JATA総会、正会員の年会費は減額に 坂巻会長「会員の声が活動の源泉」
2021年6月24日(木) 配信
日本旅行業協会(JATA、坂巻伸昭会長)は6月21日(月)、東京・千代田区の経団連会館で第65回定時総会を開いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化していることを鑑み、2021年度正会員の普通会費および特別会費の減額が承認された。普通会費は年額10万円の減額、特別会費も従業員数によって全額免除または半額とすることも決まった。また、正会員再入会時における入会金免除も併せて認められた。
会費の減額に伴い、普通会費は年額25万円となる。特別会費は、常勤役員と旅行業従事社員数が30人以下の場合は全額免除とし、31人以上の場合は1人当たりの会費を従来の600円から300円に減額し、常勤役員と旅行業従事社員数の合計を乗じた額とする。
入会金の免除は、旅行事業の再開の目途が立たず廃業し、正会員を退会する事業者が見られることから、再入会する際に入会金80万円を免除することが決定した。対象は、2020年4月1日~22年3月31までに退会届を受理した正会員で、22年3月31日から2年以内に入会申込みを行うことが条件となる。
坂巻会長は「JATAは全会員の集合体。会員の声を聞かせてほしい。また、聞く組織でありたい。会員の声が活動の源泉となり、動くことができる」と呼び掛けた。そのうえで、「コロナ禍によって、移動と交流が経済にとって欠かせないだけでなく、人の生きがいや子供の教育に欠かせないと明らかになった。旅は単純な移動ではなく、心の移動や交流、そこには笑顔が必ずついてくる。次の世代につながる旅行業を皆様と作り上げていきたい」と力を込めた。
観光庁の金子知裕国際観光部長は、Go Toトラベル事業について「当面は慎重に対応せざるを得ないが、しかるべき時期が来たら再開するよう継続的に働き掛けていく」と述べた。
なお、総会同日をもって堀坂明弘副会長が退任し、新たに日本旅行の小谷野悦光社長が副会長に就任した。また、松田誠司理事と大西哲郎理事が退任し、阪急交通社の酒井淳社長と名鉄観光サービスの拝郷寿夫社長が新理事に就任し、運営役員を務めていた読売旅行の坂元隆社長も理事に就いた。
□需要回復への事業計画 「Go To海外」の仕掛けも
JATAでは政府や与党に対し、Go Toトラベル事業の再開など大規模な国内観光需要喚起対策、国際交流の速やかな再開、雇用調整助成金の特例措置の年内延長や産業雇用安定助成金など支援策の拡充を要望している。今後も状況に応じて企業への支援策や需要回復策などの陳情を行う。
今年度の事業計画と予算は、旅行需要回復の先行きが不透明なことから、非常事態編成とし①総額2億円の減収を見込んだ収支計画②コロナ禍からの業界復活と変革に集中するため、全体事業を見直す③国際交流の再開に向けてあらゆる活動の実行④国家試験・法定研修、消費者相談等の法定業務の継続維持⑤ツーリズムEXPOジャパンは、観光産業が一丸となって本格的な国際交流の復活の場となるよう、予算規模は大幅に縮小したうえで実施⑥会議・研修のオンライン化・ペーパーレス等デジタル化の推進――を実施していく。
事業計画の重点事項は、国際交流の速やかな再開のキーとなるヘルスパスポートの促進、Go Toトラベルの再開とGo Toトラベル後を見据えた環境整備、インバウンド再開に向けた政府・地域・JNTOと連携した取り組みを行う。
主な事業計画として、海外旅行は関係機関と連携したプロモーションを行い、「海外旅行市場の生き残りをかけた」活動に注力する。具体的には、2国間での「Welcome to My Country(Go To海外)」キャンペーンの仕掛けなどを行うほか、安心安全を根底とした海外旅行ガイドライン制定と管理型旅行の実現、ハワイやビジネストラック開始国など2国間協議体による早期交流再開に向けた取り組みを行う。
国内旅行は、官民が連携して国内旅行需要拡大施策への提案と参画を積極的に進めるほか、旅行会社の役割と価値提供の転換に向けた取り組みを推進する。重点施策事業には、会員会社のGo Toトラベル事業における利益の最大化に向けた支援、団体旅行・貸切バス需要拡大に向けて取り組んでいく。新規事業には、「需要喚起施策パッケージ」による地域支援と需要喚起、観光庁と連携した「観光地被災情報共有化システム」の開発と運用、アドベンチャーツーリズムの活性化、eスポーツの普及促進に努める。
訪日旅行は、レジャーマーケット再開に向け、国と日本政府観光局(JNTO)、地方自治体と一体となり、早期再開施策を実施するほか、訪日受入再開に向けた機運醸成をはかる。また、訪日旅行者へ提供するサービスの品質向上と安全衛生管理に向けた取り組みも進める。
21年度の収支予算については、需要回復の見通しが立たないことから、当期収入は一般会計が前年度比2億1839万円減の7億2531万円を見込む。特別会計は国家試験が6600万円、弁済業務が18億4000万円、ツーリズムEXPOジャパンが7億1200万円など、合計で約31億1847万円の見込み。前期繰越収支差額の20億6900万円を含めた収入合計は約59億1252万円。
当期支出は、一般会計が同1億606万円減の8億3758万円、特別会計が32億1081万円。合計で約40億4838万円を見込む。次期繰越収支差額を含めた合計は約18億3414万円となる。
□2度目のTEJ大阪・関西 11月25~28日に開催
19年に続き、大阪が会場となるツーリズムEXPOジャパン(TEJ)は、11月25日(木)~11月28日(日)の4日間の日程で開催する。前回の大阪での成功と、20年の沖縄開催で培った新しいMICEモデルを深化させ、国際交流の復活のきっかけを醸成する。新たに、西日本パビリオンの拡充や、ワーケーション、eスポーツなど新しい旅のカタチをエリアごとに展開する。