酒を加えると抹茶の苦みが増す」と力を込めた。
このほか、4種類のペアリングを提言した。
3つ目のセミナーは「リーデル・庄司大輔が考える日本酒を生かす器と温度」。冒頭では大吟醸グラスを紹介した。
同グラスは大吟醸の味を最大限楽しめるという舌の先から奥に流し込む飲み方ができるもの。
グラスの高さを上げることで、顔と舌の先が自然に上向き、奥まで日本酒が流れるようにした。
純米酒グラスは飲み口を広くした。同酒は飲む人の口を広げ、多くの同酒を舌の先で味わい、苦みと酸味の味が増すようにした。
グラスの拭き方では、台座と器は捻らず、同じ方向に回すことを推奨した。
「器と台座の継ぎ目は脆い。1カ月程度で壊れてしまう可能性がある」と注意を促した。
続いて「せんきん十一代目蔵元・薄井一樹が明かす米と酵母がつくる日本酒の個性」を行った。
薄井氏は「酵母が味と匂いを作っている。日本酒の製作で最も重要」とし、メーカーは作りたい味によって酵母を発酵することを伝えた。
米の産地と日本酒の製造場所が異なることも紹介した。薄井氏は、自身が勤める仙禽を例に栃木県で製作する自社の日本酒で使う米の産地は岡山県や兵庫県であることを明かした。
セミナーを聞き終えた参加者は、酵母と米の違いによる味を確かめた。
最後に「唎酒師 世界チャンピオン×椿山荘 唎酒師・ソムリエ北原康行が誘うフランス料理と日本酒のペアリング」を実施した。
北原氏は、2種類以上を飲む場合について「ほうじ茶を口にすると前回飲んだ日本酒の味や風味などを取ることができる」とレクチャーした。
そのうえで、デザートにはキャラメル洋梨のムースと新政 純米仕込み貴醸酒 陽乃鳥を用意。同酒は洋なしの甘みとカカオの味を分かりやすくするという。
さらに、3種類の料理と日本酒の組み合わせも提案した。