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「津田令子のにっぽん風土記(76)」ふるさと・神田淡路町への思い溢れる~ 東京都・神田淡路町編 ~

2021年8月28日(土) 配信

神田淡路町のランドマーク「ワテラスタワー」
NPO法人ふるさとオンリーワンのまち 会員 関口 裕美さん

 NPO法人ふるさとオンリーワンのまちで「日本各地に、そこにしかない“ふるさとのオンリーワン”」を発掘・発信し、ふるさとの再発見を担う関口裕美さん。学生時代も含め東京以外で暮らしたことはなく「神田淡路町はふるさとそのもの」とおっしゃる。

 
 神田淡路町は、食通で知られる作家・池波正太郎がこよなく愛した街でもある。今でも江戸の風情を残し池波が贔屓にしていた店が立ち並ぶ一角があるが、ここ数年神田淡路町2丁目一帯は再開発が進み大都市化が進んだ。関口さんは一軒家を立ち退き高層マンション住まいへと生活スタイルが一変したという。 通っていた小学校、中学校も廃校となり、「寂しい限り」と話す。「湯島聖堂の裏山や現在ソラシティーになっている場所にあった軍艦山などでよく遊びました。冬は、幽霊坂で雪滑りごっこもしました」と目を細める。  

 
 「今はなき、母校淡路小学校横の淡路公園で小学校が終わると毎日遊んでいました。まだ土の香りやそよぐ風を肌で感じられる日々でした」と当時の思い出を語る。

 
 とはいえ、昔から住んでいる人や店が残っており、「92歳を迎えた母の知り合いも多く、安心感があります。どこに行くのも交通の便も良いですしね」と地元愛にあふれる。

 
 38年間、広告会社で働き、6年前にリタイア。今は母親の介護の傍ら、趣味のヨガに興じたり、アロマエッセンスを生活の中で楽しみ、山々や仏像めぐりなど旅の映像を愉しんでいるという。「仕事はハードでしたが、今につながる友人がたくさんできたこと、会社の山岳部に入り山の楽しさを覚えたことが、大きな宝物です」と語る。会社の行事で毎夏、富士登山が開催され、のちに山岳部に入り運営スタッフを務めたという。「そういえば新入社員時も皆で富士山に登りましたね」。

 
 ハードで楽しい夏のイベントを通じさらに山好きになった関口さん。「両親が山好きで、子供のころからハイキングによく連れて行ってもらったので山が身近でした」と振り返る。

 
 旅に出る理由を「山の旅は自然に浸って身体にいい空気を入れたいという想いから。定期的に自分の体力チェックもできますからね」と話す。さらに京都好きでもある関口さんは山の仲間と「仏像の会」を結成し京都のみならず色々なところに出掛け、ご開帳や花の季節に合わせ四季を感じ愉しんでいる。「これからも身体のメンテナンスを兼ね、テーマ性を持った旅を楽しみたい」と語る。

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

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