エイシス、“音”で地域応援 デジタル観光のウェビナー開く
2021年8月17日(火) 配信
エイシス(明石耕作社長、東京都千代田区)は8月10日(火)、観光関係者向けに「コロナ禍で発見する新しいデジタル観光の魅力」と題したウェビナーを開いた。同社が展開する“音”で地域を応援する「EMOCAL」プロジェクトのほか、観光DXを推進する観光庁がオンラインコンテンツ造成などの講演を行った。
エイシス経営戦略部ゼネラルマネージャーの生原優介氏は、音資源を活用したデジタル観光について講演した。冒頭、音声市場に関する調査結果を説明。「少なくとも20~30代の3人に1人がインターネットを活用した音声メディアに触れている。人数でいうと900万人」と伝え、「成長率も高く、10~20代前半にも好まれる」と、音声市場が今後注目される大きなマーケットになってきていると語った。
続けて、エイシスが提唱するサウンドツーリズムについて説明した。生原氏は「音資源とは地域に存在する魅力的な音のこと。主に自然を中心とした環境音で、観光資源や観光地の音声など。例えば、廃工場や伝統工芸の音も一部の人にとって魅力的」と述べ、潜在的な観光客の確保にも効果的であると示し、ネット上で発信し興味を持ってもらったうえで、観光につなげたい考えだ。
また、エイシスでは音と風景写真、イラストを掛け合わせて地域の魅力を全国に発信する「EMOCAL」プロジェクトを展開している。地域の音を、リラックス効果のあるASMR動画として発信する取り組み。生原氏は、「日本全国の音を集めていきたい。地方民間のパートナーを募集しており、色んな人とパートナーシップを組みながら展開していきたい」と意気込みを語った。
次に、観光庁観光資源課新コンテンツ開発推進室長の佐藤司氏が、日本の観光動向と観光庁におけるDXの取り組みについて講演した。まず、新型コロナウイルス感染症拡大により、観光業界全体で大幅な減益となっている現状を振り返った。一方で、ワーケーションやアウトドア、オンラインツアーなど3密を避けられる新たな観光需要が高まっていると伝えた。
観光庁の今年度の事業は、①観光サービスの変革を行うための開発事業②観光需要の創出を行うための活用事業――の2本柱と説明。パーソナルエリアを確保しながらの鑑賞環境を実現する技術や、手ぶら観光の実現のための技術開発などのほか、旅マエの観光意欲を高める取り組みに力を入れていると力を込めた。
ウェビナー後半は、観光需要の回復後のデジタル観光の在り方やデジタルでできることなど、エイシス、観光庁、地域代表の3者でパネルディスカッションを行った。
登壇者は、エイシスの生原氏、同「EMOCAL」プロデューサーの住田陽一氏、観光庁の佐藤氏、石川県能登町ふるさと振興課主事の蛸島慎司氏の4人。デジタルでしかできない新しい観光の魅力や、アフターコロナに向けた観光需要の増加策などを話し合った。