2022年8月9日(火) 配信
櫻田あすか副会長
サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合、後藤常康会長)が6月19日(日)までに集計した2022年春闘のまとめによると、58組合の夏季一時金の平均月数は、前年同期比0・49カ月増の1・15カ月だった。昨年より需要の回復が見込まれることや、低賃金による人材流出の危機感から多くの会社が増額した。
7月29日(金)に開いた会見で、櫻田あすか副会長は「一定の成果を残せたことは、今後の大きな足が掛かりになる」と評価。コロナ禍前と比較して、総所得は減少しているため、「改善に向けて交渉を続ける」と語った。
58組合のうち、ホテル・レジャー業は同0・28カ月増の0・86カ月で、合意組合数は21年と同数の25組合。ツーリズム業は同0・85カ月増の1・00カ月。話し合いが終了した組合数は昨年の20組合から25組合と増えた。航空貨物は同0・24カ月増の2・52カ月となった。7組合がまとまった21年から8組合に増加した。
年間一時金の平均月数は同0・41カ月増の3・51カ月。ホテル・レジャーは同0・47カ月減の1・36カ月。ツーリズムは全組合で交渉がまとまらなかった。長期的な先行きが見通せないことが主な要因。
□ 「産業復活に人へ投資を」 経済回復から時短も要望へ
同日に発表した22年秋闘と23年春闘の方針では引き続き、「35歳550万年収の実現」を求める。櫻田副会長は「観光の魅力はコロナ禍で損なわれてない。産業の復活には人への投資が不可欠。今後も足を止めずに、交渉したい」と話した。
一方、コロナ禍での人々の行動の変化など先行きが不透明なことから、「本格的な回復までには時間が掛かる」との見通しを示した。このため、雇用調整助成金の延長などの要望を続け、雇用の維持もはかっていく。
サービス連合は7月に、年間総実労働時間1800時間の実現に向けた「時短アクションプラン」の第4期を終了したことから、第5期(22年8月~27年7月)を策定した。コロナ禍前の19年度が2010時間13分。20年度は1920時間55分だった。このうち休業が410時間45分で、目標の1800時間を下回った。
今後、業界の人材不足と経済の回復から、労働時間の増加が予想されるとして、第5期では、残業時間を1カ月当たり45時間以内とするほか、年次有給休暇を1人当たり15日以上確保するなどして、労働時間の減少に努める。