コロナ前の社会の状況にはもう戻れない 自己投資や学びへの意欲が膨らむことや、価値観の変化への理解を (涌井史郎氏)
2021年3月3日(水) 配信
国際観光施設協会の涌井史郎副会長は2月17日(水)、「ウイズコロナ時代のニューノーマル」と題し講演を行った。
同氏は、「コロナ前の社会の状況にはもう戻れない」と強調し、「ポストコロナ時代は皆が新たな発見をし、自分自身を見出す旅をしたがっている。そのために我われは、自己投資や学びへの意欲が膨らむことや、価値観の変化への理解が必要」と語った。
さらに、「未来を創るミレニアル世代が支持しなければ新しい潮流は生まれない」とし、「持続可能な観光であることが基本。旅の価値自身を再定義する動きが必要になる」と力を込めた。
また、「能動的、爆発的な催し」から、「自分を高める、自分が安心できて健康になれること」に目的が変化するとの見通しも示した。
そのうえで、「人間は、危険を感知すると自然共生型社会に戻りたくなる。このことは、観光リソースを考えるうえで重要であり、今後の方向性も示唆している。(変化する)方向に合うメニューをどう提供できるかが、ウイズコロナからポストコロナ時代の観光の方向である。もうコロナ以前の社会には戻れないということを前提に、新しい旅の商品やしつらえをどのくらい実現できるかが課題だ」とまとめた。
涌井氏は日本の国立公園の活用についても言及した。
「日本の美しさは、自然が創ったものだけにあるのではない。人と自然がせめぎ合いながら、あるいは共生しながら、300~400年かけて作り上げた景色が最も人を感動させる。この典型な事例が国立公園の中にはある」と持論を展開。
「入込客数の多さが観光経済を支えるのではない。どれくらいの経済消費をしてくれるかがポイント」としたうえで、「国立公園を経済消費で支えるためには、どれだけの富裕層に訪れてもらえるか、上質化がカギを握る」とまとめた。
基調講演は、同協会が参加した東京ビッグサイトで開かれた国際ホテル・レストランショーで行われた。同協会は2月16(火)~19日(金)の開催期間中ブースを出展し、協会の1年間の活動成果を発表した。