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〈旬刊旅行新聞7月1日号コラム〉ワクチン接種が進む――「潮目が変わる」瞬間へ今から準備を

2021年7月1日
編集部:増田 剛

2021年7月1日(木) 配信

 
 先日、私の住むマンションの郵便ポストを空けると、地元の相模原市保健所から、新型コロナウイルスのワクチン接種の案内が届いていた。当分先のことだろう、と思っていたが、想像以上に早かった。翌日、妻宛にも同じものが届いた。

 
 周囲の人たちの多くが、既にワクチンを接種している。優先的に接種を始めた高齢者の間では、「2回目の接種が終われば、食事に行こう」といった会話も、交わされているようだ。

 

 
 日本観光振興協会は6月17日に、東京都内で「ワクチン接種に関する観光産業からの緊急アピール」を発出した(本紙4面)。率先してワクチン接種を促し、「停滞している社会経済活動の正常化」に向けて、観光産業全体で協力していく決意表明でもあった。

 
 諸外国と連携できる「ワクチンパスポート」の早期導入は、日本経済団体連合会など経済界、そして観光業界も強く要望している。国内の観光地や宿泊施設でも、さまざまな特典を付けたプランが造成されている。海外旅行、インバウンドの本格的な再開に向けては、海外から帰国後14日間の隔離措置の免除を、どのタイミングで行うのかが焦点となる。

 

 
 今号の1面では、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)、日本旅館協会、全日本ホテル連盟の宿泊3団体のアフターコロナに向けた方針を取り上げた。昨年は、総会を中止・延期、あるいはオンラインで開催する団体が多かったが、今年は実際に対面で行う団体が増えた。 

 
 通常、6月から7月にかけて、本紙の紙面は主要観光団体や、各都道県支部、地域の観光協会などの総会を取材した記事が、紙面全体を彩るのが“風物詩”となっている。

 
 しかし、昨年はその総会記事は極限まで減って寂しい気分になったが、今年はかなり復活した。現場で活躍している旅館・ホテル、旅行会社、地域づくりに取り組んでいる方々の顔を、紙面で紹介できることをうれしく感じる。

 
 情報があふれた時代に「観光業界の専門紙など不要だ」と思われる方もいるかもしれない。けれど、たとえ小さな会合であろうとも、できるだけ現地まで取材に行くことを大切にしている。コロナ禍で非常に厳しい環境のなかで活躍されている元気な表情や、姿を紹介したい。また、新しい取り組みや思想、アイデアなどもインタビューして、伝えていきたいと思う。

 

 
 全旅連総会では、青年部の鈴木治彦直前部長と星永重部長が、ワクチン接種率が全国民の55%に到達することが予想される9月中旬には「潮目が変わる」と見ている。「Go Toトラベルキャンペーンを再開し、宿泊業界が地方経済の活性化を牽引していこう」と、そこに照準を合わせて「55(ゴーゴー)Go To」キャンペーンを、政府や国会議員にも働き掛けていく考えだ。

 
 従業員の雇用を守る雇用調整助成金の延長も、観光業界が要望する大きな柱となっている。

 
 アフターコロナの観光業界とは、抑圧された移動制限が解放された時を指すのならば、「ワクチンパスポート」も「Go To」も呑み込まれるほど、大きな旅行の波が押し寄せるだろう。突然訪れる「潮目が変わる」瞬間を見誤らないように、今から周到な準備を心掛けたい。

 

(編集長・増田 剛)

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