「津田令子のにっぽん風土記(74)」「中野は庶民的で住みやすい街」~ 東京都・中野編 ~
2021年6月11日(金) 配信
いつも笑顔で前向きな「NPO法人ふるさとオンリーワンのまち」会員の加藤祥子さんに、「ふるさと阿賀町」や現在お住まいの「東京・中野」について伺った。
加藤さんは、新潟県の阿賀町生まれ。山間部の阿賀町といえば、幻想的な雰囲気を醸し出す「狐の嫁入り行列」が有名。昔、麒麟山に狐がいて毎晩のように狐の声が聞こえ、狐火が見られたという。嫁入りは夜にかけて行われ、辺りは暗く堤灯を下げて行列する。
この堤灯の明りと狐火が平行して見え、狐の嫁入り行列が生まれたとも言われている。この行事は親から子へ、子から孫へと言い伝えられ、狐火の多く見える年(狐の嫁入り行列の見えた年)は豊作で縁起が良いとされていた。「少し怪異な伝説が、この地ではいまだに伝承されているというのも心温まりますね。『ふるさと』を想う瞬間でもあります」。知人がいた東京へ看護学校に入学するために上京した後もふるさとへの想いは途切れることなく、「いつでも帰れる場所があるということが安心感につながっています」と話す。
2001年から居を構えた東京・中野を選んだのは看護学校が中野だったことと、住みやすさからだという。「好きなところは、サンモール、ブロードウェイ、庶民的な町、中野サンプラザです」。地方からお友達が来ると展望のよい20階のレストランでお食事をとりながら語り合うのが楽しみだという。「他にも北口の中野通り、桜並木のトンネルがとても綺麗なんです。新緑の時もすごくいいですよ」と加藤さん。
看護師になってから社会福祉法人の病院に勤め、その後総合病院で患者さんの命を守るために40年間勤務。現在はデイケアステーションで看護師として勤めているという。
「最近ようやく少し自由な時間ができてきてきた」と振り返る。介護は人と接触する機会が多いため感染リスクが高く、そのためにも感染しない、感染させないことが感染防止につながるとの思いで仕事にあたっている。
温泉が好きで何度も箱根を訪ねているという加藤さんは旅に出ることで活力を得ている。「登山電車の沿線を彩るアジサイや夕日に輝く仙石原のススキで癒され、ぼーっとしています」。旅に出る理由は「その地を知り、名物を食したり、風景に癒されたり、新しい発見も期待しながら楽しめるパワーをもらえること」とおっしゃる。加藤さんは「コロナも気にせず安心・安全で世界一周旅行したい」と夢を語る。
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。