群馬県草津温泉の草津温泉らくご事務局(小林恵生事務局長)は落語芸術協会(桂歌丸会長)の後援のもと、昨年12月から毎晩夜8時に、湯畑前「熱の湯」で温泉らくご公演を開催し、好評を博している。温泉らくごの入場者数はすでに1万人を超えているという。
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来年7月―9月にかけてJR各社による「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」が計画されているが、そのプレDCの一環として、10月16日と23日の2回、東日本旅客鉄道の高崎支社が企画した「お座敷効能温泉吾妻号で行く草津温泉」が実施された。草津温泉行きの快速お座敷列車「やまなみ」の車内で温泉らくごが楽しめるという企画で、往路のJR高崎駅―中之条駅間で落語を披露する。出演落語家は、温泉らくごにも出演している、昔昔亭笑海(落語芸術協会二ツ目、温泉らくご湯上り落ち着け隊隊長)と鈴鈴舎馬るこ(落語協会二ツ目)の2人。JR高崎→渋川間では1号車と3号車、渋川→中之条間では2号車と4号車に車両を移動して、各20分ずつ落語を披露した。
お座敷列車「やまなみ」は4両編成で、3連休直後という日程設定や朝早い出発時間など決して恵まれているとはいえない条件下にも関わらず、10月16日・23日ともに約6割程度の乗車率だった。
当日、参加した乗客からは「宣伝告知が少なくて、今日は偶然知って当日乗車で参加した。旅行中の車内で落語が聞けるなんてこんな贅沢な列車はない。せっかくの良い企画なのだから、もっとPRにも力を入れてほしい」という意見も聞こえた。
今回の企画立案者である東日本旅客鉄道高崎支社の伊藤健一営業部販売促進課旅行業担当課長は「温泉らくご事務局の多大なる協力をいただき企画が実現した。草津温泉で毎晩披露されている落語を列車の中で楽しんでいただき、お客様にもたいへん喜んでもらえた。『いい思い出になった』『来年もやってほしい』などの声をいただき、今後も温泉らくご事務局との連携によって、来年のDC本番に向けて魅力的な企画を考えて行きたい」とコメントした。
温泉らくご事務局の小林事務局長は「芸達者なエキスパートである落語家さんの力を借りて、旅の始まりから笑いを提供する試みに成功した。旅に付加価値を付け、草津温泉に来ると旅の質が違いますと謳えるようになりたい。草津は泉質主義だけでなく、旅のエンターテイメント性でも日本一を目指したい」と抱負を語った。
落語家の昔昔亭笑海さんは「新しい試みに可能性を感じた」といい、鈴鈴舎馬るこさんは「車窓の紅葉を観ながら落語を聞けば、気分も高揚すること間違いなし」とアピールした。
なお、お座敷列車「やまなみ」の運行は今年12月上旬をもって終了となるため、来年夏にはジョイフルトレイン「リゾートやまどり」に生まれ変わり、群馬DCで運行する計画という。
【古沢 克昌】