固定資産評価見直しを、ホテル・旅館の建物

 観光庁は2010年度の税制要求として、「ホテル・旅館の建物に係る固定資産評価の見直し」を求めた。固定資産評価を適正化するために使用実態に即して見直す。

 ホテル・旅館は、建物などの固定資産そのものが重要な商品であることから、顧客ニーズに合わせ建物は経過年数が比較的短くても除去されるケースが多い。一方で、建築後、何年経過してもその評価額が下がらないなど、現行の固定資産評価が経営者の負担になっている。

 「現在の基準よりも短い期間で除去しているのが実態。今回の見直しで、税負担を適正なものにし、負担を実質的に軽減できる」(観光庁産業課)。

 また、訪日外国人旅行者のショッピングの利便性を向上するため、免税対象物の見直し、出国時還付手続きの導入を含めた輸出物品販売場における輸出免税取引制度の見直しを検討する「輸出物品販売場における輸出免税取引制度の見直しの検討」も求めた。

 外国人旅行者が化粧品などを購入する場合、消耗品としてではなくお土産品として購入している実態がある。免税対象物品の定義である「通常の生活の用に供される物品であって、消耗品は除く」を明確に定義し直す。化粧品など、お土産として外国人旅行者のニーズが高い商品について免税対象とする、方向性で検討する。

 そのほか、納税主体毎の許可のため、ショッピングセンターなどでは、テナント毎の許可が必要といった輸出物品販売場の許可や、店頭での申請が煩雑な免税手続きについても現行の課題の改善をはかる。

9月18日から1カ月間、山梨・増富温泉で

 山梨県北杜市の増富温泉で9月18日から10月17日までの1カ月間、ラジウム泉の効能をより身近に感じてもらうための催し「増富ラジウム温泉博覧会2010」が開かれる。期間中、温泉療法を題材にした講演や健康増進プログラムに加え、食や農業体験など、地域の魅力を伝える企画も実施する。今回が初めての試み。

 日帰り温泉を運営するみずがき山ふるさと振興財団や増富ラジウム峡観光協会などで組織する「増富ラジウムの郷博覧会実行委員会(小林忠雄委員長)」が主催する。これまで各団体や民間が独自に開いてきた湯治体験などを博覧会期間に集約し、広報活動に力を入れる。

 主なイベントは新潟大学医学部の安保徹教授の講演(9月18日、無料)や「健康増進プログラム」体験(期間中の平日、1人2500円)、農場「隅から隅まで体験」(期間中の金曜日、同500円)など。ラジウム温泉の歴史を紹介する展示館も開設する。参加にあたり、予約や健康保険証が必要なものもある。

 博覧会は中小企業庁の小規模事業者新事業全国展開支援事業の採択を受け、今年度から3年計画で取り組む。不老閣の八巻秀夫社長は「イベントを通じて、多くの湯治客から評価をいただいているラジウム温泉の良さを広く伝えたい」という。

 増富温泉は「(信玄公の隠し湯」ともいわれる。全国屈指のラジウム含有量を誇り、三朝温泉(鳥取県)、玉川温泉(秋田県)とともにラジウム3大温泉として知られている。
問い合わせ=増富の湯 電話:0551(20)6500。

浦安市が国際会議観光都市に

「全国で52都市目の認定受ける」

 観光庁は9月1日、千葉県浦安市を全国52都市目の「国際会議観光都市」として認定した。

 浦安市は、年間約2600万人が訪れる東京ディズニーリゾートや、水辺、文化など浦安固有の資源を生かし交流人口の増大をはかる「浦安市観光振興計画」を2008年に策定。同計画を実現するための組織「うらやす観光推進協議会」が09年度に設置されており、今後は「ちば国際コンベンションビューロー」などとの連携を強化しながら、観光庁が昨年7月に策定した「MICE推進アクションプラン」に沿ったコンベンション誘致事業を展開していく。

JALと楽天が提携、年間50万人、300億円目指す

業務提携した3社
業務提携した3社

 日本航空(JAL、大西賢社長)、JALツアーズ(大西誠社長)、楽天(三木谷浩史会長兼社長)の3社は9月1日、JALビル(東京都品川区)で会見を開き、3社が業務提携を結び、JAL国内線航空券と楽天トラベルがオンラインで提供する国内宿泊施設を自由に組み合わせたダイナミックパッケージ商品「JAL楽パック」の販売を、9月1日から「楽天トラベル」のサイトで開始することを発表した。

 JALの藤田直志旅客営業本部長は「JALは96年に国内初となるネット予約を開始し、ネットには無限の可能性を感じている。幅広い会員を持つ楽天トラベルと協力し、双方ともに顧客価値向上に努めていきたい」と語った。

 JALツアーズの大西社長は「商品の企画・実施はJALツアーズが行うので、多様化する旅行者ニーズに応えながら、商品品質の維持と顧客満足度の向上に注力していきたい」と意気込みを述べた。

 楽天トラベルの岡武公士社長は「宿泊施設にとっては販売拡大、旅行者には商品の選択肢が増えるチャンス。これまで蓄積してきたダイナミックパッケージのノウハウを生かしたい」と話した。

 また、ANAと同様にJALとも合弁会社設立を視野に入れているかの質問に対しては、「良い商品を提供するのが第一で、合弁会社は今のところ考えていない」と否定的に述べた。
「JAL楽パック」ではJALの国内線1日約900便の航空券と、楽天トラベルがオンラインで提供する国内宿泊施設約2万軒を自由に組み合わせられる。JALツアーズが商品の企画・実施をし、予約・販売は楽天トラベルのサイトで行う。

 予約は出発の180日前から3日前まで可能。最大6人まで往復計6区間の予約ができ、手軽に上質なくつろぎを味わえる「クラスJ」の予約もできる。

 オープニングキャンペーンとして、クラスJの1予約につき、1人の往復クラスJ利用分4千円をポイントバックするキャンペーンも実施。

 5年後の15年の年間目標として、出発人数50万人、予約流通額300億円を目指すという。

No.258 楽しい旅に“安心”を - 静岡女将 地震マニュアル作成

楽しい旅に“安心”を
静岡女将 地震マニュアル作成

 2009年の静岡沖地震の経験を踏まえ、静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合女性部会「あけぼの会」が全国で初となる「女将の地震初動マニュアル」を作成した。安心して静岡へ旅行に来てもらいたいと、地震当日の現場の状況と対応を洗い出し、地震発生時に女将が直面する課題とその対応をまとめた。地震と縁を切ることのできない日本において、どう対処していくべきか。「危機管理と安全もおもてなしの一つ」と、静岡の女将たちが立ち上がる。

【伊集院 悟】

■大きな地震を経験

 09年8月11日に起きた静岡沖地震。静岡県の伊豆市・焼津市・牧之原市・御前崎市では震度6弱を記録した。大きな地震を経験した静岡県の女将たちは、このときの初動対応について勉強会を開き、地震発生時のマニュアルの必要性を感じる。

 10年2月に「安心・安全なお宿をめざして」をテーマに、県旅連あけぼの会「しずおか流おもてなし研修会」を開催。石川県和倉温泉「加賀屋」総支配人・手島孝雄氏による能登半島地震発生時の経験について講演を聞き、さらに防災について強く意識した。

■地震対応のマニュアル作りへ

 全国で初となる「女将の地震初動マニュアル」。マニュアル作りに着手したのは今年2月から。マニュアル作成にあたっては、防災や危機管理を専門とし、災害図上訓練DIGの考案者である小村隆史氏(富士常葉大学環境防災学部准教授)に監修を依頼。計4回以上の勉強会を開き、地震当日の現場の状況とその対応を洗い出した。強い地震に襲われたときに、ホテル・旅館でお客の安心・安全を預かる女将が直面すると思われる課題を整理し、まとめた。

(左から)杉山美喜女将、宇田倭玖子女将、稲葉きみ江女将
(左から)杉山美喜女将、宇田倭玖子女将、稲葉きみ江女将

 

※ 詳細は本紙1391号または日経テレコン21でお読みいただけます。

200万人突破し過去最高、「ゲゲゲ」効果で

鳥取県境港市の水木しげるロードの入込客数が8月23日で、200万人を突破した。
鳥取県境港市の水木しげるロードの入込客数が
8月23日で、200万人を突破した。

 鳥取県境港市の水木しげるロードの入込客数が8月23日で、200万人を突破した。

 15日には過去最高だった08年の年間入込客数約172万人を4カ月以上残して更新していたが、その後も客足は伸び続け、初めて200万人の大台に乗った。

 ロードでは、NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の放送が始まった今春以降、観光客が増加。夏休みに入った7月は前年同月比282・5%増の37万8308人と驚異的な伸び率となり、猛暑の影響が心配された8月も連日1万人以上を集める盛況だった。

 水木しげる記念館も6月は84%増の2万1671人、7月は76%増の3万6213人を集めた。

 今秋には映画版「ゲゲゲの女房」の公開も控え、年間入込客数250万人超えが期待される。

ソウル市 観光バリアフリー化へ、日本人障がい者招待しモニターツアー実施

光化門広場

 韓国・ソウル市は観光地のバリアフリー化を目指したプロジェクトの一環として、6月5―8日までの4日間、日本人の障がい者を招待したバリアフリー観光のモニターツアーを行った。南山タワーや明洞、清渓川、南大門市場、光化門、景福宮などの観光コースを車イス利用者などが実際に体験。7日に開いたセミナーでは参加者の感想を聞き、意見交換を行った。今回のツアーで抽出したさまざまな課題を改善・整備していくことで、「ソウル市を障がい者が観光するのに一番便利な都市にしていきたい」(同市)考えだ。ツアーに同行した「オールネクスト」クリエイティブディレクター・梶原正氏のレポートをもとに紹介する。

(増田 剛)

「世界的観光都市へ課題整備」

  ソウル市は世界的な観光都市としての確立を目指し、観光地バリアフリー整備と、障がい者観光の支援に取り組んでいる。同市は2010年の障がい者福祉基金支援事業として、「障がい者オーダーメイド型ソウル観光プログラム開発運営事業」を立ち上げた。

 同事業では、社会福祉法人ハンボッ財団に、ソウル市内観光地のバリアフリー調査を依頼。さらに、バリアフリー整備や、障がい者観光コースの開発、日本や中国の旅行会社への広報なども実施していく。

景福宮
景福宮

 実態調査では、バリアフリー旅行業界や障がい者当事者、学界、関係専門家などで諮問会議を開き、最終的に対象観光地50カ所を選定した。今後11回にわたってモデルツアーを実施する。国内・海外の障がい者が、ソウルの観光名所のモデルツアーで観光コースや、バリアフリー設備などについて点検、評価を行う。これをもとに、テーマ別のオーダーメイド型観光コースを10本程度開発する計画で、1コースは、女性障がい者の特化コースとする考えだ。

 6月に実施した「日本障がい者招待モデルツアー」には、自治労東京都本部障害労働者連絡会議代表幹事、東京都福祉保健局の新井常美さん(車イスユーザー)やバンクーバーパラリンピックのアイスレッジ銀メダリストで同じく車イスユーザーの高橋和廣さんなど7人が参加。南山タワーや清渓川など人気観光地や、ナンタ公演観覧、ショッピングなどの観光コースを実際に体験した。ツアー後半には、参加者らが観光地の感想や意見を出し合うセミナーを開いた。

 新井さんは「多くの施設は車イスのまま直接観光できた。とくに新しい建物は車イスでも1人で十分観覧できた。地下鉄の車両は広く、車イスユーザーにはありがたい。ホームと車両の段差がなく、安心して移動できた。ノンステップバスから電動でスロープが出てきて感動した。日本の障がいを持つ知人にもソウル観光をすすめたい」と語った。

セミナーで意見交換
セミナーで意見交換

 高橋氏は「仁川空港で荷物を運ぶ際には、空港職員が常に付き添ってくれて助かった。案内には日本語表記も多く安心感がある。観光では、ソウルタワーで日本の障害手帳が通用して割引制度が適用され驚いた。各地とも坂道が多く大変だったが、案内地図が充実していたので楽しく観光できた。以前、大きな通りに横断歩道がなく不便を感じたが今回はできていた。街の改善に意欲的だと実感した」と感想を述べた。参加者からは、このほかにもさまざまな視点から意見が出された。

 ソウル市はこれらモデルツアーや、観光地バリアフリー実態調査によって得られた情報(文化施設や、ショッピング街、宿泊施設、飲食店など利用可能な施設)を「障がい者ソウル観光案内冊子」として発行する考え。また、2011年にはソウル市障がい者ホームページ(http:friend.seoul.go.kr)で、障がい者観光情報をひと目で探せるサービスを提供する予定だ。

“信州DC”の広報支援

 日本政府観光局(JNTO)は訪日外客増加に向け、長野県とJRグループが10―12月に実施する「信州デスティネーションキャンペーン」に協力し、ウェブサイトでのPRや海外事務所での広報活動などを行うことを発表した。

 信州DCの訪日外客商品として発売される、JRが乗り放題となる「JRイーストパススペシャル」などの信州DC商品や、関連イベントのPRを行う。10月には韓国・台湾・香港・タイ・シンガポールの5カ国地域11人の海外メディアを日本に呼び、長野県と信州DCのPRを行い、記事にしてもらう。

 「JNTO訪日外客訪問地調査2009」では、訪日外国人の長野県への訪問率は3・1%で都道府県別で前年の18位から16位に上昇。白馬や野沢温泉などの上質な雪質や温泉などが好評で、山ノ内町にある地獄谷野猿公苑の雪の中で入浴する「スノー・モンキー」などが人気となっている。

観光庁関係に131億円

 観光庁は8月27日、2011年度予算の概算要求をまとめた。観光庁関係の概算要求10年度予算(126億5200万円)に対し、1・03倍の130億8200万円。政府は6月、7つの新成長戦略分野の1つとして「観光立国・地域活性化戦略」を閣議決定。「訪日外国人3000万人プログラム」と「休暇取得の分散化」を国家戦略プロジェクトに選定した。「訪日外国人3000万人プログラム第1期」は10年度予算比1・01倍の95億6200万円。概算要求の73・1%を占める。訪日外国人旅行者の誘致戦略を引き続き着実に推進する。

「東アジアを最重点市場、訪日旅行を着実に推進」11年度予算概算要求

 主要事業は(1)訪日外国人3000万人プログラム第1期(2)観光を核とした地域の再生・活性化(3)観光産業の競争力強化・ニューツーリズムの推進(4)ワークライフバランスの実現に向けた環境の整備(5)観光統計の整備――の5本柱。このうち(3)については、新たに項目を設けた。
2013年までに訪日外国人旅行者1500万人を目指す「訪日外国人3000万人プログラム第1期」は95億6200万円を要求。中核となる訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)は88億6700万円(10年度予算は86億4800万円)を求めた。東アジア4市場(中国、韓国、台湾、香港)はプロモーションをさらに強化。とくに中国については特別枠25億6千万円を要求した。

「スペイン、イタリア中東も重点市場に」

 重点市場は従来の15市場から19市場に拡大。訪日旅行者数の伸びが著しいスペイン、イタリア、直行便の就航により旅客増が見込まれる中東(UAE、サウジアラビア)を加えた。

 MICEの開催・誘致の推進は4億4300万円(10年度は4億4900万円)。「Japan MICE Year」と定め、狭義の国際会議からMICEへの施策の対象範囲を拡大した10年度に続き、MICE推進の機運の浸透と定着、拡大をはかる。
訪日外国人旅行者の受入環境整備事業は10年度予算比1・47倍の2億5100万円を要求。受入環境整備については、10年度に策定した評価システムの評価を踏まえ、国が受入サポーターを自治体に派遣。受入環境の改善を支援する。また、全国に5カ所程度、国費を投じた戦略拠点を整備する。
そのほか、ツイッターを活用した訪日外国人向け情報提供に約5千万円、医療観光に向けた環境の整備に約3千万円を要求。日本の旅行会社などが、日本の受入病院と外国人患者などとの間に立ちさまざまなコーディネート業務を行う。

「観光圏事業を  ステップアップ」

 「観光を核とした地域の再生・活性化」は10年度予算比0・96倍の6億400万円。このうち観光地域づくりプラットフォーム事業は、10年度予算比増減なしの5億4200万円を要求。3年目を終えた観光圏事業をステップアップする。当確地域の資源を活用した着地型旅行商品を企画・販売するなど、滞在型観光につながる持続的な取り組みの素地はできつつあるとし、今後は市場との窓口機能を担う「観光地域づくりプラットフォーム」の形成を促進しつつ、着地型旅行商品の企画・販売、人材育成などを行う取り組みを支援する。支援制度の概要は、1年間の設立準備段階を設け、審査を通過した観光圏整備法に基づく協議会に500万円を補助。その後、原則2年として法人格を有する「観光地域づくりプラットフォーム」に事業費の4割を支援する。

 全国45地域が認定されている観光圏整備実施計画認定地域(10年7月27日現在)の認定は、今年度も継続して行う予定。

「スポーツ観光など新規事業立ち上げ」

 「観光産業の競争力強化・ニューツーリズムの推進」は10年度予算比2・88倍の1億1500万円。継続事業の大学における観光経営マネジメント教育支援は2500万円。そのほか、着地型旅行商品流通促進支援事業、ユニバーサルツーリズムネットワーク構築支援事業、スポーツ観光支援事業については、それぞれ皆増の3千万円を要求した。着地型旅行商品流通促進支援事業は着地型旅行商品を広く消費者に普及させるため、商品の情報流通の課題を抽出するとともに、情報流通モデルの策定・検証を通じて商品流通の円滑化をはかる。

 「ワークライフバランスの実現に向けた環境の整備」は10年度予算比3・5倍の9800万円を要求した。休暇取得の分散化導入を促す。休暇取得分散化が国民生活にもたらす影響・効果などについて普及啓発活動を実施。企業における祝日法改正への対応事例の形成を行う、地域ごとに休暇分散化の具体的な取り組みを実施する――など導入準備を経て、繁忙期における旅行動向、需要平準化の状況など、導入効果を検証する。

敬老ウィーク -マザー牧場-

マザー牧場は9月20日の敬老の日を含めた7日間を「敬老ウィーク」として入場料を割引する。65歳以上の人を対象にする。18日から24日まで。20日の敬老の日のみは1500円の入場料が無料になる。これ以外は半額の750円になる。同伴者5人までの入場料は20%割引く。団体客は対象外。

問い合わせ0439-37-3211