日本商工会議所(岡村正会頭)は2月3―5日に青森県で、地域観光の促進を目指す「2010年度全国商工会議所観光振興大会in青森」を開き、関係者約1200人が集まった。
7回目となる今回は「旅と健康―ヘルシーな青森流のおもてなし―」をテーマに開催。1日目は、全国商工会議所きらり観光振興大賞の表彰式や基調講演、「旅と健康」をテーマにしたパネルディスカッションを実施。2日目は青森市と八戸市、西目屋村に分かれての分科会、3日目はオプショナルツアーを行った。
初日の本大会で岡村会頭は、「今年の目標は『連携とイノベーション』。全国に514ある商工会議所の観光振興や地域活性化への取り組みを、点から面へとネットワークを全国に広げていき、日本を元気にしたい」とあいさつ。
開催地である青森県商工会議所連合会の林光男会長は「青森は津軽海峡、太平洋、日本海に囲まれ、白神山地や八甲田山に代表される山々など自然が豊富で、リンゴやマグロ、にんにく、長芋など食材の宝庫。食・自然・文化・産業資源などを通した着地型観光プログラムの創造や地域活性化の可能性などを掘り下げ、この会が各地域の観光振興や町づくり振興の一助となれば」と期待を述べた。
「全国商工会議所きらり観光振興大賞」表彰式では、TVドラマ化した小説「坂の上の雲」を軸に、各関係団体と連携し商品開発に取り組んだ愛媛県の松山商工会議所が大賞に選ばれた。振興賞は、漆器などの伝統的なものづくり産業を活用し、まちなか観光や城下町のにぎわい創出へ取り組んだ福島県の会津若松商工会議所と、滞在期間の延長とリピーターの増加を狙い、2市1町が行政の枠を超えて観光ルートづくりやイベント開催に取り組んだ長野県の諏訪商工会議所が受賞した。
そのほか、今年度新設された観光立“地域”特別賞に静岡県の浜松商工会議所と宮崎県の日南商工会議所、奨励賞に山形県の山形商工会議所と岐阜県の神岡商工会議所、広島県の廿日市商工会議所が選ばれた。
続いて、北海道観光学高等研究センター長の石森秀三氏が「次世代型ツーリズムの思想と手法」、フードアトリエ社長の熊谷喜八氏が「味な夢に翔ぶ」と題した基調講演を行った。
石森氏は、世論調査や133カ国を対象とした旅行・観光競争力レポートを紹介。日本は、陸上交通インフラ8位、文化資源10位と上位につけたのに対し、政府の観光への取り組み83位、旅行・観光に対する親近性・親和性131位と低迷。「観光に対する国民の意識がまだまだ低く、観光の重要性が正当に評価されていない」と評した。また、視覚重視の「観光」から、五感重視の「感幸」、交流重視の「歓交」への変革について触れ、ニューツーリズムに加え、次世代ツーリズムである、ライフスタイルツーリズム、ウェルネスツーリズムについて述べた。
続くパネルディスカッションでは、日本観光協会の丁野朗常務理事をコーディネーターに、石森氏をはじめ、JTBヘルスツーリズム研究所の高橋伸佳所長、温泉トラベルデザイン研究所の石井宏子代表、青森県観光連盟の丸戸眞樹専務理事が登壇し、テーマである「旅と健康」についてそれぞれの視点から語った。
次回は、11年11月24―26日に北九州・下関で、産業観光、歴史の舞台観光、国際観光、連携観光の推進をテーマに開かれる。