test

“行きたい”まちのつくり方 ロケツーリズムで地域が盛り上がる

2021年2月17日
営業部:後藤 文昭

2021年2月17日(水) 配信

 地域に人を呼び込む手段として、また地域が交流人口を増やし、地域経済を循環させるための手段としてロケツーリズムが注目されている。

 コロナ禍で家で過ごす時間が増え、メディアでの露出が大きな宣伝効果を生み出している地域もある。

 ロケ実績はうまく活用すれば、新たな観光資源を生み出すことや、企業価値の向上にもつながる。

 静岡県・西伊豆町と長崎県島原市に、ロケツーリズムの役割や地域に及ぼす効果などをきいた。

西伊豆町

『ゆるキャン△』モデル地 堂ヶ島のトンボロ

 日本一の夕陽が自慢の静岡県・西伊豆町。一方で、同町は人口減少や少子高齢化が課題となっており、観光客数は年々減少傾向にある。こうした状況を打開するため、2020年ロケツーリズムの取り組みを始めた。

 同町ではロケツーリズムを、「無料でできる地域情報の広告」と定義。「景勝地や観光施設ではないスポットが観光地になるのでは」と考えている。ロケ実績は、ロケ地マップやDVDの作成、ロケハンツアーなどに活用。昨年11月に公開された映画「たぶん」のロケ後には、特別試写会を開催した。今後は、町民や地元企業中心のロケ受入体制を構築する。

ロケ誘致のホンネ ~星野淨晋町長~

 ――町長の目から見た地域の変化は。

 今までは「ここには何もない」と言い続けてきた地元の人たちも、町が全国ネットに出ることで、「うちの町も捨てたものじゃない」という感じに変わりつつあるように感じます。

 ――ロケツーリズムを実施しての手応えは。

 町民の意識が少しずつではあるが変わり始めたという点と、SNS(交流サイト)で夕陽の風景が発信され、夕陽日本一の町と自称している西伊豆町や、伊豆西海岸の認知度が上がっています。
 観光地ですが、西伊豆町といってもすぐに解る人は少ないため、メディア露出増によるロケツーリズムにはとても期待しています。最近では漫画『ゆるキャン△』のモデル地巡りで訪れる食堂もあるようですし、モデル地巡りをした人がSNSに投稿し、それを見た人が来るという好循環も生まれています。

島原市

市のおすすめロケ地島原鉄道「大三東駅」

 長崎県島原市がロケツーリズムに着目したのは、「ロケ地が観光資源となることで、ロケを誘致するたびに新たな観光資源が生まれ、別の層の観光客を得られる」と考えたから。ドラマ、アニメなどは若者向けのものも多く、ロケ地やテーマとなったまちを巡りたい彼らをターゲットにすることで、若い層の旅行需要も喚起したいという。

 19年度からロケツーリズム協議会に本格加入し、映像制作者とのトップ会談には、欠かさず市長が参加しトップセールスを行ってきた同市。20年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり東京での活動ができないなか、映像制作者との連絡調整をウェブ会議中心で行い、最小限の人数でロケハンを実施。21年に放送されたフジテレビ新春特番「有吉くんの正直さんぽ新春スペシャル~長崎・島原」の誘致に成功した。広告換算効果は、市独自の試算で6億3千万円。

 担当者は、「20年度は、テレビ関係13件のロケを受け入れた。各番組を見た人から、『あの店のおばちゃん元気そうで良かった』、『コロナが落ち着いたら島原に行きたい』というコメントをいただいている。コロナ禍で観光での来訪や帰省が難しいなか、今の島原の姿を伝えることができた」と振り返る。

ロケ誘致のホンネ ~古川隆三郎市長~

 ――市長の目から見た地域の変化は。

 新春特番の放送翌日には、番組で取り上げられた小さな中華料理屋に行列ができているのを目の当たりにしました。市民からも、島原の魅力を再発見できたということを多く聞いています。

 ――ロケ誘致の難しさはどうでしょうか。

 島原市は日本の西の端にあるので、映像制作者が気軽に撮影に行ける場所ではないと思います。一方、まちなみ、海、ローカル鉄道などのさまざまなロケーションがコンパクトにまとまっており、域内の移動時間が短い町でもあります。豊富なロケーションで多くのシーンの撮影に対応できるまちとしてPRしていきます。

 ――ロケツーリズムを実施しての手応えは。

 ロケ誘致は、魅力的なロケーションも必要ですが、「人」と「人」とのつながりも重要です。19年5月にロケツーリズム担当者をロケーションジャパン編集部にインターン派遣し、ノウハウを学び、人脈作りを行ってきた成果が、今回の新春特番の誘致のように実を結んでいます。

 私も人脈づくりを意識し、ロケツーリズムの推進をはかっていきます。また、映像制作者から、「火山」や「島原鉄道」を基にした脚本も作れるとの意見もいただいたので、脚本作りも意識し情報を発信していきます。

いいね・フォローして最新記事をチェック

コメント受付中
この記事への意見や感想をどうぞ!

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。