「津田令子のにっぽん風土記(71)」安曇野に故郷のイメージを抱きながら ~ 長野県・安曇野市編 ~
2021年3月15日(月) 配信
難波生まれのハマ育ちの北村昌之さん。現在、安曇野市地域おこし協力隊として、観光分野で安曇野の交流人口の拡大とブランディングを担っている。
「父が転勤族だったので、あちこち動きましたが名古屋が一番長く住んでいました。祖父と祖母の家も街の中心部だったので風光明媚な安曇野とはかけ離れた場所で過ごしていました」と振り返る。
安曇野は「故郷」と呼べるイメージをたくさん持っていると感じている。田んぼに生える青稲や稲穂、満開のそば畑、鬱蒼とした森の中にある神社の境内、きれいな水のせせらぎ、カエルの鳴き声がうるさい畔など、安曇野への想いは、「故郷といえる場所がない僕にとって、より魅力的に映るんです」と話す。
故郷へのイメージを抱きながら、観光PRに邁進する北村さんは安曇野で1番好きな季節は、春だと語る。「冬の季節が長く感じられ、やっと春が来てくれた! と思うほど待ち遠しかった」。
この時期のお勧めポイントについては、「水鏡に映った安曇野の風景を探しに自転車に乗って出掛けてほしい。北アルプスや屋敷林が映りこんだ風景。とくに御法田の一本道からの景色や、犀川の堤防からの眺めは素敵です。安曇野シンメトリーはあちこちに出現します。漕ぎ疲れたら、おしゃれなカフェや、おいしいパン屋でティータイムを楽しむのが最高です」と満面の笑みで話す。
山登りがお好きで、長峰山や光城山に登って、山頂から安曇野の景色と北アルプスの峰々を眺めていることも多いという。安曇野に暮らしていると「ふと見上げると、3千㍍級の山々が見渡せます。普段からこんな景色が当たり前にある場所は他にはありません。平野部に長く住んでいる人間にとっては毎日が感動の連続です」。
旅の醍醐味は、「未知の世界に行くことのワクワク感や、素晴らしい景色を見て感動することがたくさんあります。今まで味わったことのない食や初めて会う人たちなど、自宅と職場の往復という日常を飛び越えて自分の枠から外へ出ることが魅力」と熱く語る。
コロナ禍でも安心安全で安曇野の旅を楽しんでいただくために、観光協会が薦める「安曇野あんしん旅」の動画作成に関わってこられた。「これを見ていただければ安曇野って楽しそう、行ってみたいと思っていただけるはず」と力を込める。
生まれや育ちが他市であることで、より安曇野の魅力や伝えたいコンテンツが明確なのだと確信した。
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。