【寄稿】日本商工会議所 観光専門委員会 委員 須田寬氏、多目的“Go To”を期待
2021年10月22日(金) 配信
対コロナ緊急事態宣言も解除され観光も少しずつではあるが復活の兆しが見えてきた。
国もGo Toトラベルキャンペーンを新内閣のもとで復活すると聞く。
復活に当たっては昨年実施した際の反省もあり、閑散時の旅行便宜につながるような配慮を加えるなど改善したうえで実施されるとのことで、あるいは本稿掲載までにはその方法が明らかにされているかもしれない。
遅ればせながら今後のGo Toの施策について、次のような提案をさせていただきたいと思う。
Go Toの復活(“復活”というより“新キャンペーン”の実施と考えたい)の目標に、従前の「(観光)旅行の復活(増加)促進とそれによる観光業界の苦境救済」と共に、「今後の新型コロナ感染防止ないし流行収束のための『新観光』促進」を掲げてはと考える。
専門家の知見によればコロナは今後も程度の差はあれ、当分波動的に蔓延が続くと考えられ、長期にわたって警戒予防対策が必要だとのことである。いわばウィズコロナの状況が当分続くことになる。
この状態のなかでも「観光」を持続発展させるために、さらに進んでコロナ感染防止を、観光行動を通じて行えるような施策を工夫し、その促進のためのGo Toにできればと思う。
たびたび提唱されているように、コロナ感染防止に重要な「3密回避」の旅行方法を観光に伴う交通機関の利用と、宿泊供食施設利用のなかで実施定着させるため、Go Toとその資金を活用することを考えたい。
交通機関については、5列座席の3列利用、4列座席の2列利用など座席定員以下の利用で「密」を防止する。旅館、ホテルの利用に当たっても個室利用をはじめ、4人室の3人利用や2人室の1人利用などとし、会食などでも同様の座席数以下での利用とする。
さらに、進んで各施設とも必要に応じて座席間隔や壁(プラスチック板など)設置など、設備上の感染防止対策も恒常化することが必要であり、今後、これらは臨時措置でなく“対コロナ観光特別メニュー”として定常的に提供することを考えたい。
この場合、事業者側で得べかりし収入を失う(定員以下の利用による減収)恐れがある。この補填を一部は観光客に「安心料」として上乗せして、一部を負担してもらうことも考えられる。Go To資金によって、全部ないし一部を補填し、事業者の負担を軽減して、全体として利用促進をはかることである。
さらに、現在Go Toは緊急対策であり、継続的なものとはされていない。しかし、前述のようにウィズコロナが長期間続くと考えられるので、コロナの完全収束を見るまで、即ち“対コロナ観光メニュー”が必要な期間持続してはと考えられる。再開のGo Toキャンペーンを旅行費用の一率補助から一歩進んで①コロナ収束のための施策として、また②持続的観光の発展③業界の経営環境改善のため――など多目的に活用することを期待したいと思う。
GoToトラベルは昨年高級旅館に恩恵が有った。次回は10000円以下の宿・卒業旅行や春合宿・研修旅行等の閑散時の合宿等の団体旅行に期待したい。