合格率37.1%にアップ、10年度総合取扱管理者

 日本旅行業協会(JATA)がこのほど発表した、2010年度総合旅行業務取扱管理者試験の結果によると、総受験者1万3351人のうち、合格者は4956人で合格率は前年度比11・6%増の37・1%と大幅にアップした。受験者数は同687人増、合格者数は同1727人増といずれも増加した。

 合格者の内訳は旅行業従事者が41・1%を占めトップ。次いで大学生が19・2%、旅行関係以外の会社員が13・2%の順。年齢別で合格者が最も多かったのは19―23歳の28・4%で次いで30―39歳の28・2%、24―29歳の27・8%と続く。最年少合格者は16歳、最年長合格者は72歳だった。

 受験区分別に見ると、「全科目受験者」は前年度から674人減少したが、合格者は497人増えた。合格率は8・6%上昇の23・7%。最も合格率が高かったのは、受験科目が約款のみの「国内旅行業務取扱管理者有資格者で、昨年度試験の『海外旅行実務』科目合格者」と「同資格者で、今年度総合旅行業務取扱管理者研修『海外旅行実務』の修了者」で93・8%だった。

 なお、今回の試験で「国内旅行実務」と「海外旅行実務」の科目合格者については、来年度に限り同科目の試験が免除される。今回の該当者は合計で1519人。

ANA楽パックで海旅開始、岡武社長「150億円を想定」

岡武社長(左)と片野坂本部長
岡武社長(左)と片野坂本部長

 楽天と全日本空輸(ANA)は12月1日、国内旅行サービスの業務提携を海外まで拡大し、「ANA楽パック」(海外)として、楽天トラベルの総合サイトで売り出した。ANAの国際線航空座席と楽天トラベルが取り扱う海外宿泊施設を自由に組み合わせるダイナミックパッケージ商品で、ANAが就航する11都市からスタートする。

 同日、両社は東京・汐留のANA本社で共同会見を開き、楽天トラベルの岡武公士社長とANA取締役の片野坂真哉営業推進本部長が出席した。岡武社長は、これまでの経緯として、2006年4月に共同出資会社「楽天ANAトラベルオンライン」を設立し、国内パッケージツアーを開始したことに触れ、「4年間で非常にいい関係が築け、目標とした数字も達成できつつある」とし、国内の成功を背景に海外でも満足度の高い商品展開をはかっていくことなどを語った。また、片野坂本部長は「10月31日から羽田空港の国際化で、合計9路線を就航し、幸先のいいスタートをした。地方から乗り継いで海外に行けるという羽田国際化のビジネスチャンスに、購買手段として定着している、インターネットを活用した海外旅行の分野に大きく前進できるのは、我われにとって非常な喜びだ」と述べた。

 商品の特徴は、ANAが運航する国際線・週約850便の航空券と楽天トラベルが扱う約5万9千軒の宿泊施設を一括で予約できることに加え、通常の旅行商品では50%のマイレージ付与率を70%に設定したこと(国内線乗り継ぎ区間は100%)。また、最大7カ月前から座席指定ができるのも大きな特徴の1つ。サービス開始時の発地は成田と羽田、中部、関西国際空港で着地は北京やロンドン、ホノルルなどの11都市だが、随時、ANAが就航する他都市についても取り扱いを拡大していく予定。

 今回の提携では、インバウンドの分野でも提携をはかり、第1弾として両社の多言語サイト間の相互リンクを開始した。

 今後の目標について岡武社長は「新事業は『5年でシェアの5%』が皆さんに周知される数字」と話し、それを踏まえて「150億円という数字を頭に想定している」とした。人数についても同じく5%が目安という。

 なお、海外商品のオープニングキャンペーンとして、2011年1月11日までに国内を含む「ANA楽パック」の予約・購入者を対象に通常よりポイント率が高いポイントキャンペーンや、30万円分の同商品が当たる懸賞なども展開している。

加賀屋、台湾に進出、「日勝生加賀屋」12月18日オープン

「日勝生加賀屋」外観
「日勝生加賀屋」外観

 加賀屋(石川県和倉温泉)は今年12月18日、台湾の台北市北投温泉に、日勝生加賀屋をオープンする。加賀屋として初の海外進出となるもので、台湾の開発事業会社、日勝生活科技とフランチャイズ契約を結び、加賀屋との合弁会社である日勝生加賀屋國際温泉飯店股[イ分]有限公司が運営する。資本金は5億円。年間の客室稼働率70%、利用客6万人強、総売上22億円を見込む。

 日勝生加賀屋が建つ北投温泉は、台湾を代表する温泉地で、泉質は青イオウ泉、白イオウ泉、炭酸泉、イオウ泉(ラジウム泉)。1896年には北投で最初の日本旅館「天狗庵」が開業した伝統ある地でもあり、日勝生加賀屋はその敷地に建つ。

 基本コンセプトは「日本の加賀屋をそのまま伝承・継承する」。浴衣や草履、畳、障子、お抹茶など、全館日本式仕様で、着物の客室係(約70人)が部屋で夕食を提供する。スタッフは現地採用で、日本人スタッフも常駐する。

 建物は地下4階、地上14階。客室数は90室。敷地面積は加賀屋の約10分の1にあたる約400坪。延べ床面積は能登渚亭1棟分にあたる約4600坪。建設は加賀屋の渚亭と雪月花を設計・施行した山本勝建築設計室と大林組台湾が担当した。建設投資額は約63億円。

 内装などはすべて日本仕様で、エントランスロビーから見上げると、日本家屋風情が望める2カ所の吹き抜けが特徴的。館内には、輪島塗や九谷焼、加賀友禅など、石川県の伝統工芸が随所にちりばめられている。

 基本客室タイプは45―60平方メートルで、和室(8―10畳)+寝室(ツインもしくはダブル)+浴室。浴室はすべて源泉かけ流しとなる。貴賓室1室、露天風呂付き客室8室、メゾネット客室1室なども備える。

 施設設備としては、最大40人まで収容可能な日本式宴会場5カ所(掘りごたつ式)、個人浴室(17室)、エステ、日本式大浴場・足湯、レストラン&バーがある。

 宿泊は基本的に1泊2食付きで販売する。夕食は日本食で、宿泊客室もしくは和式宴会場・レストランでとる。朝食はレストランで和・洋・中の会席ビュッフェとなる。料金は、1人1万1 千台湾元(日本円で約3万2 千円)から設定する。

 アクセスは、台北中心部から車で30分。MRT(地下鉄)新北投駅から徒歩5分。

日本とトルコ友好120周年、(株)全旅が大型観光使節団派遣、280人の民間外交展開

 2010年、日本トルコ友好120周年を記念して、11月15日から、北海道から沖縄の全国旅行業協会員とその顧客ら約280人が8日間の記念ツアーに参加、11月20日には、イスタンブールで記念パーティーが行われた=写真。

 日本側からは、二階俊博全国旅行業協会会長(衆議院議員・日本トルコ友好議員連盟会長)をはじめ、林幹雄日本トルコ友好議員連盟常任幹事(衆議院議員)、林克好在イスタンブール日本国総領事、池田孝昭(株)全旅代表取締役社長、中田實宏和通代表取締役会長が参加。

 トルコ側からは、ジャーナン・カルスントルコ共和国国会議員、バシャラン・ウルソイ旅行業協会長ら関係者が出席して盛大に行われた。

 日本から、成田空港発と関西空港発、8日間と6日間コースの6班に別れ、アジアとヨーロッパ東西文明の接点イスタンブール、木馬の物語トロイの遺跡、トルコ共和国の首都アンカラ、世界遺産に指定されているカッパドキア、全盛期には政治・文化・芸術の中心として支えたコンヤなど、世界遺産をはじめ豊富な観光資源を訪れた。

 このツアーは、(株)全旅が中心となって大型の観光使節団が形成され、トルコとの国際親善、観光振興、民間外交となった。

11年度予算、当初額確保を、馬淵大臣も要望に理解

(左から)舩山会長、西田会長、馬淵大臣
(左から)舩山会長、西田会長、馬淵大臣

 日本観光協会の西田厚聰会長と日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の舩山龍二会長は12月2日、国土交通省を訪れ馬淵澄夫国土交通大臣に、来年度の観光関連予算について、当初要求額(今年度予算3%増の130億8200万円)並みの確保を要望した。先日実施された事業仕分けで、2011年度の観光関連予算が大幅に削減されたことを受けたもので、馬淵大臣も「尽力する」と理解を示したという。

 提出した要望書では、観光は国の成長戦略の柱で、地方でも地域経済の活性化に極めて重要な政策だと位置づけられていることなどを示したうえで、今回の大幅な予算削減は「政策方針としての一貫性の観点から理解に苦しむ」と意見。具体的な額は記さなかったが、政策実行と官民一体の目標達成のための必要予算を確保するよう求めた。

 西田会長は要望書提出後に報道陣の前で「やっと観光が新成長戦略として位置づけられ、今年度の予算も126億円ついて期待をしていたところ、このような事態になった。これでは政策の完成も薄れてしまうので残念でもあり驚きもした」と率直な感想を語った。

 一方、馬淵大臣との話では、「産業立地がなかなか進まない現況で、地方での活性化にはまず観光。地方も大変な意気込みで国の支援を必要としている。馬淵大臣も理解し、尽力していただけるという力強い言葉をいただいた」と好感触を示した。舩山会長も「事業仕分けには失望感があったが、大臣は大変理解を示しておられた」と話し、財務大臣との交渉についても馬淵大臣から前向きな発言があったという。

東北新幹線が全線開業、「千載一遇の好機」(青森県三村知事)

青森県の三村知事が「開業をチャンスに」と述べた
青森県の三村知事が「開業をチャンスに」と述べた

 青森県と東日本旅客鉄道、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構は12月4日、青森市内のホテルで同日に八戸―新青森間が開業し、全線開業となった東北新幹線と、同日から新たなスタートを切った、並行在来線の青い森鉄道の全線開業の祝賀会を開いた。

 あいさつに立った三村申吾青森県知事は「今日から東京―青森が最速3時間20分で結ばれる。昭和47年の東北新幹線の盛岡以北の延伸計画から38年。紆余曲折があったが、待望の開業を迎えた。その間、さまざまな人たちのご苦労があったと思うと感慨深い」と述べた。さらに「新幹線の全線開業で航空路、高速道路と含めた高速交通網が整った。本日がゴールではなく、開業を千載一遇のチャンスととらえ、未来への挑戦を目指し青森の魅力作りに全力をあげていきたい」と結んだ。

 続いて、清野智東日本旅客鉄道社長は「東北新幹線は日本列島の背骨を担う重要な路線。安全、正確、快適さをさらに磨き上げ、大事に立派に育てていきたい」と述べるとともに、「青い森鉄道とも連携して、青森の新たな観光開発や商品作りを行っていきたい」と述べた。

 来賓の馬淵澄夫国土交通大臣は「今回の開業で日本の動脈としての鉄道網ができた。経済、文化、観光など青森の持つ潜在的ポテンシャルをより高めるスタートとしてほしい」と祝辞を述べた。

第36回「100選」決まる、発表は1月11日号の紙上

100選選考のようす

 旅行新聞新社・100選選考委員会は12月1日、東京都港区の浜松町東京會舘で「第36回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の選考委員会を開き、総合100選と審査委員特別賞・日本の小宿(にっぽんのこやど)10施設を決定した。「第31回プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」「第20回プロが選ぶ優良観光バス30選」などを加えた主なランキングは本紙2011年1月11日号の紙面で発表する。

 今回の総合100選には、新たに8施設が入選。表彰・発表式は1月21日、東京都新宿区の京王プラザホテルで開かれる。

 「第36回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」は、全国1万7250の旅行会社(支店や営業所含む)対象に専用ハガキによる投票を募り、集計した投票結果を後援団体の日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)の関係者、旅行作家、旅行雑誌編集者で構成される選考審査委員会で審査し、決定する。

 また、1990年から始まった選考審査委員特別賞「小規模和風の宿」を今回から「日本の小宿(にっぽんのこやど)」に改称。「和風」という名称には馴染まないが、洋風や和風モダンなどさまざまな形式の宿まで選考の枠を広げた。

 「第36回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の投票受付は10月1―31日まで。

 たくさんのご投票ありがとうございました。

No.267 みうらシティセールス・プロモーション - 営業開発課が市を“売る”

みうらシティセールス・プロモーション
営業開発課が市を“売る”

 神奈川三浦市は、行政では珍しい「営業開発課」を2004年に設置し、三浦市を“売る”ための「みうらシティセールス・プロモーション」を展開してきた。メディアでも多く取り上げられ、09年3月には日本観光協会の「優秀観光地づくり大賞」で金賞の総務大臣賞を受賞。今年11月には「第1回かながわ観光大賞」の「観光による地域活性化部門」で大賞を受賞した。取り組みや成果などを発足から同課に所属し、今は課長として取り仕切る大澤克也氏に聞いた。

【飯塚 小牧】

 ◆営業開発課とは

 神奈川県・三浦半島の最南端に位置する三浦市。漁業が盛んな地域で、マグロの水揚げ日本一を誇ったこともある。加えて肥沃な大地も広がっているため、野菜も多く栽培されている。昔からの主な観光地は、三浦海岸や城ヶ島、油壺など。1960年代の観光入込客数は763万人を数えていた。その後、94年の5万4339人をピークに市の人口は減少(現在は約4万8千人)。マグロの水揚げも交通面の発達から、静岡県の焼津港にシフトされるとともに、観光の多様化から観光客数も減少していた。

大澤 克也 課長

 こうしたなか、2000年に地方分権一括法が施行されると、同市は翌年「第4次三浦市総合計画」を策定。地域経済の衰退と定住意識の低下、一体感の喪失の3つの問題を指摘し、克服するための行政革命を行うことを決めた。計画では、人・企業・モノ・情報を歓迎する「もてなし政策」を大きな柱に据え、それを具現化する施策として「みうらシティセールス・プロモーション」を掲げた。同プロモーションは、対外的には地域コンテンツの開発と営業活動、また市民に対してはコンテンツ開発への協力と来訪者をもてなしてもらうことで、地元の魅力の再認識や誇りを持ってもらうという両面の役割がある。その実践部隊として04年4月、経済振興部に設置されたのが営業開発課(現在6人)だ。

 さらに、06年に吉田英男市長が「株式会社三浦市」のコンセプトを打ち出したことも大きな転機になる。横浜銀行出身の吉田市長は、民間の考えを市制に導入。営業開発課は新規性、独創性、発展性の高い事業を考案する部署として、“株式会社三浦市”の営業に「24時間、365日体制」の感覚で臨んでいる。 

 

※ 詳細は本紙1405号または日経テレコン21でお読みいただけます。

女将サミット 初の九州開催へ

おかみの集い運営委員会(有村政代運営委員長)はこのほど、来年22回目を迎える「全国旅館おかみの集い」(女将サミット)について、九州「福岡」で開催することを決めました。

過去21回、首都圏のほか関西地区で開きましたが、福岡で開くのは初めてです。有村運営委員長は「全国から九州へ来られる参加者が楽しんでもらえるような会を開きたい」と、初の九州開催に意欲を見せています。

同時に開催日は6月28日、基調講演講師には裏千家前家元の千玄室氏を迎えることも決めました。会場ホテルや開催テーマ、分科会(勉強会)内容については、今後の運営委委員会で話し合います。

■第22回 全国旅館おかみの集い 開催概要(速報)

開催日:平成23年6月28日(火)

開催場所:福岡県福岡市内のホテル

基調講演講師:裏千家前家元 千玄室 氏

訪日中国人1.8%減、尖閣事件の影響大

 日本政府観光局(JNTO、間宮忠敏理事長)がまとめた2010年10月の訪日外客数(推計値)は、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の影響を受け、中国が前年同月比1・8%減の10万6400人、香港が同23・7%減の3万400人となった。

 全体では、羽田空港の国際線発着枠拡大、訪日旅行の広告・宣伝効果、景気の回復・好転などにより、同11・0%増の72万7600人と、09年11月以降前年同月比は12カ月連続で増加した。ただし、6月の同59・5%増など、大幅な増加を記録していた10年のなかでは増加率が鈍化。10月単月で過去最高だった07年(78万5207人)と比べると、約5万8千人少なかった。

 1月から10月の累計数では前年同期比30・9%増の732万8300人となった。9月までの累計ですでに、1―10月の累計の過去最高を記録する好調ぶり。主要15市場のうちタイ、フランス、ドイツ、インドは10月単月で過去最高を記録。

 間宮理事長は11月24日の会見で「尖閣諸島沖事件の影響で中国の高い伸びが止まったが、過去最高を記録した08年の835万人を超えるのは間違いない。1千万人に近づけるよう最後まで全力を尽くす」と語った。

 方面別にみると、韓国は同47・8%増の19万3900人と、09年11月以降12カ月連続で高い伸びを続けている。ドイツはユーロ安にも関わらず、国内の好景気などを受け5月以降6カ月連続で2ケタの伸びを記録。また、10年の重点地域であるインド、ロシアも前年同月比20%を超える増加を記録している。