指導・監督の甘さ露呈、抜き打ち検査実施も、トムラウシ山遭難事故後の対応検証

会長する観光庁の河野総務課長(左)
会長する観光庁の河野総務課長(左)

 観光庁は11月30日、旅行会社アミューズトラベルが2009年に起こした北海道トムラウシ山のツアー登山での遭難事故後の国の対応の検証をまとめ、中間発表を行った。同社への計8回におよぶ立入検査がすべて事前連絡のものであることや、業務停止処分後の対応について規定がなく、処分後は2回の事前連絡による立入検査でチェックを終えていたことが判明。観光庁の対応の甘さを露呈した。今後、抜き打ちの立入検査の実施や、処分後の対応の規定を作ることを検討していく方針という。

【伊集院 悟】

≪観光庁、処分後の対応の規定づくり≫

 今年11月3日に中国の万里の長城付近で日本人3人が死亡する事故が起きたツアーを実施したアミューズトラベルは、09年にも北海道トムラウシ山のツアー登山で8人が死亡する遭難事故を起こしている。羽田雄一郎国土交通大臣は11月8日、今後の同社への立入検査、処分を含む旅行業者全体に対する指導監督の改善につなげるため、観光庁内に観光庁長官をトップとする検証のためのチームを設置し、検証するよう指示。検証チームでは09年7月―11年12月までに在職した観光庁幹部や管理職、担当者計14人にこの間の対応に関しヒアリングなどを行い、中間報告をまとめて11月30日に発表。同日、観光庁総務課の河野春彦課長が会見を開いた。

 09年7月16日の事故発生後、7月31日と10月6日の2回の聴取をはさみ、第1回の立入検査が行われたのは11月5日。立入検査が遅れた理由に(1)まずは聴取という手段をとったこと(2)警察の捜査が行われていたこと(3)日本山岳ガイド協会の「トムラウシ山遭難事故調査特別委員会」が設置され、その状況を注視していたこと(4)ツアー登山の専門家の知見を集めて全体的な対応を行うべく、有識者からなる「ツアー登山安全対策連絡会議」の準備をしつつ、立入検査でチェックすべき項目の精査を行っていたこと――などを挙げた。

 10年3月31日、「旅行業者が行うツアー登山の安全確保」を取りまとめ、旅行業協会とアミューズトラベルへ指導文書を通達し、「ツアー登山運行ガイドライン」の遵守、ツアー登山の企画内容・実施体制・管理体制などの総点検と確認をするよう促した。6月10日、22日に同社の安全対策について同社社長から聴取。7月から10月にかけての4度の立入検査を経て、12月15日、旅行業務に関する管理・監督義務の違反などを理由に51日間の業務停止処分を行った。

 3月8日、法律違反がないことから、法定の拒否事由がないとして同社の旅行業の登録更新については認め、6月30日と12月12日の立入検査をもち、同社への検査・監督を終えている。

 河野課長は事故後の対応について、「8回の立入検査や指導・処分などについては、法例に則って行ったので職務をまっとうしている」としたうえで、「結果的に、その後に遭難事故を起こしているので、不十分な点があったことも事実」とする見解を述べた。

 鉄道局など、他庁や他局では検査専門の職員を確保しているが、観光庁の場合は、他の業務も行いながら旅行業の指導・監督に従事する要員として本庁17人、地方運輸局71人だけで対応。観光庁長官登録の第1種旅行業者(12年4月時点で726社)については、立入検査は平均すると約10年に1回だけとなる。また、問題を起こしたり処分された会社への対応について規定がなく、処分後の同社への立入検査も、規定ではなく自主的な判断という。さらに、立入検査はすべて事前通告で、抜き打ち検査は一度も行っていない。

 河野課長は観光庁の見解として、今後について「抜き打ち検査の実施や、処分後の対応の規定を作ることを検討していく方針」と話す。同社への指導に関しては、会社側が提出した書面へのチェックや、提出のあったツアーのみをサンプリングチェックするに留まり、同庁からの積極的な監督は行っておらず、またそれを義務付ける規定もないのが現状だ。

 今後の改善策について既出の「抜き打ち検査の実施」や「処分後の対応の規定作り」に加え、(1)処分の厳罰化(2)検査方法の改善(3)処分後の立入検査の継続的かつ頻度を高めての実施(4)組織的な安全のマネジメントなど安全管理体制の確立(5)重大事案の処理では、全体の方針だけでなく、個別具体的な対応についても観光庁幹部がみずから能動的に指揮を取ること――などを挙げている。

 なお、最終報告は年内をめどに出される予定だが、基本的にはこの中間報告がベースになるという。

長距離が好調、JTB年末年始旅行動向

≪国内は北海道、沖縄、海外は欧州、米国本土≫

 JTB(田川博己社長)がこのほど発表した、年末年始(2012年12月23日―13年1月3日)の旅行動向によると、1泊以上の旅行に出かける人数は前年比1・3%増の3002万8千人と、6年ぶりに3千万人台となる見込み。国内旅行は同1・3%増の2937万1千人、海外旅行は同0・3%増の65万7千人と、国内・海外ともに前年より増加した。海外旅行人数は、過去最高を記録した96―97年に次いで2番目になる見込み。旅行動向は、JTB予約状況、航空会社予約状況、業界動向、1200人へのアンケート調査などから推計した。

 国内旅行をみると、長期の休みを利用して沖縄や九州、北海道など長距離方面への旅行者が増加する見込み。また、開業後初の年末年始を迎える東京スカイツリーや、改装を終えた東京駅周辺を中心に都心のホテルはクリスマスから年末年始にかけて人気を集めている。

 13年に式年遷宮を迎える伊勢神宮は、正月の参拝客が増えると予想されており、12月31日から年明けまで三重県・鳥羽、賢島、長嶋地区の温泉施設などの予約が前年を大きく上回っている。東北地域では、13年の大河ドラマの舞台である福島県会津の奥座敷・東山温泉や、土湯、磐梯熱海の予約が堅調で、現地を旅行することで震災復興を応援する動きが続いている。

 出発日のピークは12月29、31日、帰着日は1月3、6日に集中する模様。旅行日数は長期の休みを利用して3泊以上が増加。1泊2日が同2・2%減の32・7%と最も多い。次に2泊3日、3泊4日と続いた。

 旅行の同行者は「家族」が6・4%減の65・9%と最多。旅行目的は「実家で過ごすため」が4・4%減の36・0%と昨年より減少しているが、「家族や友人と一緒に過ごす」が3・9%増の40・4%で、昨年から引き続き絆を大切にする傾向が見られる。

 また、宿泊施設の意向では、「実家」が4・5%減の45・5%と比率が下がっているが、都市滞在や友人同士の旅行に適したホテルが7・4%増の27・6%、旅館・ホテル・民宿・ペンションも4・3%増の43・1%と増えていることから、今年の年末年始は、まとまった長期の休暇を利用して、普段なかなか一緒の時間をとれない人と旅行に出かける人が多くなる見込み。

 海外旅行は、日並びの良さや、引き続き円高基調であることから、ヨーロッパやアメリカ本土など長距離方面の旅行が増加。そのほか洪水被害から回復したタイ、マリーナ地区が人気のシンガポール、バリ島なども好調。出発のピークは12月29、30日が最も多く、年始の1月3日までラッシュが続く見込み。帰国は1月3、6日がピークとなりそうだ。

 平均旅行費用は国内が同0・4%増の3万800円、海外旅行が同2・6%増の20万7千円となる見通し。 

約1千人が東北へ、役員含め会員が各地視察(JATA)

上野駅で出発式
上野駅で出発式

 日本旅行業協会(JATA)は12月3、4日の2日間、「JATA東北復興支援プロジェクト『行こうよ!東北』」を実施した。今後の商品造成に生かし、東北観光の需要を拡大するため、会員会社の121社・935人と各現地の会員合計約1千人が、東北6県・28コースに分かれて視察を行った。菊間潤吾会長をはじめ、JATA役員もそれぞれコースに分かれて各地を視察した。

 3日の朝、貸切団体列車で出発する約700人が上野駅に集合し、出発式を行った。菊間会長は参加者を前に「観光庁の発表によると、3月から9月の東北への観光客数は3080万人と対前年で7%増加したが、震災前と比べると10%近く減少している。この10%をどう上乗せするか」と数字を示しながら「2日間という短い期間だが、真剣に東北と向かい合い、プロの目で見れば現地の人々や風景、食事から色々な新しい発見があると思う。新しい東北の魅力を1人でも多くの人に紹介し、ご案内することが我われの使命。現地で精力的に観光の目玉となりそうなものを発見し、次につなげてほしい」と呼び掛けた。中村達朗理事長は「1人でも多くの人を東北へ送ることが我われの使命」とし、「新しい商品づくりをしてほしい」と期待を込めた。

各地で盛大な歓迎(仙台駅)
各地で盛大な歓迎(仙台駅)

 今回は6県の各エリアの特色を生かし、ボランティアも含む多彩な体験を盛り込んだ。4コースのみ日帰りで設定したほかは、1泊2日で各地を巡った。コースごとに福島や仙台など、降りる駅が異なったが、どの駅でも現地の関係者が横断幕を用意して歓迎するなど、現地の期待が表れていた。宮城コースは、仙台駅に伊達の武将隊やゆるキャラ・むすび丸なども駆けつけ、盛大な出迎えが行われた。

 なお、今回参加した会員を対象に、商品企画コンテストを実施する。

No.329 産官学連携が1つの形に - 熱海で高齢者に優しいまちづくり

産官学連携が1つの形に
熱海で高齢者に優しいまちづくり

 静岡県熱海市は、高齢者を「プラチナ世代」と位置づけ、高齢者にやさしいまちづくりを推進する熱海プラチナ世代応援プロジェクト「あたプラ」を立ち上げ、10月の1カ月間、高齢者に心と身体の健康や癒しを提供する体験プログラムや交流型イベントを展開した。同プロジェクトは産官学連携の地域活性化プロジェクト「大学生観光まちづくりコンテスト2011」でJTB法人東京賞を獲得した玉川大学高千穂ゼミのプランがもとになっている。関係者を取材した。

【伊集院 悟】

 静岡県熱海市は、高齢者を色あせず長年輝き続ける「プラチナ世代」と位置づけ、高齢者にやさしいまちづくりを推進する熱海プラチナ世代応援プロジェクト「あたプラ」を立ち上げた。

 10月の1カ月間、高齢者に心と身体の健康や癒しを提供する体験プログラムや交流型イベントを展開。認知症予防や脳と神経組織の発達を促進するといわれるDHAが豊富に含まれる新鮮な魚を食べて、船釣りなどの体験・交流を楽しむ「熱海おさかなフェスティバル」や、高齢者や運動習慣の少ない人にも負荷が少なく、安全な陸上と水中の2種類の運動・リラクゼーションプログラム「熱海養生法」、町歩き(ウォーキング)と足湯を使った簡単な足の運動とセルフマッサージという2種類のリラクゼーションプログラムを組み込んだ「温シェルジュが案内する、お散歩カロリーマップ町歩きと足湯養生法」などを実施した。

 

※ 詳細は本紙1487号または12月19日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

2012年の観光業界 ― 課題が見えた年だった

  「本紙見出しで振り返る2012年の観光業界」(4―5面参照)を今年もまとめた。10、11月は記憶に新しいが、1、2、3月など前半は過去の新聞をめくりながらさまざまな取材の思い出などが蘇ってきた。

 昨年は、東日本大震災という未曽有の災害が発生し、社会全体、そして観光業界も震災に関連した出来事や話題が多かった。しかし、今年は根底の部分で震災の経験をベースにした、新たな動きが芽生えてきた印象がある。観光業界でも電力不足による省エネへの取り組みが進んでいるほか、自然災害に対する防災意識の高まりも見られる。今年も7月に九州北部豪雨が発生し、広範囲で甚大な被害を受けた。5月には茨城県つくば市や栃木県真岡市などで竜巻の被害があった。沖縄にも大型の台風が襲った。数え上げるときりがない。本紙11月21日号で掲載したが、日観チェーン所長の安藤寛一氏が指摘するように、来年は災害が多発する「五黄」の年にあたる。「五黄」の年には、過去にも関東大震災、阪神淡路大震災、新潟中越大震災、プーケット大津波などが生じており、一層の防災の心がけが必要だろう。

 一方で、今年は4月には関越自動車道高速ツアーバス居眠り運転事故、5月には広島県福山市のホテルプリンスの火災事故、11月には万里の長城ツアー登山遭難事故などが発生した。いずれも業界の安全性が問われる事故となった。監督官庁も今後の対応について検討に入っているが、やはり業界自らが努力をして、自主ルールづくりをしていくことが大切である。また、12月に入って起こった、山梨県笹子トンネルの崩落事故は、今後日本のインフラ問題を考えるきっかけとなる悲惨な事故だ。道路や橋の新設は新たな動脈となる“メリット”ばかりではなく、継続的な補修費も莫大にかかる。これからの世代が負担しなければならなくなるという「負」の部分もしっかりと考えなければならない。

 明るい話題もあった。東京スカイツリーや東京駅舎復原などによって、新たな観光スポットが現れた。しかし、これらをどう生かすかが観光業界の課題でもある。

 近隣諸国とは領土問題が激化した年であった。政府も民間も外交力が試される年だ。13年が良い年になることを祈ろうと思う。

(編集長・増田 剛)

「ありがとうCP」展開、宿泊で1千円のクーポン券(岩手県宮古市)

宮古市の観光関係者
宮古市の観光関係者

 岩手県宮古市は11月1日から来年3月20日まで、“復興支援に感謝”と銘打って「宮古に泊まってありがとうキャンペーン」を展開している。宮古市内に宿泊(5千円以上)すると、1千円分のクーポン券がプレゼントされ、道の駅や、みやこ浄土ヶ浜遊覧船、浄土ヶ浜レストハウスなどをはじめ、岩手県県北バスやタクシー、ガソリンスタンド、レストランなどで利用できる。

 人気観光スポットの浄土ヶ浜では、来年4月に遊覧船とレストハウスを結ぶ遊歩道が完成する。浄土ヶ浜パークホテルでは魚市場のセリを見学できるプランなども設定し、「昨年よりも復興が進みおもてなしができるようになった」と話す。

 田老地区では、宮古観光協会が今年4月から「防災意識を高めてもらおう」と、被災地をガイドする1時間程度のツアーを実施している。防潮堤の上から30分程度津波被害を受けた田老地区についてガイドが説明する。さらに3階まで津波で被災した「たろう観光ホテル」の6階から撮影した映像を、同じ場所で上映する。1人から参加でき、料金は復興支援協力金として4千円(約1時間)。また、被災地では半壊した建物は撤去されていくなかで、たろう観光ホテルは保存の方針だという。

 11月28日に、休暇村陸中宮古やグリーンピア三陸みやこなど宿泊施設や、観光施設などの関係者13人が本紙を訪れ、毛ガニやウニ、ホタテなど宮古の冬の海の幸などたくさんの魅力をPRした。

ポスコン募集開始、オンライン投票を導入(第61回日本観光ポスコン)

 日本観光振興協会は12月28日まで、日本観光ポスターコンクールの募集を行っている。一昨年に60回を迎えた同コンクールは、昨年度、実施方法などの見直しで開催を見合わせたため、今回で61回目。今回から、選考過程に一般消費者のオンライン投票を取り入れ、Webサイト上でポスターをPRする機会も提供するなど、環境の変化に合わせた内容に変更した。

 募集作品は、2012年度中に制作されたものか観光宣伝に活用されたもので、本コンクールに未応募のもの。応募者の資格は地方自治体や観光協会、観光振興を目的として結成された協議会・実行委員会など。

 審査基準は(1)【表現性】観光地のコンセプトをわかりやすく明確に表現していることや写真、コピー、イラストの表現にすぐれているなど(2)【誘客性】一般消費者に「ここに行ってみたい!」と思わせるものが感じられる。旅の楽しさが伝わる(3)【地域性】地域の持つイメージとマッチしている。従来のイメージに捉われず新しい魅力をコンセプトにしているなど(4)【社会性】消費生活において旅の持つ社会的役割の向上に資するもの。新しい旅の提案――の4つの視点。賞は国土交通大臣賞が1点、総務大臣賞(予定)が1点、観光庁長官賞が1点のほか、日本観光振興協会会長賞や該当作品がある場合は特別賞、入賞を予定。

 応募はコンクール専用サイトの応募フォーム(https://contest.japandesign.ne.jp/applies/input/poscon2012 )から提出する。作品の規格はA0版、A1版、B0版、B1版。応募画像データはJPEG形式で、画像サイズは天地左右自由の880×620ピクセル以内(2枚目以降は600×450ピクセル以内)。容量は1枚500キロバイト以内(2枚目以降は200キロバイト以内)。色はRGBカラー。なお、1次審査通過作品は後日、現物を提出する。

 問い合わせ=電話:03(6222)2534。

「クレーマーの意義」発刊、本紙連載の奥野圭太朗氏(旅行新聞新社)

本紙で今年2月21日号から9月21日号まで連載していた奥野圭太朗氏の「旅行業界におけるクレーマーの意義に関する社会学的一考察」がこのほど、書籍化された。発行は旅行新聞新社。

 近代社会における経済関係は「生産者」と「消費者」に分離しているが、観光においては、「生産者」の側に立った研究がほとんどで、「消費者」側の研究はほとんどなされていないのが実情。

 この観点から、奥野氏は“本来のクレーマー”とは、「レストランやホテルなどの対象を、より良いものにしていこうとする『崇高な意志』のもとに、自らが犠牲になって、問題点を対象に嫌がられるのも覚悟で指摘する客のことを指す」と定義し、旅行や出張の多い環境のなかで、ホテルや航空会社、ガイドなどの具体例をあげながら、検証を続けていく。奥野氏自身が「本来のクレーマー」となり、さまざまなシチュエーションのなかで、ホテルや航空会社、旅行会社が対応していく過程を克明に辿り、実際に起こっている旅行業界の問題点をあぶり出すことに挑戦している。現場担当者には、息が詰まるような緊迫したシーンが個別事例として提示されている。

 「旅行業界にフィードバックされる形で役に立つことを願ってやまない」と著者がいうように、旅館やホテル、旅行会社、航空会社、さらには民間会社だけでなく行政機関にも参考になる事例が詰まっている。学術的な研究材料としても活用できる。

 A5判76ページ。定価は本体850円(税別)。送料含め980円。今後電子書籍化も予定している。

 問い合わせ=旅行新聞新社 電話:03(3834)2718。

首都圏300組に3万円提供、冬の三陸まるごと体験ツアー(さんりく基金)

 さんりく基金は、東日本大震災で被災した岩手県沿岸部12市町村の宿泊、飲食、買い物、交流プログラムに利用できる「三陸応援交流券」(3万円分)を抽選で首都圏に在住する300組に提供する「冬の三陸まるごと体験事業」を企画した。復興した宿に泊まって、岩手三陸地域の魅力を体験してもらう。募集期間は11月26日から12月15日まで。

 晴天の日が多い冬の三陸は、毛ガニ、アワビ、鮭、牡蠣など海の幸がもりだくさん。「三陸まるごと体験ツアー」は5コース、6つの日程で、来年1―2月に、岩手三陸の旅を提案する。洋野町、久慈市、野田村、普代村、田野畑村、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市の15軒の営業を再開した宿が参加。「三陸応援交流券」(3万円分)はツアー期間中の宿泊に加え、飲食、買い物、交流プログラムに利用できる。

 参加者には旅のレポート(写真と400字程度の文章)を書いてもらい、「三陸まるごと体験ツアー」ホームページなどで公開し、地域の魅力を発信していく予定だ。

 問い合わせ=めんこいテレビ内・三陸応援交流圏事務局 電話:019(656)3301。 

合格率が5・5%増、12年度旅行業務管理者試験(JATA)

 日本旅行業協会(JATA)がこのほど発表した、2012年度総合旅行業務取扱管理者試験の結果によると、総受験者1万1534人のうち、合格者は3517人だった。

 合格率は前年度比5・5%増の30・5%。前年度に比べ、受験者は299人減少したが、合格者は561人増えた。

 合格者の内訳は、旅行業が40・7%と最も多く、大学生の17・9%、旅行関係以外の会社員の12・5%と続く。年齢別で最も合格者が多かったのは19―23歳の27・9%で、次いで30―39歳の26・5%、24―29歳の24・5%。最年少合格者は16歳、最年長合格者は73歳だった。

 受験区分別にみると、受験区分A(業法・約款・国内旅行実務・海外旅行実務)の合格者は前年度比46人増の823人。合格率は同1・7%増の14・3%。合格率が高かったのは、受験区分F(約款)で、合格率は同4・4%増の92・1%増、合格者は同188人増の538人。次いで、受験区分D(業法・約款)は同0・7%増の70・6%、合格者は84人増の990人。

 また、試験不合格者のうち、「国内旅行実務」「海外旅行実務」の科目の合格基準に達している場合、来年度に限り科目合格者として、当該科目の受験が免除される。今回の該当者は合計1053人。