全旅連青年部 知恵結集し、生き抜く 約60人が参加 〝分散型〟提案
2021年2月13日(土) 配信
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(鈴木治彦部長)は2月8日(月)、全国旅館・ホテルサミット2021をオンラインで開いた。コロナ禍で、宿泊施設の需要が減少するなか、全国にある宿泊施設の経営者ら約60人が、混雑を回避できる「分散型旅行」などの理解を深めた。そのうえで、「全国の同志の知恵を結集、コロナ禍を生き抜く!」をテーマに、自社の取り組みなどをグループワーク形式で語り合った。【木下 裕斗】
冒頭のあいさつで、鈴木治彦部長は「各宿泊施設の知恵を結集し、ウィズコロナ時代を明るく過ごせるようにしたい」と呼び掛けた。
基調講演では政策担当の星永重副部長と、総務・広報担当の田辺大輔副部長が分散型旅行の普及を提案した。
福島県の会津・湯野上温泉で「藤龍館」を経営する星副部長は、利用客が繁忙期に集中していることを指摘。「ウィズコロナ時代に向けて、混雑を回避するアイデアを練る必要がある」と訴えた。
閑散期にも集客に力を入れる事例として、田辺副部長は自館の「さぎの湯荘」(島根県安来市)で行う、冬の白鳥と6月のホタル見学ツアーを紹介した。
「(コロナ禍で)混雑を避ける声が増えている。ツアーも行うことで、単価も上げることができた」と効果を話した。
星副部長は「お客様が少ない今は、新しい地域の魅力を発掘できるチャンス」と分散型旅行の実施を促した。
ワーク―シップは5~7人ずつに分かれ、共通のテーマでグループワークを行った。「お客様が求める旅」については、四万やまぐち館(群馬県・中之条町)の山口晋吾副社長が、ほかのグループと接触を避ける声が増えたことを受け、部屋食を始めたことを報告した。
奥飛騨ガーデンホテル焼岳(岐阜県高山市)の石田剛大社長は、自館の周辺にある立ち寄り施設の多くが休業している状況にあり、「ツアーを組みづらくなった旅行会社が多い。宿はこれまでよりも早い時間帯に宿泊客を受け入れる必要性」を提案した。
「お客様をどうもてなすか、宿泊施設が提案すべき旅」では、割烹旅館清都(千葉県南房総市)の清都俊仁専務は滞在中の移動について「(感染を防止するため)公共交通機関を避ける人が増えている」と語り、観光地を自転車で巡るサイクルツーリズムに力を入れている。「2次交通の課題も解決できる」と強調した。
「どう利益を出し、どう雇用を維持するか」では、星副部長が経営者の高齢化や、コロナ禍による利用減で廃業した宿が自館の周辺に多くあることに着目。「ほかの利用者との接触を回避したい」消費者の声に応えようと、周辺の宿の運営を担い、一棟貸しを始めたという。
「客室間以上に間隔が空く利点があり、コロナ禍でも集客を見込める」と自信をみせた。
鈴木部長が「実際に部員の表情を見ながら、知恵を出し合えたことは青年部の成果になった」と振り返った。
星副部長は「収束後、訪日客は必ず戻るが、各国で取り合いになる可能性がある。サミットで実感した高い〝日本の競争力〟で臨みたい」と締めた。