空港のレストラン ― もったいない不調和

 早朝、羽田空港に到着した。フライト時刻まで少し時間があったので、レストランでコーヒーを飲みながら飛行機を眺めていた。すると、スーツ姿の若いサラリーマン3人が近くの席でカツカレーを食べ始めた。「仕事に立ち向かう前の早朝からカツカレーを食すとは、素晴らしい姿勢だ」と感心していた。

 間もなく、そのうちの1人の青年が席を立ち、カウンターの女性に向かって歩いて行った。「本当は全部食べたいのだけど、カレーが少なすぎるので……」と、毅然とした態度で半分以上も残っているまっ白いご飯を返却したのだ。見渡せば、残りの2人の男も、別のテーブルでカツカレーを食べている男の皿も皆カレーが極端に少なく、ご飯だけが残っていた。早朝からカツカレーを注文するということを考えれば、皆お腹は減っているのだ。3人の男たちのグループの別の1人は、カレーの無くなったむき出しのカツだけで白いご飯を食べていた。

 私はこのような風景を何度も目にしてきたし、実際自分も似たような経験を多々しているので、ご飯を半分以上残してカウンターに返しに行った青年の無念な気持ちがすごくわかる。本当は、余程の場合でない限り、注文した料理を半分も残して返却なんかしたくはないのだ。

 今さら言うまでもないことだが、カツカレーは、カレーとカツとご飯のハーモニーを楽しむもので、どれか一つでも不完全であれば、すべてが台無しになってしまうという見かけ以上にデリケートな料理である。カレー専門店が出すカツカレーと、トンカツ屋さんが出すカツカレーも、それぞれ重きの置き方に微妙な差があるから面白い。

 空港内のカツカレーは決して安くはない。私なんかは「どうしてこのお店はお客を笑顔にするために、カレーをもう少したっぷりかけてあげないのだろう?」と悔しい気持ちになってしまった。店員だって決して悪気があったわけではない。カウンターの女性は顔を真っ赤にして丁寧に謝り、厨房から今度はカレーがたっぷりとかかったカツカレーが出てきたのだから。

 冷静にしっかりと自分の気持ちを伝えた青年の態度は立派だと思った。しかし、料理屋さんにとって、このテの客との不調和は非常にもったいない。一度でもこういうことがあると、客は二の足を踏んでしまうものなのだ。

(編集長・増田 剛)

外客にWiFi提供、カードで2週間無料に

ID/Passカード
ID/Passカード

みなかみ町、61カ所で

 群馬県みなかみ町(岸良昌町長)は東日本電信電話(NTT東日本)群馬支店と協力し、昨年12月21日から、短期滞在の外国人観光客向けに、Wi―Fiのインターネットが利用できる「ID/Passカード」の提供を開始した。

 NTT東日本のWi―Fiサービス「光ステーション」設置エリアで、2週間無料で接続が可能になる。配布場所は町内の旅館や土産物店など61カ所。

 同町は、昨年8月に開始した「みなかみハピネス・光Wi―Fiタウン観光活性化計画」の第2弾施策として、外国人観光客の受け入れ促進をはかる。同カードの提供は山梨県、長野県長野市に続き、全国で3番目。群馬県内では初めてとなる。なお、福島県ではイベント時に配布した実績があるという。

 接続時はカードに記載されているID・パスワードを利用する。対象は、90日以内の日本入国履歴をパスポートで確認できる外国人旅行者。

第3回かながわ観光大賞、最優はカップヌードルM

表彰を受けるカップヌードルくん
表彰を受けるカップヌードルくん

 神奈川県(黒岩祐治知事)は昨年12月14日、「第3回かながわ観光大賞」の表彰式を行った。グランプリには開館1年足らずで来館者100万人を達成した「カップヌードルミュージアム」が輝いたほか、3部門の大賞と審査員特別賞がそれぞれ選ばれた。

 黒岩知事は「どれも大賞に値するほど素晴らしく、悩みに悩んだ」と審査の過程を振り返った。とくに、グランプリのカップラーメンミュージアムについては「横浜の新しい観光名所として大人気だ。来館すると、インスタントラーメンを発明した安藤百福さんのクリエイティブシンキングが伝わり、勇気づけられる。意義あるミュージアム」と絶賛した。

受賞者と黒岩知事(中央)
受賞者と黒岩知事(中央)

 昨年11月に登場したキャラクター“カップヌードルくん”と表彰を受けたカップラーメンミュージアムの筒井之隆館長は「海外からのお客様にも来ていただきたかったので、国際都市の横浜を選んだが、地元に評価していただいたことは大変名誉なこと。心から嬉しく思う」と喜びを語った。

 審査委員を代表し、東海大学・菅井克行教授は応募全体の印象について「民間レベルで大きな推進力があったことや地域自らが主体となった問題解決型のもの、地域や民、行政が三位一体で地域活性化に取り組んでいる事例が多かった」と今回の特徴を述べた。そのなかで精神性や地域性、創意工夫、集客実績、経済波及効果などをもとに審査を行ったと説明し、各賞の講評を行った。

 グランプリ以下の賞は次の通り。

 【魅力ある観光地づくり部門大賞】小田急箱根ホールディングス「箱根スイーツコレクション」スイーツを切り口に、箱根エリアが一丸で取り組むことで、若い世代など新たな観光客の獲得や上質なイメージ醸成に取り組んだ【観光による地域活性化部門大賞】一夜城ヨロイヅカファーム「一夜城ヨロイヅカファームプロジェクト」パティシエの鎧塚俊彦氏と地元農家、小田原市が連携して施設をオープン。地域の農産物を活用したスイーツショップやレストラン、マルシェなどがあり、月に約1万人が来訪【外国人観光客部門大賞】富士箱根ゲストハウス代表・高橋正美氏「外国人観光客の受け入れを通じた国際観光まちづくり・人づくり」箱根で経営する民宿で、28年間にわたり、75カ国・11万人を超える外国人観光客を受け入れた。「VISIT JAPAN大使」に任命されている【審査委員特別賞】秦野市観光協会「新しい協働型観光振興事業」職員を民間企業経験者で構成。観光資源の発掘やオリジナリティある事業で財源確保に努め、自立した観光協会を目指している。

現代の“八重”に会う、女子大生が会津の旅考案

日本旅行と企画を協議
日本旅行と企画を協議

跡見女子大と日本旅行

 跡見学園女子大学と日本旅行はこのほど、同大学がパートナーシップ協定を結ぶ福島県会津若松市への観光誘客を目的とした、女子大生が考えた旅行商品「現代の八重に会いに行こう!」を関東・甲信越地区の日本旅行グループ店舗で売り出した。

 同商品は、跡見学園女子大学と日本旅行、会津若松市観光課・会津バス観光A.T.Sの産官学連携による「着地型人物観光商品化プロジェクト」(協力=観光庁、日本観光振興協会)として企画・開発された。同大学マネジメント学部の学生は2011年9月にアカデミックインターンシップとして会津若松市を訪問し、観光支援のパートナーシップ協定を締結。風評被害に苦しむ同市への復興支援策を女子大生ならではの視点で考え、観光誘客のための旅行商品の企画を1年以上にわたり進めてきた。

現地でハンサムウーマンを取材
現地でハンサムウーマンを取材

 ツアーコンセプトは「女性をテーマにした会津若松の魅力発信」。ツアーキーワードを「人物観光」とし、会津若松で強く生き抜く女性の魅力を伝える。今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」で注目される会津若松の厳しい時代を生き抜いた女性「新島八重」に焦点を当て、会津若松の女性の強さを受け継ぐ現代のハンサムウーマン4人を学生が発掘。ツアーでは、その日担当するハンサムウーマン1人を訪ね、1時間にわたり交流する。明るく力強く生きる会津若松女性との交流を通して、アクティブで前向きな女性層をはじめとしたツアー参加者に会津若松の新たな魅力を伝えていく。

 跡見学園女子大学観光マネジメント学科の篠原靖准教授は「これまでの女性向けツアーはエステや温泉、スイーツなど表面的な美の追求、『物』を楽しむ内容が多かったが、生徒たちは『人』にスポットを当て、精神的な栄養を吸収できる旅が必要と考えた」と企画過程について語る。

商品パンフレット
商品パンフレット

 実際の商品開発には、「女子旅」企画に強い日本旅行赤い風船事業部のプロジェクトチームが、学生に対しツアー企画についての授業やパンフレットの作成指導などを実施。今回、日本旅行パッケージ旅行「赤い風船」のオプションプランとして販売開始された。

 首都圏各地からのJRと東山温泉「原瀧」の宿泊のセットプランで、大人1人2万1900円。オプションの「現代の八重に会いに行こう!」は参加費2千円。2013年1―3月で500人の販売目標を掲げる。

 
 
 
 
 
 

日経と阪急、協力合意

西尾敏宏社長
西尾敏宏社長

新・日経カルチャー、シニア需要に対応

 日本経済新聞社と阪急交通社は12年12月25日、旅行事業で協力することに合意したと発表した。1月1日付で日経の100%子会社の「日経カルチャー」から旅行事業を新会社に譲渡し、株式の49%を日経が阪急交通社に譲渡。そのうえで新会社の商号を「日経カルチャー」に変更する。日経カルチャーのブランド力と阪急交通社の事業運営ノウハウを組み合わせて、事業規模の拡大を目指す。

 今回の合意で、これまで旅行事業のほか、美術品販売などを手掛けてきた日経カルチャーは、旅行専業の新体制に移行。同社はこれまでも文化的な旅行商品を扱ってきたが、シニア層を中心に増加する旅行需要に対応するため、満足度の高い旅行企画を立案・催行することが重要になると考えた。

 一方、阪急交通社は需要増大が予想される文化的な旅行分野の強化をはかりたい考えで、両社は双方の長所を持ち寄った事業協力が望ましいと判断した。

 新・日経カルチャーの社長には、阪急交通社の前企画統括本部担当部長・西尾敏宏氏が就任。西尾氏は1954年生まれ。1978年に阪急交通社入社後、東日本営業本部仕入部部長や企画統括本部海外企画部部長などを歴任した。

 日経カルチャーの概要は次の通り。

 【住所】東京都千代田区内神田1―6―6 MIFビル【資本金】1億円【従業員数】11人

前向きな旅行意欲持続、JTBが13年旅行動向発表

国内は現状維持で0.3%増、海外は過去最高の1870万人、訪日は7.9%増の890万人

 JTBがこのほど発表した2013年の旅行動向見通しによると、1泊以上の国内旅行人数は前年比0・3%増の2億8700万人、海外旅行人数は同1・5%増の1870万人。また、訪日外国人数は同7・9%増の890万人と、国内、海外、訪日ともに2012年を上回る旅行者数の見通しを立てた。なお、海外と訪日は過去最高値を予測。

 2013年の日本経済は震災からの復興需要と堅調な個人需要が下支えし、緩やかな回復が見込める。内閣府の「これからの生活の力点」調査では、レジャー・余暇生活は10年を底に、食住よりも高い比率で上昇。震災後の反動と、リーマンショック以降の「巣ごもり消費」から外に目が向きつつあることに加え、地デジ化やエコポイント、エコカー減税などの先取り消費が一段落した背景も考えられる。13年前半も引き続きレジャー・旅行への前向きな消費意欲は持続すると予測するが、後半からは14年4月からの消費税引き上げに向け耐久財などへの支出に一部回る可能性も考えられる。

 13年は、週末3連休の回数が前年より3回増加し、GWや夏休み、年末年始のピークシーズン以外の旅行者数増加が見込まれる。また、国内と海外へのLCCの運航路線拡大により、航空機を利用した旅行への見通しも明るい。団塊世代が65歳に達した12年以降、完全退職者が順次増えており、60代の旅行増加が予測され、13年も完全退職者層マーケットがポイントになりそうだ。

 国内旅行は、「選択」消費のなかでレジャー・旅行市場は現状維持が期待されるが、節約志向は依然強く国内線のLCC拡大などもあり、平均消費額は前年比2・4%減の3万2千円と引き続き減少傾向が続くと予想。東京スカイツリーや復原工事を完了した東京駅舎など、東京観光の人気は13年も持続し、銀座・歌舞伎座のこけら落としや東京ディズニーランド開園30周年など、首都圏への観光客の増加が見込まれる。加えて、20年に1度の式年遷宮を迎える伊勢神宮や大河ドラマ「八重の桜」の舞台である会津地方が注目を集めそうだ。また、JR九州が企画した日本初のクルーズトレイン「ななつ星in九州」や、JR東日本が冬以降に東北地方への運行を予定する「SL銀河鉄道」など、単なる移動手段ではなく乗ること自体が目的になる鉄道車両に注目が集まる。

 海外旅行は、過去最高の旅行人数を予測するが、平均消費額は円安により現地消費額の微減やLCCの拡大・増便による運賃競争も見込まれ前年比0・8%減の25万円。国内のLCC3社は13年以降、国際線の新規就航を予定しており多様な選択肢が広がる。また、身近で何度も行ける旅行先として、街歩きが楽しめる近隣の都市やリゾート地の人気がさらに高まり、若者中心に台北、マカオ、シンガポール、バンコク、ハワイが好調に。

 インバウンドは、12年8月以降に大きく減少した中国の傾向が13年前半まで続く模様。震災からの回復が遅れていた韓国は緩やかな回復が期待され、12年並みと予想。台湾、タイ、マレーシアなど東南アジアを中心にアジア諸国からの訪日が伸びると予測した。

琉球芸能を旅行商品へ、県外の視点から評価と意見交換

琉球武家屋敷が舞台の「ククル奏劇場」
琉球武家屋敷が舞台の「ククル奏劇場」

沖縄県「文化観光」で誘客目指す

 沖縄県は2011年度に「文化観光戦略」を策定し、芸術性やエンターテイメント性の高いコンテンツを新たな魅力(マグネットコンテンツ)として観光客誘致・旅行商品化につなげようと、さまざまな取り組みを行っている。1月5、6日には文化観光戦略推進事業として、県外の学識経験者や旅行会社、マスコミ関係者を招待。沖縄の伝統的な歌舞劇「組踊」(くみおどり)やエイサーなどを若手演出家が創作した作品を、「国立劇場おきなわ」(浦添市)でプレ公演を行い、招待者は観劇しその後、意見交換を行った。

【増田 剛】

 

 組踊は、琉球王国時代に玉城朝薫が創始した琉球独自の歌舞劇で、2010年にはユネスコ無形文化遺産リストに登録された。音楽・舞踊・台詞からなり、音楽に琉球音楽、舞踊に琉球舞踊、台詞に琉球語を使用するのが特徴。今回国立劇場おきなわで行われた「文化観光戦略推進事業プレ公演」では、富田めぐみ氏演出作品「Bon Voyage」、嘉数道彦氏演出作品「かりゆし・かりゆし~恋するシーサー~」、名城一幸氏演出作品「琉球幻想絵巻~Glorious RYUKYU“春や春”」、藏當慎也氏演出作品「琉球幻想絵巻AMAMIKIYO~ニライカナイ伝説」、安田辰也氏演出作品「琉球幻想絵巻~FURUSATO~」、照屋忠敏氏演出作品「Ship of The Ryukyu~煌Kirameki」の6作品を2日間で鑑賞し、旅行商品化の可能性などのアンケートを実施した。

国立劇場おきなわ
国立劇場おきなわ

 会場となった国立劇場おきなわは、全国5カ所にある国立劇場の1つ。現状では、土・日曜日の公演が中心で平日はあまり利用されておらず、13年度からは修学旅行生の受入れを本格的に始める予定だ。同館事業課観客劇場係の川平英夫主査は「沖縄の伝統芸能を修学旅行などのツアーオプションとしてどのように組み入れるかが今後の課題」と話す。

 問い合わせ=☎098(871)3311。

 また、読谷村の「体験王国むら咲むら」では、今年1月から2月まで、敷地内の琉球武家屋敷を舞台に、庭先で鑑賞するスタイルの「ククル奏―かなで―劇場」で組踊の定期公演を行う。国立劇場おきなわでの公演に向けての第一ステップという位置づけだ。シーサーづくりなど32工房101の体験ができるテーマパーク内には、宿泊施設やレストランもあり、観劇と合わせた楽しみ方も提案している。

 問い合わせ=☎098(958)1111。

「観光は極めて重要」、太田昭宏国土交通大臣

太田昭宏国交相
太田昭宏国交相

 安倍晋三内閣総理大臣は2012年12月26日、組閣を発表し、国土交通大臣に前公明党代表の太田昭宏氏が就任した。12月28日に行われた就任会見で太田大臣は、「私は観光立国を掲げたときの初動的なメンバーの1人で、『観光』は極めて重要な産業という認識を持っている」と話した。

 外国人観光客の受入体制の現状については、「極めて弱い」との認識を明かし、「観光に携わる方が外国人を受け入れるためのバックアップ体制を作る必要がある」と指摘し、「日本の素晴らしい資源がまだまだ生かされていない。国民全体で接客する心意気が必要」と語った。

 また、航空分野については「オープンスカイ時代における国際拠点空港の整備が大きな課題。羽田・成田の発着枠増加に向けて準備をしているところ」と話した。

 なお、観光を担当する副大臣に鶴保庸介氏、政務官に德田毅氏が就任した。

 太田大臣の略歴は次の通り。

 太田昭宏(衆議院議員、6期、東京12区)。1945年生まれの満67歳。1968年、京都大学工学部土木工学科卒業。71年、同大学院工学研究科修了。同年、公明党機関紙局入社。93年、衆議院議員1期目当選。2006年、公明党代表就任。12年12月、衆議院議員6期目当選、国土交通大臣就任。

韓・東南アジアに注力

井手長官、13年重点施策に言及

 観光庁の井手憲文長官は、2012年12月21日の会見で12年の観光の実績と13年の重点施策について語り、13年のインバウンドについては韓国・ASEANに力を入れていくことを明かした。

 2012年11月の訪日外客数は、2010年比2・2%増の64万8600人。震災以降の数値では12年6月に続く2回目の10年比プラスとなったことを受け、井手長官は「日本全体で2010年レベルまで戻ってきている。13年はこの勢いをさらに加速させたい」と語った。

 韓国は同6・9%減の18万3600人。井手長官は「2割減ぐらいが続いていたのが、ようやくマイナス幅が減ってきた。原発事故の風評被害が和らいできたのとウォンが強くなってきたこと、LCCの新規就航などの好影響」と分析。また、同24・0%減となった中国については「しばらくはマイナスが続くだろう」と語り、東南アジアについては「シンガポール以外のASEANが好調。来年に向けてこの勢いを加速させたい」と語った。

 観光庁はこのほど、日韓観光振興協議会で決まった「13年の日韓交流人口700万人」を目指し、「日韓地方観光交流促進計画」を策定。「日・ASEAN友好協力40周年」を契機とする東南アジアからの訪日促進プロモーションの本格展開も掲げた。

 13年のインバウンドについて井手長官は「中国はもちろんのこと、とくに韓国の回復とASEANの伸びに期待し、より注力していく」と語った。観光庁では13年度予算要求で「東南アジア・訪日100万人プラン」に6億円弱を要求している。

 ≪観光産業政策検討会、13年に取りまとめへ≫

 一方、国内観光については東北観光博に触れ、「旅行業界やJRを中心とする交通機関など官民あげて取り組んできた。東北観光博は13年3月で終わるが、引き続き東北の自治体が主体となり進められるよう観光庁でも後方支援していきたい」と語った。また、12年9月から始まった観光産業政策検討会については「年度内に取りまとめ、13年に実行していけるようにしたい」と力を込めた。

 ≪旅行業者の処分基準の強化へ検討開始≫

 また、中国・万里の長城ツアーで死亡者を出した旅行会社アミューズトラベルを12月19日に登録取消処分したことにも触れ、「トムラウシ山の事故の際は立入検査が遅れたこともあり、今回は4回の立入検査や関係者への聴取など迅速な対応を取った。高速ツアーバス事故後に処分基準を強化したが、さらなる強化へ向けて作業に入った」と処分基準の強化について動き始めたことを明かした。 

観光圏基本方針を改正、観光圏内関係者の連携強化(観光庁)

  観光庁はこのほど、観光圏の整備による観光旅客の来訪と滞在の促進に関する法律「観光圏整備法」にもとづく「観光圏の整備による観光旅客の来訪および滞在の促進に関する基本方針」について改正を行った。施行は2013年3月1日。

 地域での安定的で持続的な一体性を確保した観光地域づくりを促進するために、観光圏の区域設定の要件である「自然、歴史、文化等の密接な関係」を勘案する際に、「生活圏としての関係」を踏まえることを明記した。また、観光圏内の幅広い関係者の観光圏整備事業の連携を強化するために、観光地域づくりマネージャーで構成する観光地域づくりプラットフォームなどを設置し、同組織が事業実施の基本的な方針の策定、地域におけるワンストップ窓口の構築と事業のマネジメントなどを行うことの必要性を明記した。

 地域の誇りある魅力的な地域資源などを一体的かつ有機的に提供することで、観光圏内における滞在・回遊を、より一層促進させるため、観光客の主な拠点となる滞在促進地区を「主たる滞在促進地区」として位置づけ、同地区を中心として、宿泊や移動、魅力あるコンテンツなどを組み合わせた滞在プログラムの提供を強化することを明記。さらに、継続的な観光地域づくりの強化をはかるため、地域住民の意識啓発と参加促進をはかるための取り組みなどを観光圏整備事業の内容として明記した。