2025年4月22日(火) 配信
初公開、第3立坑の底から地下トンネルへ
東武トップツアーズ(百木田康二社長)は4月16日(水)、国土交通省江戸川河川事務所が管理する治水施設「首都圏外郭放水路」の新コース「地下河川を歩くアドベンチャー体験コース」を実施した。従来から公開していた”地下神殿“と呼ばれる「調圧水槽」に加え、これまで立ち入ることのできなかった、初公開となる第3立坑と地下トンネルを見学する約4時間のツアーに、一般参加者16人と同行取材した。
首都圏外郭放水路は、中小河川の洪水を地下に取り込み、江戸川に流すために建設された地下放水路。埼玉県春日部市内を走る国道16号に沿って地底約50㍍を、内径10㍍のトンネル水路が全長6・3㌔に渡って貫く世界最大級の地下河川。洪水を取り込む深さ約70㍍の立坑は第1~第5まで5つある。
同ツアーは、東武トップツアーズ春日部支店(安原裕之支店長)が企画運営を担う。
参加者は午後1時に、同水路の調圧水路(地下神殿)の地上にある「龍Q館展示室」に集合。洪水の発生しやすい地形で生まれた巨大地下放水路の成り立ちや、いかに地域の防災に貢献しているかなどの説明を受けた。
わかりやすく説明してくれたのは、「防災コンシェルジュ」の資格を持つ東武トップツアーズのスタッフたち。
国土交通省は災害から命を守る「災害の自分事化」の浸透を目指しており、同社や春日部市とタッグを組んで、首都圏外郭放水路を「防災ツーリズム」の情報発信基地として、年間有料見学会の参加者を10万人規模(現在は約6万2000人)に拡大していきたい考えだ。
龍Q館地下にあるポンプ室の見学後、参加者はバスに乗り、全長6・3㌔の中間地点にある第3立坑に向かった。ツアー参加者と同様に腰まである長靴に履き替え、ヘッドライト付きのヘルメットを装着し、キャットウォークを歩いた。内径31・6㍍、深さ71㍍の立坑を上から覗き込むと、足が竦んだ。その後、エレベーターで立坑の底まで降りた。天候によっては膝まである水も、当日は踝ほどしかなく、天井を見上げたり、地下を貫くトンネル水路を歩いたりした。
再びバスに乗り、龍Q館に近い第1立坑から調圧水槽(地下神殿)を見学した。
圧巻の「調圧水槽(地下神殿)」を防災コンシェルジュが案内
調圧水槽は、地下トンネルから流れてきた水の勢いを弱め、江戸川へスムーズに水を流すため、地下約22㍍に作られた長さ177㍍、幅78㍍、高さ18㍍の巨大水槽。59本の石柱はさながら地下神殿のよう。これまで写真や映像で見ていたが、実際に訪れると、その迫力に圧倒された。
さらに奥に向かって、1秒間に25㍍プール1杯分の水を排水する直径3・8㍍の羽根車「インペラ」も見学し、午後5時にツアーは終了。参加者全員に「龍Q館防災博士」の認定書が授与された。
同ツアーは、参加費1人1万5000円。5月にも開催されるが、発売から数時間で完売したという。6~11月までは梅雨や台風などで水量が増えるため一時中断し、11月からツアーを再開する予定。
東武トップツアーズ春日部支店の安原支店長は、「観光の視点で子供から大人まで楽しく防災の知識を身につけられるように、さまざまなアイデアをかたちにしていきたい」と話す。
なお、大人気の「地下神殿コース」(約55分)1人1000円など、さまざまなコースが用意されている。詳しくは首都圏外郭放水路のホームページへ。