売れる地旅づくりに向けた課題、課題は集客

 全国旅行業協会(ANTA)は、4月8日に青森市内で開いた国内観光活性化フォーラムで、パネルディスカッション「売れる着地型旅行商品(地旅)づくりに向けた課題」を行った。コーディネーターは、まちづくり観光研究所所長の奥坊一広氏が務め、パネラーは弘前観光コンベンション協会専務理事の今井二三夫氏とびわ湖・近江路観光圏協議会 長浜市産業経済部観光振興課副参事の北川賀寿男氏、信州いいやま観光局誘客宣伝課係長の小泉大輔氏、株式会社全旅社長の池田孝昭氏が登壇した。

 ――着地型を造成するメリットは

今井氏:着地型はあって当たり前になったが、なかなか造成が進まないので私たちが手掛けている。メリットは、観光地として生き残り、全国から人を集めるため。また、地元の商店街の連携を強め地元を再発見し、地域おこしや地域づくりに繋がる部分も大きい。

北川氏:観光圏でツアー造成を考えたときに、温泉も世界遺産も強烈な売りがない地域で宿泊をしてもらうには、“暮らしを売る”ことだった。地元の団体との連携は不可欠で、連携にはツアーセンターが要になるため、旅行業を取得した。

小泉氏:以前から取り組んでいたグリーンツーリズムに宿泊と体験を盛り込み、広く一般に発信するため、着地型に取り組んだ。旅行会社は発地業務で手一杯で、気持ちはあっても難しい。しかし、地域にとっては急務なので、取り組んだ。

池田氏:我われが地旅を推進し始めたのは、地元のイベントなどの仲間に入れてほしいという強い気持ちから。地域が集客で悩んでいるときに、我われのネットワークで集客すれば、地元で存在価値を認めてもらえる。

「メリットは地域連携や誘客力」

 ――課題、問題の集客や販路について

今井氏:集客と受け入れ体制の整備が大きな課題。観光協会や行政など第3種ではなかなか難しい。第2種のANTAの皆さんにぜひ参画していただきたい。販路も、5700の発信力を発揮していただき、地域間の業務提携など販売のネットワーク構築を望みたい。

北川氏:着地型には地域を連携させるコーディネーターが絶対必要。行政でも民間でもない第3の人が、お互いの気持ちを汲んで、よさを引き出すことが大切だ。行政や地元の旅行会社などにお金と人はだしてもらって、口はださない仕組みを構築することが重要。

小泉氏:昨年地旅大賞を受賞させてもらったが、直販は1年間で100人弱。誘客宣伝はできても、集客力はないと実感した。ANTAの皆さんには現地手配の1つと考えていただいて、踏み込んだ提案ができるお客様に1つでも提案して開拓していただきたい。

池田氏:地旅を造成した着地が集客する方法は、ANTA―NETかANTAの遠方の会員、(株)全旅と3つ。ぜひ、相談していただきたい。

平城遷都1300年祭、平城宮跡会場がオープン、大極殿や遣唐使船など復元

「奈良の都にタイムスリップ」

 「はじまりの奈良、めぐる感動」をテーマに奈良県で今年1月から1年を通して開催中の平城遷都1300年祭のメーン会場となる「平城宮跡会場」(奈良市佐紀町)が4月24日にオープンした。東京ドーム27個分という130ヘクタールの広さの平城宮跡には、正門の「朱雀門(すざくもん)」とその北方にそびえ建つ「第一次大極殿(だいいちじだいごくでん)」、原寸大の遣唐使船など復元され、日本が中国・唐の文化・制度などを移入しながら国家を形成した奈良時代の都の世界を再現する。

 710年に藤原京から都を移した平城京は、唐の長安を模した碁盤目状に広がる巨大都市だった。当時の日本の人口が500―600万人といわれるなか、平城京には約10万人の人々が住み、約70余年間日本の首都として栄えた。

 平城宮はその都の中心として天皇の住居があり、政治・国家的行事を行ったところ。広大な野原が広がる平城宮跡は、今でも1300年前の奈良の都にタイムスリップしたかのような錯覚を感じさせる。

 平城宮のなかでもっとも重要な建物は第一次大極殿で、天皇が即位の儀式や元日朝賀などの国家的行事を行った。古代の伝統技術で復元された建物は高さ約27メートル、幅44メートル、奥行き20メートルの2層式で、朱色の柱と黒い屋根瓦に覆われた豪壮な建築。国の威信と誇りを内外に示すような都人の気概を感じさせる。

 内部は法隆寺にならった格子模様の組入天井。格間には蓮華が彩色され、四周を巡る小壁には四神画と十二支が描かれている。中央には8角形の天皇の玉座をイメージした「高御座(たかみくら)」の実物大模型が置かれている。

 大極殿からは平城宮の全容が見渡せる。東には皇太子の宮殿があった東院庭園が復元され、約800メートル先の南正面には朱雀門が小さく見える。高さ25メートル、幅10メートルの朱雀門の前では、かつて外国の使節の送迎が行われたという。

 門の近くには遣唐使船を復元展示した平城京歴史館(有料)もあり、東アジアとの交流の歴史を大型スクリーンで紹介。当時の都のようすをリアルに再現している。

 平城京の遺構をそのまま見られる遺構展示館の近くには、遺構の擬似発掘や天平の衣装体験、当時の役人の仕事など学習するイベント施設「平城京なりきり体験館」(有料)も設置され、古代の暮らしを楽しく学習できる。

 専門ガイドによる平城京探訪ツアー(有料)も、夏季を除いて毎日実施されており、修旅や団体などには便利。1・5時間、2・5時間の2コースがあり予約が必要。

 期間中は古代衣装をまとった「衛士隊の再現」や、天平文化の華やかさを演じる「あおによしパレード」、まほろばステージでの文化芸能などさまざまなイベントが繰り広げられる。31の飲食、物販施設も整う。

 アクセスは、近鉄大和西大寺駅から会場まで徒歩10分。シャトルバスも同駅と、JR奈良駅から無料で運行している。

宿泊客1万人アップを、帰りのフェリー代無料(小豆島ふねタダ大感謝祭2010)

 香川県・小豆島の宿泊施設や観光施設、フェリー会社で組織する「小豆島観光誘客合同会議」(委員長=木下恭一郎小豆島国際ホテル専務)は、8月23日から10月31日(団体プランは9月30日)まで、帰りのフェリー代金を無料にする「小豆島ふねタダ大感謝祭2010」を実施する。

 高速道路料金値下げ以降、落ち込みが続く観光客数のテコ入れをはかろうと企画した。海水浴などでにぎわう夏季と紅葉シーズンの間のオフ期に設定し、前年同期比で宿泊客1万人アップを目指す。

 島内宿泊客数の約8割をカバーする同会議加盟16宿泊施設の該当プラン利用者が対象で、土庄―高松、土庄―新岡山、池田―高松、草壁―高松、大部―日生、福田―姫路港の6航路で使える復路無料クーポン券を渡す。最大で8970円(福田―姫路航路で自家用車搭載の場合)が無料になる。

 4月14日から各施設や同会議のホームページなどで申し込みを受け付けている。  キャンペーンにあわせ、家族で楽しめる宝探しゲームや地域通貨「オリーブクーポン」の設定、島内アクセスの充実などを同時展開する。

 4月16日に大阪で開いた説明会で木下委員長は「マイナス要因は多いが、1人でも多くの人を島に迎えたい。このキャンペーンの成功は来年、再来年の取り組みにつながっていく。島民一体で観光小豆島のブランド力を上げていきたい」と意気込みを語った。

 なお、キャンペーン開催中の7月19日―10月31日には県内の島々を舞台にした「瀬戸内国際芸術祭」(同実行委員会主催)も開かれ、小豆島も開催場所の一つになっている。

第1回 じゃらんご当地スター大賞決定、「U字工事」さんを表彰

 リクルート旅行カンパニーじゃらん(冨塚優旅行カンパニー長)は4月20日、東京都内で「第1回じゃらんご当地スター大賞表彰式」を開き、栃木県が誇るご当地タレント「U字工事」さんを表彰した。

 じゃらんリサーチセンターが3月30日に発表した「じゃらんご当地調査2010」の「地元愛されタレント出身県ランキング部門」で、漫才コンビU字工事さんが県民からの支持が最も高かった栃木県が1位に輝いたために表彰式を開いた。2位はスザンヌさんの熊本県、3位はタモリさんの福岡県となった。

 同調査は、47都道府県それぞれの地元在住者向けに地元に対する愛着などを、インターネットでアンケート調査を行い、8万1668人の回答を得た。

 「地元に愛着を感じるか」ランキングでは、(1)沖縄県(2)北海道(3)京都府(4)福岡県(5)宮城県――が上位を占めた。

 また、温泉部門では(1)大分県(2)鹿児島県(3)群馬県(4)長野県(5)愛媛県――の順となった。

 表彰式の席上で、「U字工事」の福田薫さん(写真左)は「引っ込み思案で、自分からあまり前に前にと出てこない栃木の県民性が好き」と話し、益子卓郎さん(写真右)は「今の時期は鮎の“やな”がいいですね。それをあぶって食べるのがまたいいんです。温泉もたくさんあるのでいいところですよ」と、愛着のある地元栃木県をPRした。

新サービスを共同研究、ANAと日藝が産学連携

 全日本空輸(ANA)は4月16日、日本大学藝術学部と、ANAマイレージクラブ会員を対象にした新しいモバイル専用プログラム「ANA マイレージプログラム(AMCモバイル)」の新サービスを共同研究する産学連携プログラムを開始した。企業が提示した課題に学生が提案を行う。

 AMCモバイルは従来の会員に加え、マイルにあまり関心のない層も対象に、日常で利用する携帯電話から有益な情報を提供するサービス。

 クリエイターを多く輩出する同大ならではの柔軟な発想に基づく新提案と、企業現場で実際に展開できるコミュニケーション手法の接点を見つけることを目的に、革新的なサービスや画期的なプロモーション手法の開発を目指す。

 連携プログラムの概要は、同社の現状のモバイル戦略のガイダンスをベースにした「航空」「旅行」「観光」「WEB化」に関するオリエンテーションや、担当教授による課外ブレインストーミングセッションを通じ、市場を取り巻く環境の基礎知識を学ぶ。その後、選抜された15人の学生が、チームでアイディアをだして、毎月ANAにプレゼンテーションして実現プランに仕上げていく。学生からの最終プレゼンテーションは7月2日を予定する。

8地域で実証実験、親子の休みをマッチング(観光庁)

 観光庁は8つの先進的な地域の協力を得て、大人(企業)と子供(学校)の休みのマッチングを行う実証事業を行う。

 具体的には、地域で企業の有給休暇取得促進と学校休業日の柔軟な設定により、大人と子供の休みのマッチングを試みる。

 親子で話す機会の増加といった「家族の過ごし方」の変化などをアンケートによって把握し、家庭・学校・地域などにもたらす教育・社会的効果を調査する一方で、問題点や課題の抽出と、改善策を検証する。

 8つの実施地域と取り組み内容は次の通り。

【東京都荒川区】
小中学校数校で実施予定

【新潟県妙高市】
中学校1校、小学校2校で11月20―23日に4連休を設定

【静岡県島田市】
中学校1校、小学校4校で10月8―11日に4連休を設定

【福井県】
小学校数校で実施予定

【三重県亀山市】
市内の全公立小・中学校(幼稚園含む)で4月29―5月5日に7連休を設定

【京都府京都市】
市内の小学校数校で10月に実施予定

【山口県】
野田学園中学校で9月19―26日に8連休を設定

【福岡県福岡市】
市内の小中学校数校で10月に実施予定

11月に島根で全国大会、井上体制の集大成に(全旅連青年部)

 全国旅館生活衛生同業組合連合会青年部(井上善博部長、1649会員)は4月15日、東京都内で第42回定時総会を開き、2年間の井上体制の集大成となる全国大会に向け、残り1年を各委員会事業やブロックごとの活動に全力で取り組んでいくことを確認した。

 井上部長は「誇りば持とう青年部~『誇り』『絆』『友情』をテーマに、1年間頑張ってきた。私も過去10年間、良き先輩や友人にご指導いただきながら、青年部で一生懸命活動したことでしっかりとした業績をあげることができるようになった」と語った。さらに、「11月の全国大会には県部長がたくさんの部員を島根に連れてきて、誇りと絆と友情を体感してほしい」と述べた。

 「第20回全旅連青年部全国大会in縁結びの地しまね」は11月25日、松江市のくにびきメッセで開催される。

 来賓の全旅連の佐藤信幸会長は「全旅連は環境問題にも取り組んでいく第一歩として日産と提携し、今年発売される電気自動車『リーフ』の充電網の整備を、我われ旅館も協力して推進していこう」と述べた。

 日産「リーフ」の走行距離は160キロ以上で、急速充電設備は700万円ほどかかるが、すでに多くの旅館の外壁には、ネオンや自動販売機用の100Vコンセントが設置されており、これを利用すれば充電に16時間かかるが、旅館では宿泊客が滞在中に充電できる。

 第9代青年部長の小原健史氏は「2大政党化しており、それぞれの地域で候補者が推薦状を求めたときに、旅館業のために何をしてくれるかという政策協定を結んだ方がいい」と提案した。

 青年部活動に貢献した各地青年部の功績を讃える褒賞制度は、今年はグランプリを30万円から50万円に引き上げる計画で、各都道府県からの積極的なエントリーを呼び掛けている。

国際航空券仕入れを統合、今夏に共同出資会社設立(日旅、トップツアーなど4社)

 日本旅行とトップツアーなど旅行会社4社は4月16日、今夏にも共同出資会社を設立し、国際航空券発券業務と公示運賃に関わる仕入れ業務を統合することを発表した。発券業務の効率化やコスト削減などが狙い。

 参加会社は2社のほか、エヌオーイー(林田建夫社長、東京都千代田区)とエフネス(岡田直樹社長、東京都千代田区)。4社の2008年度公示運賃取扱実績は、合計で1200億円弱にのぼる。

 新会社は、各社が保有する国際航空券発券業務と、公示運賃仕入業務に関する経営リソースを有効活用。組織の効率化と高品質化をはかり、発券コストの削減とサービス向上、4社計の発券ボリュームを背景に、業務遂行に関わる収益確保を目的にする。また、国際航空運送協会(IATA)債務保証制度の財務要件変更で、自社発券を見直すIATA代理店が増加するなか、発券受託サービスの需要が伸びると見込み、この分野でのリーダー的ポジションを目指し、発券受託ビジネスの競争力強化をはかる。

青森で国内活性化フォーラム、売れる地旅商品づくりなど討論(ANTA)

 全国旅行業協会(ANTA)は4月8日、青森市内の青森市文化会館で「第7回国内観光活性化フォーラム」を開き、全国から1千人を超える会員らが参加した。12月の東北新幹線全線開通を控え、9日には県内を巡るエクスカーションも4コースで設定し、青森の観光資源を視察した。

 二階俊博会長は「青森は観光にまだまだ余地を残している。さまざまな範囲での青森の発展に、我われが一緒になって活動したいという決意で今日お邪魔している」とあいさつ。「私は旅行業を出前産業だといっているが、冷えないうちに配達できる範囲は自ずと決まってくる。我われはそのご近所の旅行を受け、国内はもとより、国際的にも積極的に旅行業を振興させるために努力している。一人ひとりは小さいが、5700会員が団結することにより、国際的にも十分競争できる」と述べた。

 また、三村申吾青森県知事は「38年間待ちに待った東北新幹線が12月に全線開通し、大きなチャンスがやってくる。今、いかに多くのお客様にきていただき、リピーターになっていただけるような仕組みづくりに取り組んでいるところだが、新しい成長産業としての観光業が大いに進展するものと期待している。青森が皆さんのモデルケースとなるよう私も全力で仕事をしていく」と力強く語った。

 フォーラムは、第1部のシンポジウムで「売れる着地型旅行商品(地旅)づくりに向けた課題」と題したパネルディスカッションなどを行った。第2部の記念講演は地元出身でラジオやテレビなどで活躍し、著書物なども多く手掛ける伊奈かっぺい氏が登壇し、地元愛溢れる内容で会場を大いに沸かせた。

 このほか、株式会社全旅による第2回地旅大賞の発表も行われ、大賞を受賞したエアポートトラベルなどを表彰した。

 なお、次回の第8回国内観光活性化フォーラムは、2011年4月26、27日に富山県で開く。

GW海外旅行予約動向、ソウルが5年連続1位(HIS)

 エイチ・アイ・エス(HIS)はこのほど、ゴールデンウイークの(GW)海外旅行予約動向速報を発表した。これによると、今年は日並びがよく、4月24日から5月5日までで最大12連休、4月29日から5月9日までで最大11連休の大型連休となる可能性もあり、同社の予約人数の前年同日比は6・0%増と好調に推移している。

 今年の主な傾向として、ヨーロッパが同7・0%増、オセアニア同9・0%増など、長距離方面が好調。中近東方面への増便や新規就航で、座席供給数が増加したエジプトやトルコの予約伸び率も大きく上昇しているという。

 一方、人気渡航先総合ランキングは06年から5年連続でソウルが1位。香港や台北など定番のアジアに加え、万博の開幕で上海もランキングの上位にあがっている。ビーチリゾート部門では、定番のハワイやグアムのほか、チャーター便を設定している海南島やセブ島が上位に入った。