2024年10月22日(火) 配信
日本専門新聞協会(入澤亨理事長)は10月17日(木)、帝国ホテル(東京都千代田区)で「第77回日本専門新聞大会フェスティバル」を開いた。ロシアによるウクライナ侵攻や生成AIの急速な進展などで、産業界を取り巻く環境が大きく変化し、日本経済の先行きが不透明となるなか、強靭で持続可能な社会の実現に向け、信頼性の高い迅速な情報発信を通じて寄与していくことを確認した。
第1部の時局講演会では、慶応義塾大学教授の小林慶一郎氏が「日本経済の展墓と課題」をテーマに登壇した。
小林氏は将来、長期化する金融緩和や財政出動で、国民が財政の持続性を懸念し、社会保障の削減や大増税が実施されることを予想するとした。これによって、「投資が行われなくなり、日本経済の成長率が低下していく」と指摘。
今後、財政の課題を解決するうえで、「現在の政治システムでは、今を生きる我われが優先されてしまう。将来世代のために配慮すべき」と持論を展開した。
そのうえで、「現役世代が未来の社会を生きる国民として生まれたつもりで、政策を議論する考え『フューチャーデザイン』を取り入れるべきだ」と述べた。
第2部の式典は、石井貞德新聞大会運営委員長兼副理事長の開会あいさつでスタートした。
入澤理事長は生成AIを悪用したフェイク情報が広く氾濫しているため、「これまで以上に専門的な情報に特化したメディア集団であることを自覚し、確かな情報の報道で信用を得る努力が求められている」と現状を語った。
そのうえで、「時代の変化を読み取り、適切に協会運営に徹していく」との考えを示した。
来賓の韓国専門新聞協会のキム・ガンタク会長は「スマートフォンの通信技術で情報発信の在り方が変化している。共に力を合わせて発展戦略を練っていきたい」と話した。
第31回写真コンクールの表彰式では、1037点の作品の中から17点が受賞した。併せて、専門紙の普及と使命をアピールする第77回新聞週間キャッチフレーズの入選作3点を発表した。このうち、優秀作には「情報が あふれる時代の 専門紙 読み解く記事が 未来を照らす」が選ばれた。
その後、第3部のレセプションが開催された。来賓として出席した元衆議院議員の野田毅氏は、一般紙が軽減税率の対象となっている一方で、多くの業界紙に10%の消費税が課されていることについて、税制を担当していた経験を踏まえたうえで「不公平で残念。いずれ現在の仕組みを見直すことを約束する。石破首相にも話をしたい」と語った。