近畿日本ツーリスト(KNT)協定旅館ホテル連盟(西野目信男会長、2810会員)は2月16日、東京都内のホテルで第55回通常総会を開いた。09年の宿泊券販売は、目標の1230億円に対し、大きく割り込み1008億円。4年連続で目標達成できない状況。連盟としても自ら需要を創造する努力が必要であるとの認識から、「お客様の目線に合った着地型旅行商品の創出」「差別化された域内商品の開発、造成、販売」を目的として昨年から実施する「支部間対抗メイト商品コンテスト」を情報連絡員活動の最大のテーマとした。10年の宿泊券販売目標は、1100億と定めた。
西野目会長は「業界全体が一気に冷え込み、逆風の強い1年だった」と振り返り、「1度リセットして新しく構築し直さなければ先は見えない」と強調した。「国内旅行がまだ柱の部分だが、インバウンドとネットがのびしろになる。海外展開については、KNTを通して宿泊券を買っていただければ、国内、国外のお客様かはかまわない」と語った。
宿泊券販売目標1100億円については、「会社と、いろんな部分で協力し合い、何とかやりぬこうと確認した。お互い知恵を出し合い、それぞれの立場で協力していただければ」とし、全国の営業本部や営業支店、店頭販売会社、KNTツーリストなどと連携強化を訴えた。
宿泊券増売につなげる委員会活動は(1)情報連絡員全国ブロック座長会議(2)Web委員会(3)教育旅行部会(4)インバウンド委員会の4つ。
情報連絡員活動は「情報連絡員制度および活動が近旅連の屋台骨である」という認識のもと、各支部、連合会からの情報発信や商品開発を行う。各地で抱える課題や問題点については全国ブロック座長会議で会社役職者を交えて議論し、解決していく。
そのほか、次代を担う若手経営者が抱える諸問題を議論、解決しKNTファンを育成する場とする平成旅館塾は第3回、第4回を実施予定。
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「1100億円は必達目標、ネットとインバウンドに注力」(KNT吉川社長)
KNTの吉川勝久社長はKNT旅連の総会で「宿泊券販売1100億円は必達目標」と強調。「会社と旅連の関係は、発地のニーズと着地のニーズを提案しあい、融合することにある。車の両輪として、関係の維持拡大に努めたい」と語った。
「同業他社というより、マーケットそのものとの戦いだった。人が動かない。マインドづくりに苦心した1年だった」と振り返った。
10年の営業展開については「昨年8月に策定した中期経営計画を、スピードを持ってしっかり実施していく」とし、施策の柱として、ウェブ販売とインバウンドをあげた。ウェブ販売は、2009年の取扱額114億円から12年に400億円に伸ばす計画。10年は180億円を目標とした。インバウンドについては、中国アジアセンターの新設や訪日旅行者向けサイトの整備などの取り組みを紹介し、「宿泊在庫を全世界へ販売していきたい」と述べた。
国内個人旅行の製造・販売の一元担当を任された斎藤彰英常務は「会社の資源に横軸を通して、最大限の効果をあげるのがミッション。黒字達成に向けて組織再編を進め、1100億円をやりきり、もう一度安心を与えたい」とあいさつ。
昨年、販売手法として伸びたのが4%増のウェブとし、「こういう数字を見ても方向性ははっきりしている。はじめからインターネットを想定した商品の企画、仕入、売り方をする。全体の30%は切り替え、4月以降の商品づくりに入っている」と語った。仕入センターは、商品づくりと販売の連携を強化するため仕入販売センターに名称を変更。「ウェブ担当者を配置し、早い時期にその場で公開できる形にしたい」と語った。
そのほか、宿泊券1100億円達成のポイントとして、訪日インバウンド、教育旅行をあげ、とくにリアルの販売力の強化については「インターネットでは応えられないところがある。社員教育、研修は分厚くやっていく」と語った。