ガイド業務を支援、特化サイト「ガイドナビ」とアプリ公開

2022年9月20日(火)配信

ガイドに特化した情報メディア「ガイドナビ」

 インバウンドガイド協会(久保成人会長)は9月20日(火)、協会事務局のotomo(平塚雄輝代表)と共同で、ガイドに特化した情報メディア「ガイドナビ」をリリースした。あわせて、有料サービスを提供するスマートフォンアプリ「ガイドナビプレミアム」も開始。今後はガイドナビを通じて、すべてのガイドに役立つ情報を広く発信し、各地域で活動するガイドの支援をはかる。

 「ガイドナビ」では、ツアーの事前準備やスキルアップに役立つ情報メディアとして、さまざまな情報を6つのカテゴリーに分類して発信する。

 ガイド関連の業界ニュースを解説する「ニュース」、国内各地の研修やセミナーの紹介を「イベント」、案内に役立つ歴史や社会文化などの知識を「ナレッジ」で解説。スキルアップに役立つワンポイントアドバイスを「テクニック」、さまざまなガイドの体験や経験などを「エピソード」、旅行者の案内に役立つ地域のポイントを「エリア・プラン」で紹介する。

 「エピソード」では、全国通訳案内士で通訳ガイド&コミュニケーション・スキル研究会理事長のランデル洋子氏がコラムを連載。月1回の年12回掲載を予定している。

有料のスマホアプリ、「ガイドナビプレミアム」

有料サービス「ガイドナビプレミアム」

 「ガイドナビプレミアム」では、ガイドの業務に役立つ各種機能を提供し、デジタルツールの活用によりガイド業務の効率化、負荷の軽減を支援する機能を提供する。ガイド活動を発信するウェブサイトや名刺の制作、ツアー管理の機能のほか、全国のガイドナビ会員と質問や情報交換が行える「ガイドの知恵袋」機能などを備えている。

 加えて、トラブルに備えたガイド向け保険も付帯している。インバウンドガイド協会の会員企業である東京海上日動火災保険と共同で開発し、ガイドに必要な保険を総合的に提供。業務中の交通傷害や第三者賠償だけでなく、熱中症や新型コロナウイルス感染症(特定感染症)への補償にも対応している。

 これらサービスを1つのアプリにまとめ、月額880円で提供する。

 コロナ禍で全国のガイドが活動の機会を2年間以上失い、転職や廃業を余儀なくされるガイドが多く見られてきた。同協会は「ガイドが地域観光の重要な担い手であり、今後の旅行市場回復でガイドに対するニーズがより一層高まることが期待される」見方を示した。

天龍峡ナイトミュージアム実行委員会、イベント開催へクラファン実施中(10月末まで) 新たな調達方法で持続開催へ

2022年9月20日(火) 配信

プロジェクトのイメージ

 天龍峡ナイトミュージアム実行委員会(長野県)は10月31日(月)午後11時まで、ライトアップイベント「天龍峡ナイトミュージアム2023」の開催資金を調達するクラウドファンディングを行っている。2020~21年度は観光庁の補助金で資金を賄っていたが、新たな調達方法を確立させることで、持続的に開催したい考え。

  目標金額は620万円。運営費、機材費に充てられる。達成の有無に関わらず実行者が支援金を受け取れることができるAll in 方式で集める。支援金額は3000円~100万円までの25コースを用意。金額に応じて、天龍峡産りんごや、イベントのライト点灯ボタンを押す権利、渓谷に佇む隠れ宿峡泉のペア宿泊券などを返礼品として贈る。

 イベントは12月23日(金)~23年1月22日(日)、天龍峡第二公園で実施する。入場料は1日券が400円、 シーズン券は1000円。

8月の宿泊業倒産は8件 旅行業は4カ月ぶり倒産なし(東京商工リサーチ)

2022年9月20日(火) 配信

東京商工リサーチはこのほど、2022年8月の宿泊業倒産状況を発表した

 東京商工リサーチがこのほど発表した2022年8月の宿泊業倒産は8件(前年同月は14件)だった。5カ月ぶりに前年を下回り、22年1~8月の累計は59件。新型コロナが感染拡大した当初の20年同期は83件、21年同期は63件と、徐々に減少傾向にある。

 8月の新型コロナ関連倒産は5件となり、倒産全体の6割を占めた。

 負債総額は41億5000万円(前年同月比44・8%減)と3カ月ぶりに前年同月を下回った。

 地区別では北陸の3件が最多となり、近畿が2件、関東と中部、中国が各1件と続いた。

 おもな倒産事例では、温泉旅館経営の辻のや(石川県小松市)と、関連の粟津観光金閣が8月16日(火)、金沢地裁小松支部から破産開始決定を受けた。負債は、辻のやが5億3421万円、粟津観光金閣が6億7607万円で、2社合計12億1028万円。

 1956年10月創業の辻のやは、温泉旅館「辻のや花乃庄」を経営し、バブル期には15億円を超える売上高だった。

 しかし、その後は景気の悪化や競争激化から利用客は減少し、2018年4月期には売上高約5億円まで落ち込んでいた。20年以降は新型コロナの影響で予約キャンセルが相次ぎ、6月末にはパート含む約50人の従業員を解雇していた。

 粟津観光金閣は、辻のや花乃庄の姉妹館として「露天のゆ金閣」を経営し、17年9月期には売上高約2億4000万円を計上していたが、18年以降は休館していた。

 今年8月の旅行業倒産は、4カ月ぶりに発生しなかった。8月として倒産が発生しなかったのは、06年以来16年ぶりとなる。

 同社は、「各支援策によって企業倒産は抑制されているものの、8月は観光客を対象に営業していたバスやタクシー事業者の倒産が東京や北海道などで発生した」と認識。9月7日(水)から訪日客の入国制限が緩和されたことを受け、「インバウンドの増加が期待される。しかし、各国による水際対策にはばらつきがあり、引き続き海外旅行の需要回復には時間を要しそうだ」との考えを示した。

「提言!これからの日本観光」 “観光”の平準化(日常化)

2022年9月19日(月) 配信

 コロナ禍のために急減していた「観光」もようやく復活の動きが出てきた。コロナ禍直前には外国人客の急増もあって京都、鎌倉など代表的観光都市では「観光客による市内交通機関の異常混雑」で市民の日常生活にも支障が生じる「観光公害」が発生したことは記憶に新しい。

 「観光」の復興は急務であるが何としても観光公害の再発は避けたいというのが観光関係者の願いでもある。実態を体験して痛感したことは、この防止は「観光」のパターンを根本的に変えない限りほとんど不可能に近いのではないかということであった。

 それは「観光」はその性格上時期的(季節別、曜日別にも)波動が大きい行動で、前記の観光地の市内観光スポットへの来訪客は春秋の週末と夏冬の閑散期の平日では、数倍から多いところでは数十倍の差が生じていたからである。市内バスと電車の輸送力(ダイヤや車両など)の増強をはかるとしてもこのような大きいピークの需要に対応できるような増強は実際には不可能と考えざるを得ない。

 なぜならば鉄(軌)道もバスもピークを充たすための増強をすれば、年間を通じ、かなりの期間逆に余剰遊休施設と車両、要員を抱えることとなり、企業経営からみて実現は困難と考えざるを得ない。

 従って、混雑期の休日は、輸送力不足となり前述の「公害」ともいうべき現象を生じ、「観光」の盛行と共に混雑は逆に深刻化していくと考えられるからである。

 今後「観光」復活に当たり公害現象を生じないようにするためには、観光客と観光を受け入れる観光地などすべての観光関係者が、国・自治体などの指導のもとに総合的かつ全力を挙げた混雑緩和施策の樹立と、その展開に向かって共同共励を進めるほかないと考えられる。

 それは「観光」の平準化(ピーク・オフピークをなくし年間万遍なく送集客する)である。受入側では極力閑散期への観光需要に振り向けるべく、観光イベントなどの閑散期開催と観光対象の公開時期を閑散期中心に進め、また閑散期ならではの観光資源の開発と観光魅力の再発見への提案などの情報発信に努める。観光客側でも、これらを受けて極力混雑の少ない時期に高い観光効果を求めた「観光」を志向することなど需給両面で観光の(年間)“平準化”を考えたいものと思う。

 そのために観光客の購入する(観光経済効果の源泉でもある)諸種のサービス料金(宿泊・飲食などの観光施設料金)と、交通運賃は季節変動制を積極的に導入(閑散期の割引繁忙期の割増し)するなど観光市場政策も採り入れこの面からの「観光」の年間(季節・曜日を含む)平準化もはかりたい。

 復活の兆しが見え始めた現在、今後の完全復興さらに発展に備えて、このような総合施策の確立と関係者の連携共働による適切な受入体制の構築と実行を急ぐべきと考えている。

 

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(140)善のスパイラルを能動的に創ろう 一言、そしてもう一歩

2022年9月18日(日) 配信

 

 「事故なくご返却いただき、本当にありがとうございます」。北海道のレンタカー会社で返却時に掛けられた言葉に、4日間の長距離・長時間移動の疲れが吹き飛びました。

 北海道は広く、道はまっすぐで、走行する車も速度オーバーになりやすく、レンタカー事故も多いと聞きます。だから、とくに慎重な運転が求められます。そのため、非常に疲れを感じながらの返却だったのです。ただ、その言葉で迎えられたとき、ホッとしてうれしい気分になりました。

 さらに、あるホテルでは、チェックインのときにフロントスタッフから「素敵なシャツですね」と、声を掛けてくれました。旅行のために買ったシャツだったので、思わず笑顔になりました。スタッフの一言で、お客様との関係性を素敵なものにできます。その瞬間の接客としても、素晴らしさを感じます。

 ただ、この出逢いを次のステージに引き上げるためには、さらにどのような行動が必要なのでしょうか。

 先日、いくつかのレストランのサービススタッフが集まる特別な食事会に参加しました。それぞれのレストランで活躍する一流のスタッフたちです。そのなかに、数日後に伺う予約をしていたレストランのスタッフが、偶然にも参加していたのです。

 そのことを伝えると、名刺を持って私のテーブルまであいさつに来てくれました。「〇日に予約を入れています。当日が楽しみです」と伝えると、その数日後にメールが入りました。

 「予約を確認いたしました」、「ご来店を楽しみにしております」というメッセージと、「何かお手伝いできることがあれば、遠慮なくお申し付けください」とありました。初めて行くレストランですが、既に知り合いがいると楽しみも倍増します。わくわくした気持ちで、当日を迎えることができたのです。

 レストランに到着したときには、スタッフの笑顔に「ここで良かった」という気持ちを感じさせたのです。食事中のスタッフとの会話も弾み、楽しい時間を過ごすことができました。

 食事が終わるころには、もう次の機会を思い描いていたのです。これが「善のスパイラル」です。このスパイラルを能動的に起こすことが、リピーターづくりのビジネスです。

 お客様へのプラスの一言は、とても大切なおもてなしです。しかし、それだけで終わらせるのではなく、もう一歩踏み込んで、お客様との関係性を築く行動を積極的に取ってみましょう。

 ただ会話をするだけなく、次の出逢いのときには名前を呼んでもらえるように名刺を渡すのも大切な行動です。そこに、目指す「創客ビジネス」が生まれるのです。

津田令子の「味のある街」「峯松ソース」――磯の宿 峯松(静岡県沼津市)

2022年9月17日(土) 配信

磯の宿 峯松の「峯松ソース」498円(+税)▽静岡県沼津市戸田376-17▽☎0558(94)3694。

 静岡県伊豆半島の西側のつけ根にあたり、沼津市の南部にある「戸田」という小さな港町をご存知だろうか。

 
 戸田は、絶景やグルメに温泉、そしてパワースポットまである伊豆の穴場的観光地だ。伊豆箱根鉄道の「修善寺駅」から新東海バス戸田行きに乗って約50分。車の場合は東名高速道路沼津ICから70分ほど。

 
 戸田の海まで0分という好立地に建つ、「眺めのいい宿」峯松。店主自慢の料理と蒼い海、さらには釣りを楽しむ方々など多くの常連客がやってくる。漁師さんが獲った新鮮なお魚を網から外し、それを仕入れるという「漁師直仕入れ」を行っている自慢の料理は、その日ごとに仕入れた素材で決まる。峯松の生簀はいつも“小さな駿河湾”だ。タカアシガニや伊勢エビ、サザエなどが泳いでいる。目の前には戸田湾が広がっている。

 
 部屋からの眺めはオーシャンビュー。海のある日常が展開されている。外に出ると底が見えるほど綺麗な海に感動する。

 
 戸田港内は、人気の釣り場にもなっていて、1年中にぎわいを見せている。宿の自慢は、新鮮な魚料理のほかにもある。

 
 今回ご紹介するのは、磯の宿・峯松の独自製法で仕上げたオリジナルソース「峯松ソース」だ。沼津商工会議所の沼津ブランド認定品でもある。

 
 原材料はトマトケチャップ、野菜、果実(リンゴ、トマト、セロリその他)、糖類(砂糖、ぶどう糖果糖液糖)、醸造酢、コンスターチ、たん白加水分解物、食塩、香辛料、増粘剤(加工でんぷん)、カラメル色素(原材料の一部に大豆を含む)と明記されている。

 

 高さ16㌢、内容量300㍉㍑とちょうどよい大きさで、我が家では決して欠かすことがない。とんかつとの相性は抜群。野菜炒めに、生野菜に目玉焼き、お好み焼きにソース焼きそば、カツサンドと、何にでも合ってしまう魔法のソース。「一家に1ソース」だ。

 
 「近いうちにネットで買えるようになりますよ」とご主人。今回もファックスで注文させていただいた。明後日には届くはずだが待ち遠しい。道の駅くるら戸田でも購入できる。

(トラベルキャスター)

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

「街のデッサン(257)」 ミドルタウンツーリズムの発見、先取りする観光コンセプトへの直感

2022年9月17日(土) 配信

中堅都市観光モデル・小田原

 観光産業には多方面からの逆風が吹いて、なかなか復調のきっかけを掴めないでいる。手をこまねいているうちに、日本は「観光立国」どころか「観光消国」になりかねない。

 この夏の初めに小田原市で産業観光のフォーラムがあり、街を案内されてシンポジウムに参加しているうちに、この地方中堅都市の豊かで多層的な地域資源の活用を新しい切り口で考えられないかと思い当たった。私は基調講演を頼まれていたが、そこで提案したコンセプトが「ミドルタウンツーリズム」であった。「ミドルタウンツーリズム」とは一体何であろうか。

 都市の類型として「グレートシティ(大都市)」と「スモールタウン=ヴィレッジ」があって、近年フランスなどではこの小さな町や村の観光が盛んだ。無論、パリ、ニューヨーク、東京などの大都市が観光のメインになっているが、見落としてはならないのが「ミドルタウン=中堅都市」という視点である。

 アメリカでは、「ミドルタウン」がその都市や町の正式名称になっているところが各地に複数存在するから、中堅都市を巡るだけでもツアーが成り立つと洞察する。何故成り立つかは、それらの地域が大都市や小さな町にはない人々の心の琴線に触れる風土を創り出しているからである。

 1920年代、アメリカで共に社会学者であるリンド夫妻がインディアナ州のマンシーという中堅都市を調査した報告書が注目された。夫妻はこの4万人弱の都市に自ら住み着き、参与的行為調査の手法で数値上だけでなく実態、実感的な研究を進めた。20年代のアメリカは産業近代化で大量生産、大量販売という商品流通の拡大が進み、フォードによるオートメ化で自動車の廉価化が実現し、移動の自由が郊外化文明を生み出した。これらの社会現象として、ヨーロッパ各国の労働者の階級抑圧に代わる豊かな市民コミュニティを生み出した。20年代後半、マンシーも大恐慌に襲われるが、彼ら市民は必死に働くことで生活と風土を保持した。アメリカのミドルタウンの多くは古き良きアメリカの面影を残している。

 実は私は小田原の街に、アメリカとシナジーな都市コミュニティと風土の豊かさを実感した。私たちはAIやスマホ、メタバースに少々食傷気味ではないか。クオリア不在の仮想空間体験ではなく、日常につながっている身の丈と、体温の温もりを忘れていない観光(これを小田原では〈なりわい〉と総称している)が、「ミドルタウンツーリズム」の発現の必然性を後押しているのではないか。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

 

HIS、海旅機運醸成へ CMと大応援セール展開

2022年9月16日(金) 配信

CMの一部

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)は9月13日(火)、新CM「ハッピーをさがしに、いくぞ、セカイへ! HISリベンジ旅」編の放映を始め、9月14日(水)から海外旅行需要を喚起する「リベンジ旅大応援セール」を展開している。コロナ禍で多くの消費者が自由な旅を諦めていた状況を鑑み「HISのリベンジ旅」をキーメッセージに掲げ、海外旅行の機運醸成をはかる。 

 CMは心にあった行きたいという気持ちを再燃させるという。さらに、友達を誘い週末、気軽に出掛ける旅や、バックパックを背負って外国を巡る旅行など不自由なく行くことができたコロナ禍前を思い起こす内容に仕上げた。9月24日(土)まで、関東と関西、九州、北海道、東北で放映される。
 
 セールは10月31日(月)まで実施する。 成田発着で韓国・明洞周辺のスタンダードクラスホテルに3日間滞在する商品は2万9800円。ハワイのハイアット・リージェンシー・ワイキキ ビーチリゾート&スパに5日間泊まり、成田を発着するツアーは18万9000円。関西空港発着で、ベトナムホーチミン市に4日訪れる商品は4万9800円。いずれも諸税別で燃油サーチャージは含まれている。

温泉+森林浴でリフレッシュ(宮城県・作並温泉)

2022年9月16日(金) 配信

作並二ツ岩

 宮城県の作並温泉は、仙台市街地から車で40分程度と利便性も高いところです。その歴史は721(養老5)年に奈良時代の高僧・行基が発見したと言われています。史実としての開湯は1796(寛政8)年です。

 旅館組合では近くのニッカウヰスキー宮城峡蒸留所の視察に訪れたフランス飲料関係者から、ジョギングで自然に触れ合いたい、というリクエストにこたえエスコートを行ったのをきっかけに、9年前からトレイルランニングなどスポーツを通じて自然に触れる仕掛けを展開していました。

 そうしたなか、スポーツ愛好者だけでなく、一般の方にも自然と触れ合える場を提供しようと昨年整備したのが二ツ岩散策路です。この場所は国有林内のため、仙台市が借り受ける形で、組合が中心となって階段や手すりを整備しました。散策路付近は良質な水道水を提供する水源の1つでもあり、その点がネックになり悩みましたが、訪れる人に温泉+森林浴も体験してもらい、心と体をリフレッシュしてもらおうと決断しました。

 二ツ岩散策路は片道300㍍弱という短かさながら、入口の湯神神社は縁結びの神様、散策路終点の二ツ岩は「夫婦岩」とも呼ばれるなどカップルやご夫婦にぴったりです。無料ガイドが同行しますので、安心して作並の自然を満喫していただけます。これからの季節は鮮やかな紅葉が楽しめます。

【作並温泉旅館組合長 岩松廣行】

三渓園内の重要文化財臨春閣 9月15日から内部を特別に公開

2022年9月16日(金) 配信

臨春閣

 三渓園(神奈川県横浜市)にある重要文化財臨春閣の内部が9月15日から、特別に公開される。

 5年にわたる保存修理事業の完了と、三渓園完成100周年を記念した企画。見学通路から狩野派の絵師による障壁画や和歌の色紙がはめ込まれた欄間など、さまざまな工夫が施された内部の意匠と、日本庭園の景観を楽しめる。

3屋から見た日本庭園

 公開は25日まで。次回の公開は未定で、今回は貴重な機会となるという。

 臨春閣は、江戸時代初期に建てられた紀州徳川家の別荘とされる建物で、三渓園が「東の桂離宮」と呼ばれるのはこの臨春閣の存在にちなんでいる。三渓園には1917年に移築され、その際三渓によって玄関棟部分の新築や3つの棟の配置の変更が行われた。

室内

 今回の保存修復工事では桧皮葺屋根と杮葺屋根の補修を実施するとともに、建物の耐震補強工事を行った。臨春閣の大規模修理は約30年ぶり。

 耐震補強工事では見た目を大きく変更することなく耐震補強を行うこと前提とし、従来の材料を残し、新たに追加した建材も違和感なく建物に溶け込むよう工夫を施した。またこの補強工事の過程で、戦災によって一切残されていないとされていた戦前の玄関棟の床が見つかった。同遺構も今回の特別公開で併せて公開される。

 保存修理を担当した三渓園保勝会事業課の原未織氏は、「臨春閣は今に残されている内部の美しい彩色と建物から見た景色、三渓さんの創意工夫とが絡み合った、今に受け継がれている素晴らしい遺産」と魅力を語った。

 三渓園は実業家原三渓(富太郎)が造り上げた庭園で、1906年に一般公開された外苑と、三渓が私庭としていた内苑で構成される。

 園内には国の重要文化財建造物10棟、横浜市指定有形文化財建造物3棟を含め17の棟があり、庭園全域も国の名勝に指定されている。また園内、三渓記念館では、三渓ゆかりの資料や美術品などを、約1か月ごとに展示替えを行いながら紹介している。