【特集 No.621】國學院大學 観光まちづくり学科設立 地域を見つめ 地域を動かす

2022年10月21日(金) 配信 

 2022年4月、國學院大學(東京都渋谷区)に観光まちづくり学部観光まちづくり学科が開設された。また学科開設に合わせ、学部の付属組織「地域マネジメント研究センター(CMI)」も設置された。スローガンは、「地域を見つめ 地域を動かす」。「地域」、「理論と実践の両面」、「文理両方」からの学びを大切にし、「地域に力点を置き、まちづくりを行うプロフェッショナルを育てること」を使命とする同学部の設立経緯や教育方針などをまとめる。

  ――観光まちづくり学部観光まちづくり学科設立のきっかけを教えてください。

 國學院大學には神道文化学部があり、毎年多くの神職者を輩出しています。神社は地域の祭りの核であったり、伝統行事の中心であったりしますが、人口減少や高齢化率の上昇によって日本各地のまちが活気を失いつつある現状に対し、神社関係者は危機感を抱いています。 

 大学として彼らの「地域を活気づけてほしい」という声を受け設立されたのが、観光まちづくり学科です。

 ――「観光まちづくり」とは。

 「観光まちづくり」という確立された学問はありません。

 地域社会が努力し応援団を増やす。そしてその応援団が地域経済を回し、地域の環境を良くしていく。この循環がうまく回る仕組みをつくることを私は「観光まちづくり」と定義しています。

 この3つは社会と経済と環境を指しているので、サステイナビリティの3本柱とも言えるのではないでしょうか。ですから我われは、「サステイナビリティ」の地域版のようなものを観光を契機に確立させたいと考えています。 

 ――どのような学生を育てていきますか。

 我われは、「地域を見つめ 地域を動かす」をスローガンとして掲げています。
 「地域を見つめ」というのは、地域の特色をしっかりと発見し、磨き上げるという意味です。地域の特色は歴史や文化、自然などどのようなものでも良いので、学生には自分たちのまちならではの特色を発見してもらいたいという思いを込めています。

 そして課題解決に向け動き出す、つまりまちづくりに取り組むことを「地域を動かす」と表現しています。

 このため、卒業に向けて制作する「卒業論文」も「卒業研究」とし、地域の課題や観光政策を机上の学習だけでまとめるのではなく、自身で地域を選択し、その地域の課題を解決する計画の立案や、地域振興につながる名産品の開発計画などを、類似事例との比較などの調査もしながらまとめてもらうこととしています。

 観光地域づくりは我われが新しく確立させようとしている学問なので、地域に出掛け、見つめ、課題を解決する方法を提案する力を養うためにも「地域から学ぶ」ことは非常に大切になります。

【全文は、本紙1884号または10月27日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

〈旬刊旅行新聞10月21日号コラム〉全国旅行支援がスタート――観光業界の元気な姿を再び見たい

2022年10月21日(金) 配信

 夏の暑さも遠のき、一雨ずつ秋の深まりを感じる。雨が上がった休日、久しぶりにバイクを磨いた。フロントフェンダーやガソリンタンク、チェーンカバーやタイヤのスポークなど丁寧に布で拭いていくと、雲間から少しだけ差し込んだ太陽の光が反射して輝いた。秋から冬にかけての時期がバイクを楽しむのに一番ふさわしい季節だと、個人的には思っている。

 

 バイクを一生懸命磨いたあと、エンジンをかけて、いつものように相模川に沿った道を走り、宮ヶ瀬湖まで向かった。

 

 黄色いセイタカアワダチソウの花と、芒が延々と続く晩秋の寂寥感漂う景色を横目に見ながら、「全国旅行支援がスタートしたから、日本各地の観光地は旅行ムードが高まっているのだろうな」と思った。

 

 

 全国旅行支援がスタートする直前だったが、私は休日を利用して九州の実家に向かった。新幹線で小倉駅に降りると、いつもならそのまま日豊本線に乗り換えて苅田駅まで行くのだが、今回は小倉の街をゆっくりと歩いてみたいと思った。

 

 その目的の一つは、今年4月と8月に相次いで火災が発生した「北九州の台所」と呼ばれる旦過市場を訪れることだった。間もなく解体作業が始まり、大幅なリニューアルが予定されているため、昭和の匂いが残る旦過市場をしっかりと記憶に留めておこうと思ったのだ。

 

 実際に訪れると、火災で焼けた店舗部分は壁で覆われていて半分ほどが営業をしている感じだった。私は市場内の店で焼き鳥を買い、空いたスペースで胃袋を満たした。

 

 もう一つの目的は、小倉城である。長年北九州周辺で生活していたが、小倉城の天守閣を登ったことがなかった。

 

 青空の下の小倉城は美しかった。決して城マニアではないが、旅先で少し時間が余ったりすると訪れることが多く、気が付くと割と多くの城を見てきたのだが、小倉城の抑制された装飾のトーンが自分好みであった。

 

 最後に小倉を代表する老舗デパート「井筒屋」も訪れた。子供のころの楽しい思い出しかない9階の屋上には、昔日の子供向けの遊戯類はなく、がらんとしていたが、母親に連れて行ってもらった“小さな遊園地”の残影が瞼の裏に甦ってきた。

 

 

 私はこの旅で長崎までも足を延ばした。9月23日に西九州新幹線が開業したばかりで、活気あふれる長崎を全国旅行支援の前に堪能しておきたいという思いもあった。

 

 実家の軽自動車を借りて、九州自動車道に乗った。まずは佐賀県唐津市の名物「呼子のイカ」を目指した。「河太郎」ではなんと2時間待ちだったが、呼子の朝市も楽しんだ。

 

 それから長崎では、憧れの「ホテルモントレ長崎」に宿泊した。夜も朝も新地中華街まで歩いて行き、皿うどんやちゃんぽんなどたらふく食べた。旧グラバー住宅がリニューアルしたグラバー園も秋晴れの早朝に訪れた。小学校の修学旅行以来の再訪となった。長崎駅の構内では、西九州新幹線「N700Sかもめ」の姿がちらりと見えた。

 

 

 長崎からの帰りには、福岡で今一番注目のスポットと言われる糸島に立ち寄った。中年男だが、写真映えする有名なロンドンバスカフェで、アイスクリームを食べた。全国旅行支援で観光業界の元気な姿を再び見たいと思う。

 

(編集長・増田 剛)

 

常磐ホテル やまなし地酒フェスタ2022 10月末まで開催

2022年10月21日(金) 配信

プレスデイのようす

 10月1日「日本酒の日」に合わせて10月30日まで、山梨県甲府市の信玄の湯 湯村温泉「常磐ホテル」で「やまなし地酒フェスタ2022」が開催されている。今年で3回目。主催は山梨県酒造協同組合と常磐ホテル。

 「GI YAMANASHI」(ジーアイ・ヤマナシ)は、国内初の水系指定・山梨県原産地呼称のW認定を受けた山梨県内で醸造された日本酒の認定酒。山梨県内産の米と水を主原料にしたもので、酒の地理的表示(GI)は酒の地域ブランドを確立するため、1994(平成6)年にスタートした制度。産地からの申し立てに基づき、国税庁長官の指定を受けることで、産地名を独占的に名乗れる。産地名を名乗るに当たってはその産地で生産されていることはもちろん、一定の生産基準を満たしていることが求められる。

 常磐ホテルでは今夏に開催したビアテラスに引き続き「高級化」をキーワードに、コース料理と無料ブッフェ(一品料理+ほうとう汁)、それに飲み放題メニューを提供。コース料理は甲州牛コース(1万2千円)、グレードアップコース(1万円)、スタンダードコース(8千円)の3コースを用意した。

 山梨県の酒蔵が一堂に会し、地酒の魅力をすべて味わい尽くす1カ月間限定のイベントで、GI山梨の認定酒やスパークリング日本酒、季節限定酒など、期間中は30種類以上が飲み比べできる。

会場ディスプレイ

 会期中の毎週金・土曜日は「スペシャルデイ」とし、参加の各酒蔵から蔵元や杜氏が来場して酒蔵の逸品を振舞う特別試飲会や、恒例のジャンケン大会が実施される。

 9月30日にはメディアや観光・酒造関係者を招待したプレスデイ、10月5日には組合主催「日本酒の日」イベントが開催され、さらに10月31日には翌月から始まる「やまなしワインフェスタ2022」へのバトンタッチイベント(招待客限定)も計画されている。

 問い合わせ=常磐ホテル ☎055(254)3111。

日本専門新聞協会、より速く正確な報道へ 第75回専門新聞大会開く

2022年10月20日(木) 配信

入澤亨理事長

 日本専門新聞協会(入澤亨理事長)は10月19日(水)、帝国ホテル(東京都千代田区)で「第75回日本専門新聞大会フェスティバル」を開いた。社会でデジタル化が進むなか、より速さと正確な報道に徹することを確認した。

 第1部の時局講演会では、東京大学先端科学技術センターフェローの御厨貴氏が「日本の政治と世界の動向」をテーマに登壇した。

御厨貴氏

 御厨氏は、伊藤博文や山縣有朋など長い間1つの部門の仕事をし、功労のある元老でもある歴代首相を振り返りながら、現代では元老が生まれにくい環境について語った。

 第2部の式典は大会運営委員長の石井貞徳副理事長の開会のあいさつでスタートした。

石井貞徳大会運営委員長

 入澤理事長はメディア業界の現状について、「大きく変容する情報通信技術を目の当たりにしている。それはコロナ禍でさらに加速した」との認識を示した。今後は「経営環境の変化に対応したスピーディーで正確な情報発信に努めなくてはいけない」と語った。

 第29回写真コンクールの表彰式では、956点の作品の中から22点が受賞した。併せて、専門紙の普及と使命をアピールする第75回新聞週間キャッチフレーズの入選作3点を発表した。このうち、優秀作には「揺れ動く 世界読み解く 専門紙 揺るがぬ指針 頼れる情報」が選ばれた。

舞台は中部山岳国立公園 ネイチャーホスピタリティ協会 2回目のナショナルパーク・サミットを開く

2022年10月20日(木) 配信

涌井史郎会長

 ネイチャーホスピタリティ協会(涌井史郎会長)は10月6日(木)、ホテルブエナビスタ(長野県松本市)で2回目のナショナルパーク・サミットを開いた。今回の舞台は、中部山岳国立公園。同国立公園の魅力や発信方法、魅力発信する人同士のつながりなどを地域に着目し考察、世界水準の国立公園とその周辺エリアとして磨き上げるために必要なことなどを話し合った。またサミットには、阿部守一長野県知事や宮之本伸松本市副市長らも来賓として参加した。

 冒頭涌井会長は「プラネタリー・バウンダリーを考えるとき、自然を主体に考え、どのように自然と共生するかが非常に重要になる。(自然と共生する暮らしの)先進地を訪ね歩き、学ぶ巡礼の旅の舞台は、中部山岳をおいてほかにない」と持論を展開。「新たな時代に対し我われがどう変化するか、ツーリズムというものをどう捉えていくのかを議論できることを祈念している」とあいさつした。

 基調講演には、環境省中部山岳国立公園管理事務所の森川政人所長と、CEEJA(アルザス・欧州日本学研究所)ディレクター兼日欧地域間連携ヘルプデスク欧州側事務局のヴィルジニー・フェルモー事務局長が登壇した。森川氏は、「松本高山Big Bridge構想の取組と今後の展開について」と題し講演を実施。同構想を「国立公園のゲートタウンとなる長野県の松本と岐阜県の高山をつなぐルートを設定し、ルート周辺エリア一帯を一つのエリアとしてブランド化」するモノと説明。そのうえで、「エリア全体を上質化し、一体的におもてなしを行うとともに、個別エリアの個性も伸ばす」と語り、「世界水準のナショナルパーク実現を目指すことで、持続可能な地域づくりにつなげる」と力を込めた。

 基調講演の後には、同協会の小川正人理事長がモデレーターとなり、パネルディスカッションも実施した。登壇者は、森川所長とヴィルジニー・フェルモー事務局長に加え、江苓華氏(Japan Farm-Stay)、中野梓氏(奥飛騨温泉郷福地温泉 お宿故郷女将)、鳥居真太郎氏(ホテル白樺荘取締役副社長)。

 フェルモー氏は「上高地や奥飛騨などの魅力は伝統的な体験。ここを外国人に体験してほしいと」持論を展開。中野氏はビッグブリッジ構想に関し「(各地域が)魅力をさらに磨き上げることで、相乗効果で社会と地域環境の好循環になると期待している」と自身の考えを述べた。

「ラーメン山岡家」と3回目のコラボ 札幌東急REI ホテル ファンにはたまらない非日常な体験を3つ用意

2022年10月20日(木) 配信

コラボレーション客室

 札幌東急REI ホテル(北海道札幌市)は12月6日(火)まで、「ラーメン山岡家」とコラボレーションした宿泊プランを展開している。

 1 日4部屋限定で販売する「山岡家部屋 3 」は2020年に開始した同ラーメン店とのコラボレーション第3弾となるもので、これまでの「ラーメン山岡家」風客室装飾に加え、ファンにはたまらない非日常な体験を3つ用意した。

 一つ目の非日常体験は、「ラーメン山岡家」で販売している「朝ラーメン」を同店監修のもと、ホテル流にアレンジした朝ラーメン朝食の提供。

 「ホテルでラーメン山岡家のラーメンを食べたい」という要望に応えたもので、「ラーメン山岡家」らしさはそのままに、食欲のない朝にも食べやすい、やさしい味わいの塩ラーメンに仕上げた。

 特別イベント「山岡家部屋スタンプラリー 」は同ホテル周辺の「ラーメン山岡家」、「味噌ラーメン山岡家」など 8カ所を周り、各店舗に設置のスタンプを集める企画。

 すべてのポイントを周った宿泊客には抽選で、同企画のために制作した「オリジナルどんぶり」や、普段は手に入らないノベルティ、5 種類の乾麺などが入った「山岡家コンプリート BOX」など、 8 種類の特典の中から1つをプレゼントする。

 また客室には、「ラーメン山岡家といえばこの人!」という人物との貴重な 3 ショットが叶う「記念撮影用フォトパネル」を設置する。

 同ラーメン店とのコラボレーションは今回で3回目となる。2020年に行われたの1回目では「ラーメン山岡家」店内を再現した客室の強烈なインパクトとユニークな内容が、テレビや SNS(交流サイト) などで話題となった。また翌年実施した「山岡家部屋 2 」では豚骨香る「ラーメンスープ風ウェルカムドリンク」やオリジナル宿泊証明書などを提供した。

 料金はシングルルームが1人9200円から、ツインルームが1人7200円から。平日利用者には 全国の「ラーメン山岡家」で利用できる「ラーメン 1 杯無料券」をプレゼントする。

隈研吾氏が外観やインテリアのデザインを監修 11月1 日 ONE@Tokyo開業

2022年10月20日(木) 配信

ライブラリー・スイート

 アゴーラホスピタリティーズは11月1 日(火)、「ONE@Tokyo」(東京都墨田区)を開業する。

 外観やインテリアのデザインの監修を建築家の隈研吾氏が「インダストリー&ナチュラル」をコンセプトに手掛けた、デザインを楽しみながら東京観光を楽しめるロケーションのホテル。東京スカイツリーの最寄りの押上駅から徒歩約3 分の場所に立地、ルーフトップからは東京スカイツリーを間近に見ることができるのも魅力という。

ルーフトップからのスカイツリー

 全142室の客室は天井高を2.45㍍以上にすることとでリゾートホテルにいるような開放感を演出。スイートルームは芸術家のアトリエをイメージした「アトリエ・スイート」と読書家のためのプライベートな書斎をイメージした「ライブラリー・スイート」の2タイプを用意する。

 国田完武総支配人は「海外からの旅行者や20~30代のSNS(交流サイト)世代でファッションやデザインに興味がある人にとくにおすすめのホテル」とPRする。

読売旅行、国立劇場で忠臣蔵 着物で歌舞伎&落語鑑賞ツアー

2022年10月20日(木)配信

「着物de歌舞伎シリーズ」イメージ

 読売旅行(坂元隆社長)はこのほど、「初代国立劇場さよなら公演11月『歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵』」着物de歌舞伎ツアーを売り出した。着物レンタルと着付け、国立劇場1等席チケットがセットになったツアーで、手ぶらで参加でき、手軽に日本の伝統文化の魅力を体験できる。

 国立劇場と読売旅行の共同企画「着物de歌舞伎シリーズ」は、今年3月に第1弾を実施。和装と伝統芸能の敷居の高さを一気に超えてしまおうという趣旨でツアー企画を販売し、好評を得ている。

 当日の劇場では、歌舞伎と落語のコラボレーション企画として、落語家・春風亭小朝さんによる忠臣蔵にちなむ落語2席と、中村芝翫さんが約30年ぶりに早野勘平に挑む「仮名手本忠臣蔵」5、6段目を鑑賞できる。

 開催日は11月19日(土)、24日(木)。旅行代金は基本プランが1万9990円、レトロモダンプランが2万4990円、訪問着プランが2万8990円。

 申し込みは、読売旅行「着物de歌舞伎」ウェブページから。

円安を好機に、訪日観光消費5兆円へ 25年に向け新観光立国(観光庁長官会見)

2022年10月20日(木) 配信

観光庁の和田浩一長官(10月19日の会見で)

 観光庁の和田浩一長官は10月19日(水)に開いた会見で、総合経済対策での岸田文雄首相の指示を踏まえ、「訪日旅行消費額の年間5兆円超え」と、「宿泊施設のリノベーション支援」を重点に、2025年を目指した新たな「観光立国推進基本計画」策定の検討を行う考えを示した。和田長官は、「世界に向けて日本の観光が再始動したことをPRし、誘客の促進につなげ、インバウンドのV字回復を目指す」と意気込みを述べた。

 和田長官は、「世界的な旅行需要の回復が見込まれ、大阪・関西万博が開かれる2025年をターゲットに、新たな観光立国推進基本計画を策定するようにと岸田首相から指示があった。これまでの基本計画は生きているが、まずは『25年までにコロナ前へ戻す』ということを基本的な考え方としている」と述べた。

 一方で、「訪日観光消費額5兆円超の達成は速やかに実現できるようにとも岸田首相から指示をいただいているため、円安が続いている現状を好機とし、25年を待たず速やかに取り組んでいく」とした。

 今後、交通政策審議会の観光分科会において基本的な方向性や具体策を議論していくなかで、以前から課題となっていた消費額増加や、地方誘客を実現していくための方策も練っていく。コロナ禍において、旅行者の意識がよりサステイナブルを重視する考えに変わってきていることにも触れ、「持続可能な需要が高まっていることを踏まえたうえで、施策や対応などを議論する」考え。

 

全国旅行支援の予算枠「予算の有効活用を」

 全国を対象とした旅行支援事業(全国旅行支援)が10月11日(火)から東京都を除く各県で始まり、20日(木)からは東京都も事業に参加した。

 一方、事業開始に伴い、早々に予算枠を消化して予約停止した旅行事業者が散見したほか、新規の宿泊予約や既存の予約に同支援を適用するための変更が各旅行予約サイトへ殺到した影響で、国内の約5100施設が利用する予約・販売管理システム「TL―リンカーン」でシステム障害が発生するなどした。

 観光庁では、同事業の制度を、国が制度骨格を一律に定めたうえで、地域の需要動向や感染状況に応じて県が柔軟に対応できるよう事業主体は県に任せる仕組みであると説明。旅行者の利便を確保するために、事業者ごとに販売する期間に大きな差が生じないように「販売実績などに応じて県から関係事業者への予算配分を随時見直すなど、全都道府県に周知している」とした。

 和田長官は、「旅行事業者が各都道府県と個別に連絡を取らずとも、一括して申請などを処理することができるように、国としても統一的な事務処理が可能な体制づくりを支援し円滑な運用がはかられるよう取り組んでいる。観光庁としても、都道府県と連携しながら旅行者や事業者が円滑に旅行支援を利用できるように力を尽くす」と説明した。

 事業の予算については、Go Toトラベル事業予算の5600億円を各都道府県に配分し、これに加えて各県が持つ地域観光事業支援(県民割事業)予算の残額が原資となっている。各県は過去の宿泊実績に基づいて宿泊施設・旅行会社・旅行予約サイトに予算枠として配分している。

 観光庁は、「既に予算枠を消費した予約サイトや旅行会社があることは承知しているが、県の予算すべてを消化したとは考えにくい」と見ており、県によっては予算を複数回に分けて配分する方針を取っていると報告。「配分した予算を有効に活用していただき、旅行者の皆さんに円滑に旅行してもらえるように都道府県と連携し、状況を共有しながら、適切に対応していく」考え。

 和田長官は、「地元の旅行事業者や宿泊施設にはまだ予算枠が残っている場合がある。旅行者には幅広いアプローチを掛けていただき、安心安全な旅行を楽しんでいただきたい」と呼び掛けた。

 また、事業の延長や予算の追加配分については、旅行需要の動向や感染状況を注視し、検討していく考え。

 

水際緩和後の動向 アウトバウンドにも注視

 観光庁は、訪日客に対して場面に応じた感染対策を行うように呼び掛けており、今後、日本政府観光局(JNTO)や観光関連団体と連携して周知していく方針だ。

 また、水際対策の大幅な緩和が行われて以降、現時点では観光庁に対して入国時や受入地域などにおいてトラブルが発生したとの情報は届いていない。同庁では、引き続き訪日客受け入れにかかる関係者と連携を密にしながら受入環境の整備に取り組む。

 また、9月の出国日本人数は31万9200人となり、8月の38万6412人から減少した。燃油費の高騰や円安が影響を及ぼしたと見ている一方で、「水際対策が緩和されたことが10月以降どう作用していくかを注視する」考えを示した。

インバウンドガイド協会、新代表理事に吉川氏 ガイド人材の育成を推進 ”弘前でガイド講座開催”

2022年10月19日(水)配信

新代表理事の吉川健一氏

 インバウンドガイド協会(久保成人会長、東京都千代田区)は10月19日(水)、新たな代表理事に吉川健一氏(BRICK’s社長)、専務理事に堀口謙二郎氏(旅行綜研取締役)の就任を発表した。あわせて、新たに「ガイド育成プログラム」を開発。同プログラムを通じて、地域でのガイド人材育成を推進し、地域観光の担い手となるガイドの育成に一層力を入れる。

 新代表理事の吉川氏は「アフターコロナにおけるインバウンド旅行市場の回復で需要の高まるこのタイミングこそ、ガイド人材のベーススキルを上げることが必要」。新たに開発したガイド育成プログラムを通じて、「全国の自治体や観光協会、DMOなど、関係各所の皆様一緒にガイド人材の育成を進めていく」とコメントを出した。

 ガイド育成プログラムは、同協会が策定するガイドに求められる素養と行動基準を定義した「ガイドスキルマップ」準拠の20種類以上の研修モジュールから構成。同協会副会長で全国通訳案内士のランデル洋子氏監修のもと、開発した。研修モジュールを組み合わせてガイド初心者から上級ガイドまで、領域別・レベル別にカリキュラムを組み立て可能。プログラムを通じて、ガイドに求められる要素を網羅的かつ体系的に習得できる。

育成プログラムを基に、弘前でガイド講座開催

旧東奥義塾外人教師館を見学(弘前市観光課提供)

 インバウンドガイド協会はガイド育成プログラムを基に、地域の課題やニーズに合わせた講座カリキュラムや提供サービスを提案している。10~11月までの1カ月は、青森県弘前市の弘前観光コンベンション協会と共同で「プライベートガイド講座in弘前市」を開き、全6回の講義とフィールドワークを行っている。

 弘前市は「さくらまつり」や「ねぷたまつり」などの催しから、城郭・近代建築といった文化財などのさまざまな観光資源を有し、以前からその案内としてボランティアガイドの養成講座を行ってきた。今回、さらなる来訪者の増加、満足度向上に向けて有償ガイドの育成に取り組み始めた。

 全6回のうち第3回目をこのほど終えて、弘前市観光部観光課の村山佳光参事はボランティアガイドの講座と比べて「多様な参加者が集まり、若年層の参加が多かった」と振り返る。ボランティアガイド経験がある年配者をはじめ、一般の人や学生、副業が認められた金融系など幅広い層の参加者が集まったという。フィールドワークでは実際に市内の観光名所を巡り、講義で学んだガイド業務の流れと基礎スキルを基に、参加者同士で観光案内の練習を行った。

弘前ねぷたを見学(弘前市観光課提供)

 村山参事は、弘前市が抱える観光の課題について「催しや文化財、入込客数も多いが、通過型観光で宿泊が伴っていない。(高付加価値な観光サービスを提供する)有償ガイドが付くことで、宿泊や連泊を促したい」と意気込んだ。一方、ボランティアガイドは、催し会場などを1、2時間で案内するスポット的な起用として住み分けることで、両者が共存できる環境を整えたい考えだ。