2022年11月21日(月)配信
JTB(山北栄二郎社長)が11月18日(金)に発表した2022年4~9月期の連結決算によると、売上高は前年同期比114.8%増の3862億5100万円と大幅増。国内旅行需要が回復傾向にあることに加え、MICEやBPO業務の牽引により収益を伸ばした。山北社長は、通期業績の見通しについて「業績予想の営業利益63億円を達成し、最終利益も黒字を見込んでいる」と話した。コロナ禍前の2019年度の利益水準を上回る見通しという。
営業損失は46億5800万円(前年同期は330億7900万円の損失)だったが、前年から284億円の大幅改善。同じく経常損失も22億2900万円(同260億2800万円の損失)となり、前年から283億円を大幅改善した。また、当期純損失は28億9400万円(同67億3300万円の利益)と赤字に転じたが、前年度に固定資産売却などによる特別利益311億円を計上した反動によるもの。
営業損失が大幅改善となった要因として、①国内旅行の回復②旅行以外ビジネスの拡大③構造改革効果による経費増加の抑制――を挙げ、山北社長はこれらを「3つの業績回復のドライバー」と話し、詳細を説明した。
国内旅行の売上総利益は同130.1%増の373億円。行動制限の緩和で個人旅行の需要が大幅に伸び、教育旅行を中心とした団体旅行が回復したことで回復基調となった。なお海外、訪日、グローバル旅行は依然として需要回復が遅れ、コロナ禍前の19年度と比較して依然として厳しい状況が続いている。
旅行以外の事業の売上総利益は同56.5%増の490億円。このうち、MICE・BPOサービスの売上総利益が同87.7%増の378億円で、国内・グローバルともJTBの強みを生かし、拡大する国内外の会議、イベント需要を獲得できたことにより増益となった。とくにグローバル領域では、アメリカ本土やハワイでMICEを展開する子会社のMC&A社が一足早く人流が戻った欧米市場を積極的に取り組み、過去最高の取り扱いを記録した。
これより、人流の戻りによる旅行の回復とともに、旅行以外の事業も拡大。売上高をみると旅行事業1906億円、旅行以外の事業1957億円となり、結果、拮抗した状態となっている。
構造改革効果による経費増加の抑制については、コロナ禍以降に実施してきた構造改革の成果が発現したと説明。国内グループ会社を19年度の33社から21社へ集約し、海外グループ会社は22年度中間時点で447拠点から187拠点へ削減した。販売店舗数は154店舗減少、上期平均要員数は1万525人減少、オフィスの集約、デジタル環境整備によるオンライン相談や、テレワーク導入によるオフィス集約などを実施している。
構造改革の成果により、売上の改善と合わせて経費は一定水準を維持した。売上高は20年度の1298億円から22年度で約3倍も拡大。一方、営業経費は20年度が1043億円に対して、22年度は969億円と約7%の縮小を達成した。