国内宿泊CPを開始(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)の国内・訪日旅行業務部は4月1日から、各会員会社の協定旅館ホテル連盟などと協力して「もう一泊、もう一度(ひとたび)」プレゼントキャンペーン2011を開始した。「日本を元気に、旅で笑顔に」をコンセプトに、来年3月まで年間を通じて行う。JATAの会員会社で購入した国内宿泊旅行の泊数に応じて応募できるクローズド懸賞で、宿泊券や旅行券などが当たる。

 「もう一泊、もう一度」コースは、4泊を1口として応募する通年コースで、A賞はペア宿泊券が100組200人に、B賞は旅行券3万円分が100人に当たる。1泊から応募可能なのは「春夏秋冬」コース。3カ月ごとに抽選を行い、各100人、計400人に日本の名産が当たる。賞品は桃やだだちゃ豆など選べるプレゼントを用意するという。

 また、中学生以下の子供がいる家族のみ応募できる「家族旅行特別コース」も設定。1泊1口で応募できる。賞品が「親子農業漁業体験ツアー」のため、締め切りは9月30日到着分まで。実施は11月の土―日曜日の1泊2日。東京、大阪、福岡発の設定で、それぞれ10家族(1家族4人)を招待する。

 全コースの応募方法は、キャンペーンサイト(http://mou1paku.com)から出力した専用ハガキか、チラシや小冊子に印刷された応募ハガキに、JATA会員会社で1泊につき1個押されるスタンプを必要数集めて投函。応募対象宿泊期間は12年3月1日チェックアウト分まで。

 3年目を迎えた同CPは認知度もあがっており、昨年度の応募数は合計8万8441通。今年は、会員会社の自社CPとしてもみえるようなロゴを、インターネットからダウンロードできる工夫も用意した。

「半宿半X(エックス)」で生き残り

井門 隆夫氏(井門観光研究所代表取締役)

 井門観光研究所代表取締役の井門隆夫氏は3月30日、日本観光旅館連盟東京都支部と東京都ホテル旅館生活衛生同業組合の合同春季研修会で、「5年後に大きく変わる宿泊市場、新事業モデルを考える」について語った。要旨を紹介する。

 宿泊予約サイトに依存する宿は、週末しか売れず単価は下がる一方。被災者向けの1泊3食付き3千―5千円プランが今後、一般観光客向けにもなるかもしれない。ネット宿泊業者の網から抜け出し、単価の高い自社ホームページから予約を取れるように、もっと真剣に考える必要がある。 さらに最近は土・日2連休を取れる人が減り、水・日などの分散休日が増え、宿泊観光旅行に必要な2連休が取りづらい状況で、どうしても0泊2食や日帰り温泉が増える構造が現状だ。

 経営破綻した地方の旅館を安く買い、格安の均一料金でバイキング導入してチェーン店化するLCI(ロー・コスト・イン)では、食材原価率は14%、人件費は22%でFLコスト(食材と人件費)が36%前後。FLコスト55%が常識の旅館業界は太刀打ちできない。また、5年後の2016年以降は65歳以上の人口も増えない。宿泊業など高齢者人口に依存している事業モデルが崩壊する年でもある。LCIも今後5年間で稼ぎ切り、中国などアジア資本に売り払うかもしれない。

 長期にわたり、旅館業を営んでいくには、一つのビジネスモデルに頼らず変化していかなければ生き残れない。どうすればいいか。答えはないが幾つかヒントはある。

 個別の宿18軒が共同で顧客管理や人材の出向まで行う「一の宿倶楽部」というボランタリーチェーンがある。どこかが被災すればグループ内の人材の移動も可能。今や1軒で営業しようとすれば2割の営業減少になるまで成長した。

 長野県の明神館はレンタカー事業の許可を取得して、電気自動車(EV)を導入。排ガス規制の上高地でEVを貸し出し、連泊・滞在客に対応する「半宿半レンタカー業」を実践している。宮城県・東鳴子温泉の「旅館大沼」は高性能スピーカーも販売する「半宿半音」事業と言ってもいい。そのほか「半宿半農」など今後「半宿半X」が生き残りのカギを握る。

黒部・宇奈月温泉観光協会、観光局に組織移行

「黒部の観光司令塔になりたい」と川端代表理事
「黒部の観光司令塔になりたい」と川端代表理事

 富山県の黒部・宇奈月温泉観光協会(川端康夫会長)は、2014年度の北陸新幹線開業に向け、さらなる誘客促進と受け入れ態勢の強化をはかるべく、同協会を発展的に解消させ、新たな観光戦略の司令塔となる「黒部・宇奈月温泉観光局」を設立した。組織体制を強化し、旅行商品の企画・商品化、情報プロモーションの強化、おもてなしの推進を3本柱に、官民はもちろん、農業・漁業、地場産業など幅広い産業と連携し「観光くろべ」の確立を目指す。

 4月5日に開かれた設立総会では、川端会長(黒部商工会議所会頭)が代表理事に選任されたのをはじめ、すべての議案が承認可決された。

 新年度事業としては、第2種旅行業の早期取得と、それに伴う独自の旅行商品の企画・販売、黒部・宇奈月温泉エリアの関係者・有識者による観光戦略会議の実施、宣伝活動の強化、地元向けもてなし講演会の開催、観光ボランティアの新組織設置などに取り組むことが決まった。

 川端代表理事は「厳しい状況下では、強い組織が必要。観光局の一番の強みはマンパワー。専門分野や行政からも人が集まり、これまで以上に官民一体となった組織ができた。とりまく環境は厳しいが、こういう時だからこそ、次の局面に向けた準備が必要になる。新たな黒部の観光司令塔となっていきたい」と抱負を語った。

 来賓で招かれた黒部市の堀内康男市長は「新幹線開業を4年後に控え、観光局には地域の観光戦略を牽引してもらいたい。市もこれまで、新幹線を生かしたまちづくりとして、主にハード整備を行ってきたが、これからはソフト面を強化する段階。各分野の団体ともしっかりと連携をはかり、観光振興に取り組みたい」と述べた。

 新組織への移行に伴い、事務局体制も強化。新たに戦略推進プロデューサーとプロモーションチーフを旅行会社から招くなど、7人体制となった。観光局の事務局は、これまで通り黒部市宇奈月庁舎に置く。

【塩野 俊誉】

自粛ムード払拭へ、四国の旅館3団体が宣言

あいさつする近兼会長
あいさつする近兼会長

 東日本大震災の影響で旅行業界に蔓延する過度な自粛ムードを払拭させようと4月10日、香川県琴平町の琴平グランドホテル紅梅亭で「東日本被災地の復興祈願及び元気な観光日本四国会議」が開かれた。

 日本観光旅館連盟の近兼孝休会長(琴平グランドホテル会長)が会議開催を働きかけ、日観連四国支部連合会と国際観光旅館連盟四国支部、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会四国ブロックの3団体が主催した。

 四国の旅館・観光施設や行政関係者、旅行会社の支店長など約60人が集結し、元気な四国の積極的なPRなど6項目の「四国会議宣言」を採択。業界復活に向け、まずは四国から元気を出すことで満場一致した。

 会議冒頭、全員で黙祷を捧げたあと、近兼会長が「国観連の会長が岩手出身で全旅連の会長が山形出身。3団体の会長会を行った際、会員を思う2人の気持ちに胸を打たれた。西日本から、言うなれば四国から復興の風を送ろうと決意した」とあいさつした。

 来賓の観光庁の山田尚義審議官は「直接被害のないエリアでも旅行キャンセルが相次ぎ、深刻な状況だ。過度な自粛から脱却し、催事やイベント開催など積極的に取り組むことが重要。全国に先駆けて、四国でこのような会議が行われたことは大変意義深い」と述べた。激減するインバウンド客については「放射能や停電、水など正確な情報を世界に向けて発信していく」と話した。

 山田審議官に対して、旅館経営者から「インバウンドも結構だが国内観光にもっと比重を置くべきではないか」「業界復活に向け具体的なアクションプランを示してほしい」などの声が上がった。

 四国会議宣言では、政府に対し、(1)復興計画の早急な樹立(2)福島原発の安全体制確立(3)世界への正確な情報発信――なども盛り込んだ。お接待の心で被災者を受け入れる東日本応援キャンペーンも行う。

 最後は日観連四国支部連合会の河内広志会長が音頭を取り、全員で「がんばろう!」と拳を上げて三唱した。

【土橋 孝秀】

よしのや依緑園、斉木別館とも黒字

 湯快リゾート(東原一夫社長、京都府)はこのほど、同社が運営する石川県・山中温泉のよしのや依緑園と、鳥取県・三朝温泉の斉木別館がそれぞれ「2010年3月期の単年度収支で黒字化した」と発表した。2007年12月から運営する「斉木別館」は売上高6億9千万円、経常利益700万円で利益率は1・1%。旅行会社からの安定的な送客と、自社の送客プロモーションが奏功した。一方、10年3月にリニューアルオープンした「よしのや依緑園」は売上高5億4千万円、経常利益2100万円で利益率は4・0%。リニューアルキャンペーンで高稼働率を維持したほか、観光シーズンでの集客が好調だったという。

 同社は、365日同一料金で、1泊2食7800円のワンプライス施設が中心の「湯快リゾート」と、伝統的な日本旅館スタイルの斉木別館、よしのや依緑園、矢田屋松濤園(石川県・片山津温泉)の3館で構成する「湯快倶楽部」を運営している。

被災4理事長を訪問、佐藤会長、野澤氏が激励

(左から)菅野理事長、佐藤会長、野澤氏(ホテル華の湯)
(左から)菅野理事長、佐藤会長、野澤氏(ホテル華の湯)

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の佐藤信幸会長と、野澤幸司常務理事・厚生委員長は4月6―8日までの3日間、東日本大震災で被災した茨城、福島、宮城、岩手の4県の旅館ホテル生活衛生同業組合の理事長と面会し慰問した。

 3月11日以降、旅館・ホテル業界は宿泊予約キャンセルが相次ぎ、大変厳しい経営状況が続いている。このような状況を受けて、佐藤会長は義援金100万円を面会した4県の理事長に渡し、激励した。また、新潟県旅館生活衛生同業組合理事長の野澤氏は、3年間に2度の震災を経験、その後どのような活動を行い復興を遂げたか、といった相談にも応じた。

 訪問したのは、6日に茨城県水戸市の三の丸ホテルで茨城県ホテル旅館生活衛生同業組合の村田實理事長(五浦観光ホテル)ほか理事、7日は福島県郡山市磐梯熱海温泉のホテル華の湯で福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の菅野豊理事長、宮城県仙台市秋保温泉のホテル佐勘で宮城県ホテル生活衛生同業組合の佐藤勘三郎理事長、そして8日は岩手県宮古市の宮古ホテル沢田屋で岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合の沢田克司理事長と面会した。

大澤知事が農産物安全宣言、群馬県、4月末から宿泊CPも

 群馬県は4月8日に、国の原子力災害対策本部から県内産のホウレンソウとカキナの出荷停止が解除されたことを受け、「群馬県農産物」の安全宣言を発表した。11日には東京・銀座のぐんま総合情報センターで、大澤正明知事自ら来場者にホウレンソウなどを無料配布。福田康夫元首相も登場して群馬の農産物の安全性をPRした。

 また、県内の観光地にも旅行自粛などにより震災の影響がでていることから、大澤知事は「宿泊施設と連携したキャンペーンも4月末から展開する。宿泊費の一部は義援金にし、宿泊客には群馬の安全な野菜をプレゼントする予定だ」と語った。

“復興支援”を柱に桜まつりを実施、みちのく三大桜名所

北上展勝地
北上展勝地

 岩手県北上市と秋田県仙北市、青森県弘前市の3市は共通の観光素材の桜を、みちのく三大桜名所として売り出している。今年は3市とも先の東日本大震災の復興支援を柱にした祭りとして開催する。

 北上市の桜の名所は北上川河畔の「展勝地」。1920年に和賀展勝会によって桜の植栽事業が行われ、翌年開園した。293ヘクタールの園内には4月中旬―5月上旬にかけてソメイヨシノやヤマザクラなど約150種の桜が咲き乱れる。珊瑚橋から2キロに渡り続く桜並木を観光馬車で巡るのも良い。今年の桜まつりは名称を「がんばろう岩手!展勝地の桜」として4月15日―5月5日まで開催。会場内で被災者への義援金を募るほか被災地から北上に避難している人、被災地からの観覧招待も検討している。さらに4月29日には復興の願いを込めた北上鬼剣舞連合会による舞いを予定している。

 仙北市の桜の名所は角館の「武家屋敷通り」と「桧木内川堤」。「武家屋敷通り」はかつての中・下級武士の侍屋敷である旧家が建ち並び、その黒板塀を覆うようにシダレザクラが咲く。黒塀と桜のピンクのコントラストが鮮やか。「桧木内川堤」は約400本のソメイヨシノの並木が約2キロに渡り続く。これらは1934年に、その前年の桧木内川左岸堤防築堤と当時の皇太子明仁親王の生誕を祝し町民によって植えられたもの。毎年4月下旬―5月上旬にかけて鮮やかに咲く(ソメイヨシノはシダレサクラより2日ほど開花が遅い)。今年の桜まつりは名称を「がんばろう!東北 角館の桜」とし、4月22日―5月5日まで開催。駐車料金の一部(普通車200円、中型車400円、大型車800円)を義援金に充てるほか例年午前零時までのライトアップを午後10時までに短縮、さらに電飾の距離も短くする。

 青森県弘前市の桜名所は「弘前城」(弘前公園)。4月下旬―5月上旬にかけてソメイヨシノを中心にシダレザクラ、ヤエザクラなど50種以上、約2600本の桜が園内を埋め尽くす。古城の白壁と老松の緑が相まって一層、美しさを醸し出す。

 「弘前さくらまつり」は4月26日―5月5日まで開催。期間中のイベントなどは例年通り実施するが、節電のためライトアップの距離を短縮予定のほか被災地にバスで迎えに行き弘前の桜を観賞してもらうなどの受け入れも予定。

 同市の葛西憲之市長は「日本一と自負する桜はさまざまな天変地異や苦難を乗り越えながら毎年鮮やかに咲く。今回被災された地域も必ず復興できる。この思いを、桜を通して被災地に届けたい」としている。

【野村 一史】

“観光で日本を元気に”、自粛打破へ、観光庁発信

溝畑宏長官
溝畑宏長官

 観光庁は4月12日、全国の各自治体や観光関係団体などに「観光で日本を元気に」というスローガンのもと、観光に積極的に取り組むようメッセージを発信した。東日本大震災後に観光業界へ壊滅的な影響を及ぼしている全国的な旅行自粛ムードを打破する狙いだ。

 観光庁によると、3月11日―4月8日までの旅館・ホテルの宿泊キャンセルは、東北・関東地方で39万人、それ以外の地域でも17万人にのぼった。このうち岩手県と千葉県のデータはいまだ集まらず、報告が入ればキャンセル数は大幅に膨らむ見込みだ。また、国内旅行の予約数は、震災前の3月第1週と比較し、3月は20―40%減、4、5月の予約数も前年同期比20―45%減と大幅に減少している。

 観光庁は、各都道府県や市町村、経済団体などから「全国的な自粛ムードに対する国の指針を示してほしい」との要望を受諾。関西広域連合の申し合わせや、前日の宮城県知事による「過度に自粛せず、被災者の分まで経済活動やイベント開催を積極的に」というメッセージをきっかけに、「観光で日本を元気に」するべく観光振興を積極的に取り組むよう関係者に通知を出した。

 同日に開いた会見で観光庁の溝畑宏長官は「さまざまな節電努力を行いながら、被災地復興のために経済を委縮させずに、観光により『日本の元気』を積極的に発信すべき。今回をきっかけに自粛ムードを打破せねば」と語った。

 ビジット・ジャパン事業については「本格的な再開には時間がかかるが、すでに準備を始めている」と話し、先日訪中した際の感触について「中国人の訪日のニーズは変わらない」という。新しい訪日外客数目標については、「VJ事業が本格的に再開してから検討する」とした。

 なお、MICE事業については、被災地以外も合わせ約60件程度、延期または中止になったことを報告した。

No.277 新燃岳風評被害からの脱却 - 霧島市観光の将来像を語る

新燃岳風評被害からの脱却
霧島市観光の将来像を語る

 鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島連山・新燃岳が1月26日に噴火してから、直接の噴火被害や降灰もほとんど無い霧島温泉のホテル・旅館が、連日のテレビ、新聞報道による風評被害で、宿泊キャンセルが続くなど観光業界を中心に大きな打撃を受けている。そこで、地元行政と観光関係者に、霧島温泉の現状や桜島と霧島連山に囲まれた大自然、歴史文化、空港、高速道など交通の利便性など、魅力的な観光資源を生かした「霧島市の観光将来像」を語ってもらった。

【司会=関西支社長・有島 誠】

     ◆   ◆

〈座談会出席者〉
前田 終止氏(霧島市長)
奈良迫 英光氏(鹿児島県観光プロデューサー)
徳重 克彦氏(霧島市観光協会 会長)
蔵前 壮一氏(霧島温泉旅館協会 会長)
花俣 幹男氏(霧島国際ホテル 社長)

     ◆   ◆

 ――新燃岳と霧島温泉の現況は。

■前田:今年1月26日の噴火活動から、爆発的噴火は13回。それ以降は約1カ月半の間、小規模な噴火はあるものの、爆発的噴火はない。3月22日には、半径4キロだった警戒範囲が3キロに縮小され、宮崎県のえびの高原に通じる県道1号線も開通した。

 残る懸案事項は、韓国岳、大浪池の登山解禁だけだ。関係者の調査では、登山道などは今までと全く変わらず、噴石も見られなかったという。安全性を最優先に考えながら、入山時期について専門家の意見を聞き検討している。

 一方、風向きにより噴石や降灰の被害が大きい高千穂峰への登山は当分の間無理と考えているが、登山口にある高千穂河原への道路の降灰除去を進め、ビジターセンターや駐車場の解放に向けてできる限り努力したい。宮崎県都城市などへの降灰も1カ月以上ほとんどない。

霧島の温泉街は平常

■徳重:霧島のこの1年を振り返ると、まず口蹄疫で昨年7月の霧島温泉宿泊客が30%減という過去最大の影響を受けたことから、10月1日から行政と観光関係者、地域が一丸となって「いざ霧島!!100万人キャンペーン」を展開し、12月には100%近くまで回復した。3月には九州新幹線開業も控え、さあ、これからという時に噴火が起こり、2月1日には空振被害で霧島市全体が爆発の影響を受けているように報道された。

 1月26日から2月22日までの宿泊・日帰り客のキャンセルは約2万7千人。霧島温泉の宿泊者数は、2月だけで前年比約64%減と落ち込んだ。観光復活を目指し頑張っているが、東日本大震災でさらにキャンセルが発生した。行政と宿泊施設などの各団体が一体となり、温泉を無料開放する「にっこり入浴の日」を設け、いつもと変わらない霧島を知っていただくイベントを展開している。

■蔵前:霧島温泉の観光客は年間420万人。観光客とは交流人口のことで、今回の噴火で観光客が皆無となるような体験をした。ホテルや旅館だけでなく、ゴルフ場や見学・体験施設などさまざまな施設に影響が及んだ。「にっこり入浴の日」は久しぶりに入浴客でにぎわい、温泉街の飲食店や観光施設に一次的に活気が戻り、観光客のありがたさを改めて実感した。

■花俣:今一番の問題は雇用。助成制度を受けながら解雇を避ける方針でやっている。ただ長引くと体力勝負になる。3月には個人客が徐々に戻っているが、団体はまだ厳しい。

■奈良迫:今回の噴火で霧島の観光客が最も減少したが、指宿、鹿児島市も影響があった。県と観光連盟では2月1日に福岡でランチミーティングを開き安全をPRしたほか、福岡のエージェントやマスコミ、東京のメディア系旅行会社などに状況を説明。3月4、5日には東京、大阪のエージェント、マスコミの招へい事業も行い、現地の安全を確認してもらった。

 

※ 詳細は本紙1417号または日経テレコン21でお読みいただけます。