HIS、エネルギーと新規事業に注力 105店舗を統廃合へ
2020年12月14日(月) 配信
エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)は12月11日(金)、2020年10月期(19年11月1日~20年10月30日)の決算を発表した。このなかで、来期はエネルギー事業の売上高を19年度比で170%増を目指すことをはじめ、飲食や農業などの新規事業へ進出することを明らかにした。また、旅行事業の店舗数は19年10月時点の259店から21年1月末までに、105店を統廃合し、154店舗にする。
エネルギー事業の売上高は同128%増の263億9300万円と、既存の5事業のなかで唯一増収となった。売上高はトップの旅行事業に次いだ。宣伝活動の強化で、契約数が増加したことが主な要因。
飲食事業は20年10月にオープンした満天ノ秀そばを来年、2店舗開業する。事業の成長が見込める場合には、全国に100店を展開する。農業は高齢で耕作を止めている農家の支援をはかり、農業法人も立ち上げる。同日に行った会見で澤田会長は「(農業は)新規事業のなかでもとくに力を入れる」と意気込んだ。さらに、「(新規事業は)小さく育みつつ、約3~4つを将来の大きな柱に育てる」と力を込めた。
旅行事業の店舗は削減する一方、ウェブサイトやビデオチャットなどオンライン販売を強化する。具体的には21年1月に店舗と電話、オンライン予約に、リモート接客を加えた「HIS選べる窓口」を始める。
「いつでも、どこでも旅行を申し込めるようにしたうえで、1人当たりの生産性を上げ、シェア拡大をはかる」と強調した。
人員は契約社員の雇用更新を停止し、約2000人を減らし、21年入社予定の新卒者の採用は前年同期から662人抑制した。海外の現地法人では従業員約1700人を解雇し、拠点数を52削減した。
日本の正社員については「よっぽどでないとリストラしない」とした。
旅行事業は、国内旅行においてGo Toキャンペーンの影響で21年1月の受注状況が前年同月比80%増であることなどを踏まえ、売上高を20年の230億円から23年10月までに4倍の1600億円への増額を目指す。
海外旅行は23年の10月までに19年度と同水準に回復すると予想。シナリオとしてハワイ、台湾・シンガポールなどのアジア、グアムの順で回復するとした。このうち、ハワイは、現地で14日間隔離措置の免除プログラムが開始された11月から、1000人以上の予約を受けたとし、「徐々に回復中」と報告した。
「旅行事業は21年後半には黒字化する気持ちでいる」と意気込んだ。
同社の2020年10月期決算(19年11月~20年10月)は営業損失が311億2900万円(前年同期は175億4000万円の利益)、経常損失は312億8300万円(同170億8900万の利益)、当期純損失は250億3700万円(同122億4900万円の利益)となった。なお、新型コロナウイルスの影響で算定が困難なため21年10月決算は、未定とした。