休暇分散化、秋先行、ブロック分けは分析深める

 観光庁の溝畑宏長官は2月25日に定例会見を開き、休暇分散化について「秋先行は概ね賛成、地域分散化は賛否両論」という地方ブロック意見交換会での感触について話した。

 観光庁は2月から全国9都市で、休暇取得の分散化に関して地方ブロック意見交換会を実施。「秋を先行し大型連休を設けることには概ね賛成。地域分散化については賛否両論」との感触を報告した。流通業・鉄道業界からは、ビジネスチャンスの拡大と環境負荷の減少による設備投資のムダを省けるとのメリットが挙がる一方で、製造業・金融業界からは依然として、サプライチェーンや金融機関の決算問題などのデメリットが挙げられた。

 また、日本交通公社が12月に行った意識調査によると、「秋の大型連休創設」については、賛成が39・2%、反対が25・5%、どちらともいえないが35・3%。「春の大型連休の分散化」については、賛成が26・2%、反対が44・0%、どちらともいえないが29・8%となった。

 溝畑長官は「メリットの最大化と、デメリットの最少化が重要」とし、「秋先行で、ブロック分けについては、さらに各業界の詳細な調査をし、各問題・課題の分析が必要」と話した。3月の休暇改革国民会議に素案を出せるよう検討を進めていく。

No.273 ランシステム「自遊空間」 - 空きスペースの有効活用を

ランシステム「自遊空間」
空きスペースの有効活用を

 ランシステム(濱田文孝社長、東京都豊島区)は、マンガ喫茶やインターネットカフェ、カラオケなどの多様なコンテンツが一体となった複合カフェを全国で初めて展開した同事業の先駆者だ。同社の複合カフェ「自遊空間」の会員数は1000万人を超える。今後はファミリーや高齢者向けサービスに力を入れるほか、地域や宿泊施設などの空きスペースの有効活用を提案する「自遊空間ステーション」事業も拡大していくという。濱田社長に展望を聞いた。

【聞き手=増田 剛、構成=飯塚 小牧】

「複合カフェの先駆け「自遊空間」、店舗数日本一、会員1000万人」

「シニアや家族に、憩いの空間創出」

 同社は1998年、インターネットカフェにダーツやビリヤード、カラオケなどの多様なコンテンツを含めた「複合カフェ」という業態を作り出した。濱田社長は「リーディングカンパニーという自負があり、この市場をいかに作り上げるか、この産業をいかに活性化させるかが使命だと思っている」と語る。

 2001年には業界内の組織として、日本複合カフェ協会(JCCA、247社)も設立され、濱田社長は副会長を務めている。

濱田文孝社長(旗艦店・BIGBOX高田馬場店)

 同社の複合カフェ「自遊空間」は、北は北海道から南は九州・沖縄まで172店舗を展開し、日本一の店舗数を誇る。このうち、直営店は49店舗、フランチャイズは123店舗。2007年にオープンした東京・高田馬場の旗艦店「BIG BOX高田馬場店」は世界最大級の複合カフェとして、5万冊のコミックを検索できるコミック検索機能や自動入会システム、自動入退場システムなど、最先端のシステムを導入した次世代複合カフェだ。

 

※ 詳細は本紙1413号または日経テレコン21でお読みいただけます。

“平常通り営業”、旅と温泉展で霧島温泉PR

霧島温泉PR

 日本温泉協会(瀧多賀男会長)主催の「第53回旅と温泉展」が2月25―28日まで、東京・新宿駅西口広場イベントコーナーで開かれた。28日には、霧島市観光協会など4団体が共催して、新燃岳の噴火活動によって苦戦する霧島温泉のPRを行った=写真。関平鉱泉龍馬デザインボトルのミネラルウォーターなどを配布し、通常営業している霧島温泉の正確な状況などを説明した。24日には、霧島温泉・霧島神宮温泉の20施設を無料開放するイベント「にっこり入浴の日」を実施。鹿児島や宮崎の近隣客を中心に約5千人が霧島地区の温泉を楽しんだという。

地球に優しい宿へ、3軒の経営者が事例発表

「葉渡利」の萬谷浩幸専務
「葉渡利」の萬谷浩幸専務

日本観光旅館連盟(近兼孝休会長)は2月22日、国際ホテル・レストラン・ショー「HOTERES JAPAN2011」の会場である東京ビッグサイト(東京・有明)で、“外客万来”第2回観光特別セッションを開いた。

 「地球に優しい宿をめざして~全国の実践事例と可能性PART(3)」をテーマに、石川県加賀市山代温泉の「葉渡莉」、長野県小諸市の「常盤館」、福島県猪苗代町の「ヴィラ・イナワシロ」の3館の経営者が事例発表を行った。

 「葉渡莉」専務の萬谷浩幸氏は、“木のぬくもり葉のやさしさ人にやさしく自然にやさしい宿”をコンセプトとして、宿で実施している(1)マイ箸運動(2)打ち水大作戦(3)キャンドルナイト(4)資源再生野菜「加賀五彩」――などの取り組みを紹介した。

 

「常盤館」の花岡隆社長
「常盤館」の花岡隆社長

 常盤館社長の花岡隆氏は、間伐材で27・8%のCO2削減を達成した取り組みや、薪割りボイラー導入の利点に加え、コストや労力に関わる問題点などをあげた。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ヴィラ・イナワシロ」の山田慎一社長
「ヴィラ・イナワシロ」の
山田慎一社長

 自然派創作料理の宿として知られる「ヴィラ・イナワシロ」社長の山田慎一氏は、宿の特徴である「地産地消」の取り組みや、オープンキッチンの演出の特徴などを紹介した。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

TIJ解散 4月から日本観光振興協会に

(左から)舩山会長、二階衆議院議員、溝畑観光庁長官
(左から)舩山会長、二階衆議院議員、溝畑観光庁長官

 日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ、舩山龍二会長)は2月24日、グランドプリンスホテル赤坂(東京都千代田区)で臨時総会を開き、3月31日付でTIJ解散、4月1日から日本観光協会との合体組織「日本観光振興協会」への移行を宣言した。

 舩山会長は「01年のTIJ設立から10年経った。国の観光立国宣言や、ビシットジャパンキャンペーンの展開、観光立国推進基本法の施行と推進計画の策定、5つの基本目標の設定、観光庁の設置、休暇分散化への取り組みなど、この10年間は、我が国の観光行政史上、画期的な10年だった」と振り返り、「4月からスタートする新組織は、基本の事業は継続しつつ、地域との連携をさらに深めていきたい。観光庁の真のパートナーとしての機能や役割を最大限発揮し、観光立国の実現に向け邁進したい」と語った。

 TIJ設立に関わった全国旅行業協会(ANTA)会長の二階俊博衆議院議員も登壇。「ほとんどの人が『観光』に見向きもしないころから携わり、『観光立国』という言葉を使って皆でがんばってきた」と10年の歩みを称えた。さらに、「今日は新しい出発の日、ANTAは新組織を変わらず全面的にバックアップしていく。皆さんも新組織へご協力を」と呼びかけた。

 TIJの各委員会は新組織に引き継がれ、当面のあいだは現行メンバーで行い、必要に応じて新メンバーを追加する。

 TIJの役員はそのまま新組織の役員となり、始動を見守っていく。また、日観協に加入していないTIJ会員は、入会金なしの入会申請を一括して代行で行い、これまでの会費額が新組織の会費額となる。

ぐんまちゃん家が拡張、3月16日リニューアルオープン

 群馬県は3月16日、東京・銀座のぐんま総合情報センター(ぐんまちゃん家)をリニューアルオープンする。1階部分を約50平方メートル拡張し、既存の1階スペースは観光案内に使用し、拡張した部分で物産販売を行う。

 併せて、3月19日に北関東自動車道が全線開通するため、「リニューアル&北関東全線開通記念イベント」を16―19日に開く。16、17日は「ぐんまちゃん家の物産市」、18、19日は「グッドぐんまの農産物フェア」。午前10時から午後6時まで。500円以上の買い物で参加できる抽選会なども実施する。

直販比率強化に「Tポイント」、旅キャピタルと提携

 国際観光旅館連盟(佐藤正義会長)は2月18日、Tトラベルのサイト運営・営業を支援する旅キャピタル(吉村英毅社長、東京都港区)と提携し、Tトラベルへ参画することによりTポイントが貯まり、使えるサービスを国観連会員に導入支援することで合意した。同サービスはTトラベルの国内宿泊予約サイト(http://ttravel.jp/kokunai/)から直販方式のため宿泊施設への送客にも販売手数料はかからない。旅館ホームページからの直予約でもTポイントが貯まり、使える。

 Tポイントは「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の共通ポイント制度。100円につき1ポイントが付与され、1ポイント1円として、ほとんどのアライアンス企業の製品、サービスで利用できる。国内最大規模で、アライアンス企業は全国69社、3万5069店舗。3671万人が利用する。

 宿泊者が宿を予約するとき、選択肢の大きな要因としてポイントプログラムがあげられるなか、国観連はTトラベルへの参画により自社販売の顧客獲得のためにTポイントを活用し、直販比率の強化をはかりたい考え。

 3月末まで国観連会員に向けにTトラベル参画キャンペーンを実施。Tトラベル加盟料金5万2500円(現在はキャンペーン価格2万1千円)が無料。年間サービス利用料金15万1200円(月1万2600円)は12万6千円(月1万500円)に値引き。なお、サービス利用にはポイント端末代金1台に8万4千円の付与実費がかかる。

歓送迎会、研修会は、霧島の宿泊施設で!

 鹿児島県(伊藤祐一郎知事)観光課は2月17日、霧島連山の新燃岳の噴火以降、宿泊客のキャンセルが出ている霧島地区で県職員の歓送迎会などを積極的に開こうという依頼書を、観光課長名で県内各所属長に配布した。

 1月26日の新燃岳噴火後、霧島地区のホテル・旅館は、通常営業しているにも関わらず、約2万人の宿泊キャンセルが出ている。県としても「風評被害で打撃を受けている状況改善のために、少しでも役に立ちたい」として、「今後、歓送迎会や研修会などを計画されている場合には、ぜひ霧島地区の宿泊施設を利用してください」とお願いしている。

 霧島地区で営業している宿泊施設は「元気に営業している霧島の各施設を利用し、霧島を盛り上げようという知事の意向が大きく、我われにとって大変ありがたく、勇気づけられます」と話している。

加盟店集いトップ会開く、独立系ホテルのポイントカード

田中章生社長
田中章生社長

 独立系ホテルのポイントカード運営を手掛けるAカードホテルシステム(田中章生社長、東京都千代田区)は2月22日、東京都内でカード加盟店を対象に「第16回Aカードトップ会」を開いた。講演会のほか、カード会員に行ったアンケート結果の報告や会員獲得数が多かった加盟ホテルの表彰などを実施。会には加盟店など約80人が参加した。

 Aカードは、独立系ビジネスホテルやレストランが加盟するキャッシュバックポイントカード。一般利用者がカード会員となり、加盟店での宿泊などでポイントを貯め、ポイントの一定数に応じた現金が加盟店どこでも受け取れるシステム。現在の加盟店は275軒、会員数は約23万人だ。

 田中社長は「今年中に加盟店400店舗、会員数30万人に増やすのが目標。加盟店は2、3年を目途に600店舗というのが1つのゴール」と説明した。また、加盟店メリットとしてAカード加盟店のビフォアーアフターを紹介。同時期に加盟した3つのホテルの年間稼働率平均は加盟前の59・1%から、次年度に29・1%増の88・2%に大幅アップし、ホテルの年間売上に占めるAカード会員売上は22・6%にのぼったという。「初年度にこの数字がでる。既存の固定客を会員にすると、経費が流出するのではと聞かれるが、それは間違い。口コミで新規のお客様を連れてきてくれるし、絶対に浮気をしないお客様になってもらうためにもAカード会員になってもらうべき」と強調した。

 続いて、Aカード会員1018人を対象に、インターネットで行ったビジネスマンのホテル利用実態に関するアンケートの結果を報告。そのなかで、宿泊者が求める朝食サービスについての設問では「有料でのアップグレード」「地域特産の朝食」「心のこもった充実した朝食」などの要望があり、「地域の特産物を使うなど朝食強化が大手に対抗するポイントになるのではないか」と提案した。さらに、会員のキャッシュバックの使い道は、6割が食事代やお土産代、宿泊のグレードアップなど出張地で利用されることから、「地元で消費するのが、他のポイントシステムと異なる特徴」と地域へのメリットも印象づけた。

 その後は、Aカードホテルシステムの関連会社で、宿泊施設の開発・改修コンサルティング事業などを行っているホスピタリティパートナーズの執行役員・建設施設本部統括部長の柳村一幸氏が「施設の改装とコスト削減」と題して講演。実際に改修コンサルティングした部屋の例などを提示し、改修のポイントなどを紹介した。さらに、人材研修事業などを担うトレーニングカンパニーの丸茂喜泰氏は「最強組織を作る3つの鉄則と5つの手順」として、管理職に求められる行動や思考などについてのプログラムを実施。参加者は提示されたテーマに対し、グループディスカッションなどで活発に発言して理解を深めた。

手数料アップ反対92%、「断固反対の立場を表明」

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(井上善博部長、約1800会員)はこのほど、「インターネット集客に関する実態・意識調査アンケート」を実施した。同調査は、昨年秋から宿泊業界で話題となっているリクルート「じゃらんnet」のポイントプログラムの変更や手数料値上げなどの問題について、旅館・ホテル事業者の生の声を聞くことを目的に、青年部員に直接アンケートを郵送し、ほぼ半数の施設から回答があったという。

 調査の結果は次の通り。
■1・2010年12月28日現在、「じゃらんnet」新プログラムに、じゃらんnet上の管理画面に同意を行っているか?
・同意している(44%)
・同意していない(56%)

■2・「じゃらんnet」新ポイントプログラム移行に伴う2%の実質手数料値上げについて
・良いと思う(5%)
・値上げは困る(90%)
・どちらでもない(5%)

■3・今後ネットエージェント及び場貸しWEBサイトの斡旋手数料並びに情報提供手数料について
・容認していく(4%)
・これ以上の手数料等のアップは反対(92%)
・どちらでもない(4%)

■4・業界団体(全旅連・国観連・日観連等)や業界の立場に立ったネット集客事業、集客支援及び運営について
・望んでいる(46%)
・条件、内容によっては関心がある(48%)
・望んでいない(4%)
・どちらでもない(2%)

――という結果となった。
 これを受けて、青年部としての見解は、「厳しい経営環境のなか、ネット集客に関してさまざまな意味で問題意識を持ち、斡旋手数料、情報手数料の上昇に大きな危機感を有している部員が多数いる。全旅連青年部としては、今般のじゃらんネットポイントプログラム変更に伴う手数料率2%の問題について、断固反対の立場を表明する」として、「今後、このような一方的な手数料及び条件変更に関することは、お互いの理解と合意を持って進めて行くことが大事であり、これからの業界発展、旅行需要のパイの増進に繋がっていくものと考える」と強調する。

 また、「じゃらんnet」とこれまでの取引におけるノウショーの懸念や、口コミのあり方など諸問題については、「ポイントプログラム変更問題とは切り離して、宿泊業界の利益の保護の立場に立ち、改善について話し合いを持つこととしたい」としている。

 さらに、「今後のじゃらんnetとの契約については、全旅連青年部の皆様には、個々の経営判断に基づき、賢明な判断をしていただくことを望む」としている。