全国の百貨店や専門店売場のデザイン・ディスプレイなどを手がける空間演出カンパニー「京屋」とタイアップする、旅行新聞「売場改革」プロジェクトチームは1月22日、弊社イベント「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」表彰式の前に、東京都内の京王プラザホテルで早朝セミナーを開いた。テーマは「魅力的なお土産処にするために――『視覚に訴える商品陳列・空間演出』」。
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京屋の吉松力九州営業部ディレクターはVMD(Visual Merchandising=視覚で見る品揃え商品計画)の基本の考え方について説明。「人間の五感、味覚、嗅覚、聴覚、触覚、視覚のうち、視覚の占める割合は87%ある」と視覚の重要性を強調し、「何のために商品を見せているのか。それは買いやすくするため。お客様が期待している最も基本的なことは、見やすく、選びやすく、買いやすいこと。商品を通じてお店や売場の主張が見えること。それが買いやすい売場」と語った。
もちろんわざと商品を見にくく、選びにくく、買いにくく見せている売場はない。しかし、吉松氏は「オープン当初はきれいな店も時とともに、店の都合のいい陳列に変わり、お客様にとっては商品が見にくくなる傾向がある。今日のテーマはほとんどがお店の責任の問題」と指摘。
お店の都合や、あまりにも商品を売ろうとする前のめりな姿勢が、商品の氾濫や商品価値の伝わりにくさ、売場の歩きにくさなど、買う気を失わせる「心理的な壁」を生み出しているという。お客様の視点に立ち返り、「売場からお買い(快)場と呼び方を変えてほしい」と語った。「心理的な壁が、肝心なところに行き着く前に、もういいやと思わせてしまう。売場の滞在時間と売上金額は比例する。いかに心理的な壁を取り除き、見えていない商品を見せるかが重要」と話した。
実際に吉松氏が携わったお店では売上げは1―2割アップした。「今の時代、小さなことでもコツコツやることが大事」と語った。
具体的なテクニックについては、これまでの売場改革プロジェクトの事例を紹介。ブランドやデザイン、色、素材、サイズ、価格などによる商品分類や、顧客の目線の移り方、店内通路の設定、商品陳列の高さと配置、売場の高さの基準など、売場改善の基本知識を紹介した。
とくに目的商品の主張については、「人が記憶できる商品の数には限界がある。1秒間に6点ぐらいまで。1番売りたいものを出す工夫がいる。今月のベスト10などで、店の主張をしっかり伝えることは大事」と話した。
質疑応答では、売場改革の費用についての質問が多かった。吉松氏は「今日話したソフト面だけの場合もあるが、それに加えて什器や照明などハード面の変更まで要素は多い。ケースバイケース。コンサルタントではなく、現地を見させてもらい、担当者からヒアリングをして、こういうふうにしましょうという、具体的なプランデザインを提案する。ぜひご相談を」と語った。
問い合わせ=旅行新聞「売場改革プロジェクトチーム」電話03(3834)2718〈東京〉、06(6647)5489〈関西〉