JTBグループの21年3月期連結決算、過去最大1052億円の赤字に 売上高は71.1%減の3721億円 山北社長「黒字化達成する」
2021年5月28日(金) 配信
JTB(山北栄二郎社長)が5月28日(金)に発表したJTBグループ2021年3月期連結決算は、当期純損失が1052億円(前期は16億円の利益)と、新型コロナウイルス感染症の甚大な影響を受け、連結決算開始の2000年以降で過去最大の赤字となった。売上高は3721億円(前期比71.1%減)、営業損失は976億円(前期は14億円の利益)、経常損失は743億円(同25億円の利益)の減収減益となった。
同日に行われたWeb会見で、山北社長は「経営資源のシフト、コスト構造改革の継続を行うことで、最終利益の黒字化を達成する」と力を込めた。
部門別の売上高は、国内旅行1528億円(前期比66.4%減)、海外旅行225億円(同94.9%減)、訪日旅行38億円(同94.4%減)、グローバル旅行117億円(同89.4%減)。国内旅行は、Go Toトラベルに東京都が追加された第3四半期に一定の売上を計上したものの、海外旅行、訪日旅行、グローバル旅行の売上はほぼ消失し、旅行事業の売上合計は1908億円(前期は1兆736億円)と大幅に減少した。
一方で、旅行事業以外の売上高は1814億円となり、オンラインイベントの開催をはじめ、出版事業、ふるさと納税事業、地産地消の物販関連の商事事業、旅館・ホテルへの衛生商品、福利厚生事業などが堅調に推移した。
グループ全体における構造改革の進捗状況についても説明を行った。国内の店舗数は、21年度期首時点で73店舗が閉店し、21年度期中に計115店舗を閉める(19年度比)。また、国内会社数は10社減少、従業員数は約7200人(国内3500人、海外3700人)の削減(いずれも19年度比)を計画している。
従業員数の改革について、山北社長は「当初の計画では6500人の減少の予定だったが、国内でさらに700人減少させる計画を立てている。(店舗数や会社数など)それぞれの構造改革施策は、計画通りに進んでいる」と述べた。
2021年度の収益見通しについては、「旅行事業で19年度比の35~40%を想定している。一定程度の市況回復は想定しているが、引き続き厳しい環境下となる」(山北社長)とした。
そのうえで、「コロナ禍で大きな痛みを感じているツーリズム産業の皆様とともに、この環境を乗り越えていきたい。そのためにも、何としても黒字化を実現する」と力強く語った。
市況の回復に影響を与える要素には①国内でのワクチン普及②国内の移動制限③海外への渡航制限――の3点を挙げ、現時点では「ワクチンは21年度末に普及すると考えている」(山北社長)と述べた。
また、国内での移動制限は6月まで、海外への渡航制限は下半期から一部地域で段階的な解除を想定し、お客の安全安心に配慮したうえでツアーの再開を見込む。