被災者を受け入れる――地域への社会貢献から(4/1付)

 東日本巨大地震による被災者・震災地への支援の輪が広がっている。日本国内だけでなく、世界中に広がっていることに驚く。意外な相手からの支援申し出には感動すら覚える。国の大小、貧富、遠近を問わず、さまざまな国・地域・個人から人的、金銭、物資、エネルギー、技術支援の申し出が届いている。
 どちらかといえば、日本は世界中を援助する立場だった。だが、途方に暮れた状態で、世界中から次々と届く「支援表明」の気持ちには心強さを感じる。
 被災地周辺でも、ようやくライフラインが復旧してきた。電車が走り出し、スーパーマーケットにかつてのにぎわいが戻る。日常生活への歯車が少しずつ動き出した様相だ。避難所で生活している被災者には、全国の宿泊施設が受け入れを表明している。3月28日現在、県境を越えた旅館・ホテルでの被災者の受入れ可能な数は23都府県、7万1100人にのぼる。
 大規模な災害が起これば、多数の被災者が出る。観光業界も、地域が復旧し風評などの被害が収まるまでの長期間、営業的に大きな損害を被ることになる。この大震災では、災害救助法が適用され、旅館・ホテルが被災者を受け入れた場合、1人当たり1泊3食付きで一定額(5千円以内)が被災県や国から支払われることになった。被災者にとっては仮設住宅ができるまでの期間、温かい布団の確保や大浴場での入浴が可能となる。観光客の足が止まった宿泊施設にとっても、地域への社会貢献を果たすことができる。今回、観光庁は被災県と受入県の調整も迅速に対応した。この未曾有の大災害を一つの事例として、今後被災者に対して旅館・ホテルが受け入れるという大きな流れをつくっていきたい。
 しかしながら、自粛というものなのか、観光マインドは極限にまで落ち込んでいる。全国各地の観光地が閑散とし、旅館・ホテルのキャンセルも多数発生している状況だ。局地的ではなく、これほど広範囲に観光客が減少する経験は、これまでになかったのではないか。深刻な状況であることは間違いない。
 07年に能登半島地震の被害を受けた加賀屋は、被害を受けた館が修復するまでの間、従業員教育を集中的に行った。ただ一つ言えるとしたら、生業を続けていく以上、常に次の段階を見ながら、前進するしかないのである。
(編集長・増田 剛)

【4/9・10】ザ・フィッシュ(房総)で被災地応援イベント


千葉県・南房総のザ・フィッシュで4月9、10の両日、販売を通じて地域を元気にし、被災地応援のための義援金に貢献できるチャリティーイベント「フィッシュから元気発信!がんばれ日本をチャリティー得(とく)市」が開かれます。「観光施設という特性をいかし、集い、食べ、買って、遊んでいただく事で、収益金の一部を震災で被災された方々への義援金として役立てて頂く」(同社)という。皆様のご来場をお待ちしています。

■開催概要
●イベント名:フィッシュから元気発信!がんばれ日本をチャリティー得(とく)市

●日時:4月9、10日 午前11時~午後3時まで(雨天決行)

●場所:ザ・フィッシュ駐車場特設会場

●開催内容:
房総の新鮮な果物、お花、鮮魚、パン、卵やスイーツなどを最大半額~大変お得な特別価格で限定数販売いたします。また、これがデビューとなる金谷のB級グルメバーガーの実演販売やかじめ汁の無料ふるまいなども行います。体験イベントでは、佐貫の綾部商店さんによる手焼きせんべい体験や綿菓子つくり体験など。音楽の野外ライブも行います。震災余波の中で、日本全体が落ち込んでいる中ではありますが、少しでも明るく前を向いていこう!という元気なイベントです!収益金の一部は4月10日にとりまとめ、日本赤十字社を通じて義援金として寄付いたします。ぜひご家族皆様でご来場ください。

1)海鮮浜焼きバーベキュー(ほたて、いか、さざえの炭火焼) 通常200円→100円
2)房総のいちご・花・野菜産直市 いちご700g→300円、 房総のお花5本→100円など
3)ご当地B級グルメ『さんがバーガー』炭火焼き実演! 通常350円→200円
4)あっつあつとろとろ!『かじめ汁』先着200名さま無料ふるまい!
5)回転寿司『船主』の『巻きずし&おいなりさん』 1パック通常450円→250円!!
6)ベーカリーで焼きたての『ラウンド食パン』 1本通常250円→150円!房総ミルク入りのふわふわ食パン。1日60本限定!早い者勝ちだよ♪
7)『二黄卵』1パック通常 250円→200円!ひとつの卵の中に、黄身がふたつ入った超おとくな卵。2個入りの目玉焼きがすぐできる
8)もっちもち、蒸したて『黒糖まんじゅう』1個通常90円→50円!モンドセレクション金賞の手作り黒糖まんじゅうの特別セール! 
9)おさかな市場より 各種『干物』が安い!!
10)自宅用でも、お土産でも! 各種『房総の郷土菓子』アウトレットセール!

●お問合せ 電話:0439-69-2161 千葉県富津市金谷2288(東京湾フェリー港となり)  ザ・フィッシュホームページはこちら

1千万円を寄付ユーザーも募金、コロプラ

 携帯位置登録ゲームを運営するコロプラ(馬場功淳社長、東京都渋谷区)は3月14日、「東北地方太平洋沖地震」の被災地に対し、1千万円を寄付すると発表した。

 これとは別に同社運営のゲームサービス「コロニーな生活☆PLUS」と「キャリーストーリー」のゲームユーザーに対して、ゲームと連動した形の募金を呼び掛けている。同日現在、「コロニーな生活☆PLUS」では2千万円を超える募金が集まっているという。災害義援金は、日本赤十字社を通じて寄付をする。ユーザーからの義援金合計は後日、発表予定。

 ユーザー同士でもゲーム内の支援の輪が自発的に広がっており、同社の千葉功太郎副社長は「ユーザーの皆様の『助け合い』の気持ちを全国に伝え、被災地の皆様のご無事を祈りながら、募金や節電を通して日本を元気にする一助になれば」と話している。

おみやげコンテスト、栄冠は「街並はがき」

グランプリの「街並はがき」
グランプリの「街並はがき」

 観光庁は3月9日、「魅力ある日本のおみやげコンテスト2011」の受賞商品の表彰式を、羽田空港国際線旅客ターミナルで開いた。グランプリに選ばれた「街並はがき」を作った山岡進さん(東京都)などが表彰された。

 主催者を代表して観光庁の溝畑宏長官は受賞者へのお祝いを述べ、「観光は地域の魅力をブランド化し国内外にアピールして、経済の活性化や地域の振興につなげる重要な産業。おみやげは訪日外客を増やすための大切なツールで、品質やブランドが重要だ」と話した。

受賞者の皆さん
受賞者の皆さん

 グランプリ以外の受賞は、部門賞のTRADITIONAL JAPAN部門金賞を西田商店(京都府)の「手作りミニチュア着物」が、ESSENTIAL JAPAN部門金賞を広栄社(大阪府)の「三角ようじ20本小紋柄3コセット」が、COOL JAPAN部門金賞を京都シルク(京都府)の「お寿司のUSBメモリーおみやげセット」などが受賞。

 各国・地域賞は、韓国・イギリス賞に金照堂(佐賀県)の「富士山ペアぐい呑」、インド・マレーシア賞に南風堂(沖縄県)の「染紅型豆財布」、中国賞に絹あそび橋本修治商店(京都府)の「おくるみ人形うさぎ」などが選ばれた。

 また、国連が定める国際森林年にちなみ、国際森林年特別賞にはストローファーム(高知県)の「ままごとセット」が受賞した。

新「いしかり」を披露、東京港でセレモニー

新船「いしかり」船内で
新船「いしかり」船内で

 太平洋フェリーは3月11日、東京港晴海ふ頭で新船「いしかり」の初入港歓迎セレモニーや船内見学会を開いた。

 船内のシアターラウンジ「ミコノス」で開いたセレモニーでは東京都東京港管理事務所の小幡和輝所長と東京ポートガイドの堀池真由美さんから、山田成宏船長、佐藤仁機関長に入港記念楯と花束が贈呈された。渡邊哲郎社長は、定期航路で寄港しない東京港で新船披露できたことの喜びを伝えるとともに、「高速道優遇政策や燃料高など、厳しい経営環境のなかにあるが、モーダルシフト(輸送転換)の担い手として、社会的使命を全うしたい」と就航へ意欲を見せた。

 新船は現在運航している「いしかり」に代わるもので、船名はそのまま引き継いだ。「エーゲ海の輝き」を統一コンセプトに、内装は白と青を基調とした。個室を2倍の147室としたほか、女性専用室も設けた。防振対策も施し、乗り心地も改善した。全長は約200メートル、全幅27メートル、総トン数は約1万6千トン。旅客定員は777人で、トラック184台、乗用車は100台を積める。同社11隻目の船で、05年1月に就航した「きそ」以来、6年ぶりの新船となる。

◇ ◇

【地震で当面欠航に】

 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響で3月31日までの出港便は全便欠航する。同社は4月以降の運航についても未定とし、新規の予約受付は停止している。(3月19現在)

霧島の安全を現地確認、東京・大阪の旅行会社など

白煙だけで穏やかな新燃岳(3月4日撮影)
白煙だけで穏やかな新燃岳(3月4日撮影)

 霧島連山・新燃岳の噴火活動に伴う風評被害などで、宿泊キャンセルや観光客の減少が続く霧島地区の現状を正確に把握してもらおうと、鹿児島県は東京、大阪地区の旅行会社、マスコミ関係者20人を3月4日から2日間の日程で霧島に招き、現地視察と地元観光関係者との情報交換会などを行った。

 今年1月26日に突然噴火した新燃岳は、宮崎県・都城市を中心に降灰などによる被害をもたらしたが、霧島地区では2月1日の空震による一部施設の窓ガラス破損以外は、降灰もほとんど無く、温泉街のホテル・旅館や飲食店などは平常通り営業している。

温泉街は平常
温泉街は平常

 新燃岳も視察当日は、テレビなどで流れる爆発噴火が嘘のように、水蒸気らしき白煙が山頂から昇るだけで、穏やかなようすを見せていた。

 鹿児島空港で合流した一行は、空港近くの酒匠工房GEN「バレル・バレー」で昼食後に霧島温泉へ向かい、まず霧島いわさきホテルを視察。出迎えた福山重人副支配人が館内を案内した。

 敷地内には、薩摩藩家老の小松帯刀が病気療養し、龍馬も訪れた栄之尾(えのお)温泉があり、現在、露天風呂「緑渓湯苑」として営業している。福山さんは「火山灰や空震の被害もない。地元も頑張っており、安心安全な霧島をお客様に伝えていただきたい」と訴えた。

 このあと、新燃岳と高千穂峰を一望する神話の里公園を訪れ、標高700㍍の展望台から、新燃岳を間近に望んだ。直線距離で6㌔という展望台は、立ち入り禁止4㌔圏外で、南を向くと錦江湾と桜島、その先に開聞岳という風景がパノラマで展開する。

 山の変化では高千穂峰山頂が灰色に覆われている程度で、新燃岳は青く澄んだ空に向かって呼吸するように、時折白煙を吐出していた。

 霧島国際ホテルで行われた情報交換会では、地元関係者約40人近くが出席。宿泊キャンセルによるダメージを報告した。霧島市の前田終止市長は「大河ドラマ・龍馬伝のロケ誘致成功や100万人キャンペーンなど商品券を発券して伸びていたが、噴火による風評被害で3万人のキャンセルが発生し、本当に困っている」と窮状を訴え協力を要請。「再生に向けて新燃岳の一日も早い終息を願い、新幹線開業、春秋のシーズンに向けて頑張っていきたい」と決意を述べた。

 なお、霧島市観光協会では3月12日から6月30日まで宿泊、観光個所でスタンプをもらい、抽選で豪華賞品が当たる「かごっま旅スタンプラリー」も実施。3月31日までは体験型の博覧会も開催中だ。

九州新幹線 3月12日全線開業

【新大阪から“直通1番列車”出発、鹿児島中央まで最速3時間45分】

鹿児島に向けて山陽・九州新幹線1番列車が出発(新大阪)
鹿児島に向けて山陽・九州新幹線1番列車が出発(新大阪)

 九州新幹線(鹿児島ルート)が3月12日、全線開通した。新大阪駅からは、鹿児島中央まで直通運転する山陽・九州新幹線「みずほ601号」が、午前6時に多くの報道陣がカメラを向けるなか、ゆっくりとホームを離れた。

 新大阪駅をはじめ新幹線沿線の各駅では出発、到着に合わせた式典が予定されていたが、11日の東北地方太平洋沖地震で甚大な被害が出たことから、すべての式典や記念行事を中止。静かな新幹線全線開業となった。

 列車は最速の「みずほ」が新大阪―熊本を2時間59分、鹿児島中央まで3時間45分で結び、関西圏と九州が一気に近くなる。

石川県で統一商品、KNTと日本旅行がコラボ

3月10日の会見後、KNTの野中雅彦氏(左)と日本旅行の木村陽一氏
3月10日の会見後、
KNTの野中雅彦氏(左)と日本旅行の木村陽一氏

 近畿日本ツーリスト(KNT)と日本旅行は、石川県にスポットを当てた企画商品を共同で造成し、販売する「日本の旅 き・ら・り いしかわ」を展開する。期間は4月1日から9月30日まで。国内旅行2、3位の両社が、価格まで統一した企画商品を直営、提携販売店、ネット販売も一体となって実施するのは初めての試み。

 石川県観光連盟とJR西日本金沢支社も協力し、期間中の送客目標は、両社計で前年同期比10%増の11万人に設定している。

 今回新たに展開するプランは、能登半島最先端の秘境パワースポット「珠洲岬(聖域の岬)」など、個人では行きにくい地域を周遊するバスプランを設定したほか、1泊2食に能登丼など「いしかわランチ」を味わう「1泊3食付プラン」を展開し新たな旅のスタイルを提案する。

 KNT取締役兼執行役員個人旅行事業本部カンパニー長の野中雅彦氏は「赤い風船は今年40周年、メイトは来年40周年を迎える。両社の長年のノウハウを結集して地域観光の宝を見つめ直し、地域を元気にしていきたい」と述べた。

 日本旅行取締役兼常務執行役員営業企画本部副本部長の木村陽一氏は「両社が一体となって展開することで、新たな需要を生み出すことを目指す。一過性ではなく、プロジェクトを成功させ、継続的に実施していきたい」と語った。

 KNT旅連石川支部(79社)の山岸繁樹支部長は「石川に特化した企画で、旅連としては大変ありがたい。大きな期待をしている」。

 日旅連石川支部(70社)の吉田眞啓支部長は「石川県は金沢に代表される歴史・文化、食の魅力があり、能登には温泉の魅力がある。人に優しい石川県のホスピタリティを全面に出して全国の皆さんをお迎えしたい」と述べた。

 両社コラボ企画「地域を元気にするプロジェクト」は石川県を第1弾とし、今後は他地域での展開や、地元旅行会社や異業種とのコラボ企画も視野に入れている。

ANA、東北へ支援金1億円、物資輸送や救援者の渡航協力も

 全日本空輸(ANA)はこのほど、東北地方太平洋沖地震を受け、被災者の救援や被災地の復興のため、1億円の支援を決定。ANAグループでは、役職員による義援金の募集も行っている。

 また、日本政府と地方自治体の要請に応じて、救援物資の無償輸送協力、救援支援者への無償の座席提供を行っている。期間は4月15日まで、問合せ先03-6735-1000(平日の午前9-12時、午後1―5時)。ANAマイレージクラブ会員には、マイル寄付相当額を復興支援の義援金としてANAホームページ(http://www.ana.co.jp)から1000マイルを一口として受付している。

予備費1500万円を被災者へ、日本ホテル協会が総会で決定

 日本ホテル協会(小川矩良会長)は3月17日、東京都港区のホテルオークラ東京で2011年度春季通常総会を開き、今年度予算の予備費1500万円を東北地方太平洋沖地震の被災者への義援金と、被災した会員ホテルへの見舞金にあてることを決めた。
 また、今後は会員ホテルの協力のもと、会員ホテル従業員やホテル利用者を対象に募金活動を行っていく予定。