ウィズコロナのMICEを考える 開催方法の選択がカギ 観光庁
2020年12月1日(火) 配信
観光庁は11月30日(月)、「新型コロナウイルス収束後のMICEのあり方に関する調査」の中間報告を行った。オンライン、ハイブリッド、オフライン開催それぞれの特徴や利点を理解し、「主催者が開催目的などによって選ぶことが重要」と調査をまとめた。
冒頭の主催者あいさつで、観光庁国際観光部参事官(MICE)の平泉洋氏は、「コロナ禍の今だからこそ、国際的な衛生基準を満たしていることを証明し、日本は安全性が高く多様性に富んだ開催場所が多いことをPRしていかなければならない」と力を込めた。
クニエ(高木真也社長、東京都千代田区)の観光誘客チームコンサルタントを務める佐藤樹生氏が調査成果の報告を行った。
佐藤氏は、10年スパンで国際会議の開催件数を見ると、欧州とアジアを中心に増加傾向にあり、日本は中国と拮抗するほど件数を伸ばしていると分析する。
また、ウィズコロナ・ポストコロナ時代で国際会議に必要とされる変化について、「コロナ以前から萌芽があったもの」、「コロナ対策のために必要な変化」、「観光危機管理のために必要な変化」に分けられると指摘した。これらを混同せず「短期的、中・長期的な課題として取り組んでいってもらいたい」と述べた。
佐藤氏は、国際会議のあり方は感染症リスクへの対応という観点で脆弱であることを指摘し、「そうしたリスクを織り込むことを基本とする形へ再設計し、アップグレードを行うことが必要」と報告をまとめた。
後半では、調査成果報告の内容を踏まえて、業界有識者がパネルディスカッションを行い、今後の国際会議のあり方について議論した。
パネリストは、城西国際学部観光学部観光学科准教授の岩本英和氏と、日本コンベンションサービス国際事業部国際会議部の中村祥二氏が登壇した。
ウィズ・ポストコロナ時代における国際会議の開催方法について、岩本氏は「もちろん安心安全を高める開催方法が良いが、すべてオンライン開催にするのではなく、オフライン開催を行えるような方法を模索してほしい」と主張する。実際に顔を合わせる参加者同士の交流ネットワーク形成を大事にしていく重要性を説いた。
岩本氏の主張に付け加え、中村氏が「コロナ禍でオンライン・ハイブリッド形式を試した結果、それぞれの良さが分かったと思う。これからは、開催目的で開催方法を変え、主催者が形態を選ぶ時代が来るのでは」と考えを述べた。