オートキャンプ白書2022、参加人口23%増の750万人 キャンプ場建設の参入相次ぐ

2022年8月4日(木)配信

オートキャンプ参加人口の推移(推定値)

 日本オートキャンプ協会(明瀬一裕会長)が7月21日(木)に発表した「オートキャンプ白書2022」によると、21年のオートキャンプ参加人口は前年比23%増の750万人だった。キャンプ場の営業がコロナ禍前に近づいたうえ、前年に引き続き、さまざまなメディアに取り上げられ、さらに注目を集めた。ビジネスとしても注目され、異業種からのキャンプビジネス、とくにキャンプ場建設への参入が相次いだ。

明瀬一裕会長

 明瀬会長は冒頭、コロナ禍により個人の外出が厳しく制限された一方で却ってアウトドアに対するニーズを喚起し、さまざまな媒体でオートキャンプが取り上げられるようになったと振り返る。続けて、オートキャンプは「公共交通機関を使わず自家用車で移動し、キャンプ場では広い屋外の空間で個人や家族単位で楽しめる非常に3密状態になりにくいレジャー。これまでオートキャンプに興味がなかった人も含め、オートキャンプに対する関心と参加意欲が高まり現在に至っている」と語った。

 一部でこの現状をオートキャンプブームと呼ばれていることに対して、明瀬会長は「それは必ずしも正しくはない」と指摘。コロナ禍により注目された側面もあると話しつつ、「オートキャンプ人口は毎年新規に参入する20~30万人の子育て世代の家族に支えられ、コロナ禍前の2019年まで7年連続の増加だった。これはオートキャンプが完全に国民の間に定着したと物語ることにほかならない。昨今のオートキャンプ人気もその延長線上に捉えられるべき」との考えを示した。

 「オートキャンプ人気の高まりの本質を的確に把握するためには詳細なデータに基づき、長期的・総合的な視点から見る必要がある。オートキャンプ白書がその一助になれば」と明瀬会長は締め括った。

夏中心から秋・冬に、キャンプ需要に変化

 21年の特徴として、キャンプが夏中心から秋・冬に移っていることや、利用が休日だけに限らなくなったことを挙げた。コロナ禍でもキャンプ熱は高まり、年間のキャンプの「回数」は平均4.9回で、20年が4.6回、19年は4.4回とコロナ禍前よりも増えた。同様に「泊数」は平均6.2泊で、20年が6.1泊、19年は5.8泊と上昇傾向にある。

 注目されている「ソロキャンプ」は平均13.1%で、20年が11.1%、19年は9.4%と引き続き伸長。「キャンプをした月」を見ると、気候が厳しい冬はこれまでキャンピングカーが多数派だったが、今回の調査結果では真冬でもテント派が上回る月があった。テントでたき火を楽しむという「秋・冬キャンプ」の人気ぶりが表れている。

 「キャンプの好きな過ごし方」を見ると、「川遊び・海水浴」といった夏の楽しみが22.6%となり、20年が24.6%、19年は27.7%と減少傾向にある。一方、秋・冬キャンプの楽しみ「たき火をする」は62.4%、20年が54.8%、19年は49.6%と伸びている。

 また、「平日にキャンプをする」との回答は45.3%、20年が41.5%、19年は25.9%と確実に増えている。

稼働率が大きく回復、過去最高の稼働率に

 20年はゴールデンウイーク(GW)の休業や、密を避けるためのサイト数制限、利用者の居住地の制限など、コロナ禍により大きなマイナスの影響を受けた。しかし、21年はGWの営業再開や、利用制限の緩和などでキャンプ場は大きく回復。キャンプ場の平均稼働率は、前年から4.1ポイント増の20.4%と過去最高の稼働率となった。

 キャンプ場から見たキャンパーの傾向は、「ソロキャンパーが増えた」が63.8%と最も多く、次点で「初心者が増えた」が48.0%、「平日利用が増えた」が37.0%と続く。「平日によく利用する人」では、「ソロキャンパー」が82.3%を占め、キャンパーの傾向と合わせると、平日のソロキャンパーの利用が稼働率に大きく影響したと見て取れる。

キャンプ用品は好調、ブランドが多様化へ

 21年の「テント」の輸入金額は、前年から46.7%増の190億3000万円となり、およそ1.5倍と大きく伸びた。このほか、「シェラフ」は同40.6%増の47億3840万円、「タープ」も同13.1%増の67億3000万円など、キャンプ用品の好調さが表れている。

 輸入量が増えるなか、メーカー間は新規ブランドの増加、店舗は全国チェーンのスポーツ用品店が各地でアウトドア専門店をオープンするなど競争が激しくなっている。アウトドアショップへのアンケートでも、売り上げが減った理由に「競争相手の増加」という回答が目立ったという。

 そのほか、キャンプに使用する車種は、33.9%の「ミニバン(ワンボックスカー含む)」が最も多かった。ソロキャンプをする人の車は、1位が「軽自動車」、2位は「オフロード型4WD・SUV」、3位が「コンパクトカー」。ソロキャンプがミニマムなキャンプを楽しむだけではなく、SUVを使って多くの荷物を積んでキャンプをするスタイルも少なくないとわかった。

一般公開していない成田空港のエリアをオープントップバスで巡る 9月からツアーを開始

2022年8月4日(木) 配信

一部エリアでは降車して写真撮影を楽しめる

 成田国際空港グループのグリーンポート・エージェンシーは9月から、一般公開していない成田空港のエリアをバスで巡る、「スカイバスで巡る成田空港周遊スペシャルバスツアー」をスタートする。

 オープントップバスで成田空港にある3つのターミナルエリアを巡る150分のツアー。一部エリアでは降車して写真撮影を楽しめるほか、貨物地区や整備地区の車窓見学も予定する。

空港内を走るオープントップバス

 今回のツアーは、5月に初開催したツアーが好評を博したことと、このツアーに参加できなかった人の声を受け企画。オープントップバスを使用することで、飛行機が離発着する瞬間を間近に感じられる。

 また、ツアーには、空港職員がターミナル周辺の航空機や車両の動きを専門に管理するランプセントラルタワー見学も組み込まれている。

 ツアー実施予定日は9月が23日(金)、24日(土)、25日(日)、10月が22日(土)、23日(日)、11月は19日(土)・20日(日)。時間は午前の部が9:00~11:30、午後の部が2:00~4:30で、9月25日(日)は午後の部を実施しない。

 9月実施分の募集を開始しており、10月実施分は9月1日(木)、11月実施分は10月3日(月)から受付を開始。料金は2席1人、1万5000円、2席2人で2万4000円(バス代、現地係員等諸経費、オリジナルグッズ含む)。募集人数は、各回34人(最少催行人数は各回25人)。

 なお、ツアーの参加にあたっては、「新型コロナウイルスワクチンを2回以上接種済で、2回目の接種から発日の前日までに14日以上が経過していること」、もしくは「出発日の3日前以降に採取した検体によるPCR検査または抗原定量検査の結果が陰性であること」のいずれかの内容証明と同社が定める感染防止対策への協力が必要になる。

文化庁、2016年認定の日本遺産19件の総括評価を発表

2022年8月4日(木) 配信

鎌倉(写真はイメージ)

 文化庁はこのほど、2016年認定の19件の日本遺産の総括評価を発表した。16件が認定継続となり、うち3件を他の地域のモデルとなる地域として「重点支援地域」に選定。3件は再審査となった。

 同庁は2021年、評価制度を創設し、観光客の入込数・滞在時間・消費金額(客単価)、人材育成などを評価し、基準に満たない場合に日本遺産認定を外すことなどを決定した。

 再審査となった「『いざ、鎌倉』~歴史と文化が描くモザイク画のまちへ~」(神奈川県鎌倉市)など3件は、共通して日本遺産の要であるストーリーを生かした取り組みが不十分であることなどから継続審査となった。再審査の結果は今年の秋以降に公表され、場合によっては日本遺産の認定を取り消されることになる。

 文化庁は同日、3件の申請があった2022年度の日本遺産「候補地域」に関し、「日本遺産審査・評価委員会」における審議の結果も公表した。

 「いずれの地域も個々の構成文化財は魅力的だが、1つのストーリーとしてそれ生かせていないので魅力が十分に伝わらない」ことや、「事業計画の具体性の記述に不十分な箇所があり、ビジョンの実現が難しい」ことなどから、今回の認定はすべて見送りとなった。

あさひロケーションサービス協議会設立、映画やドラマCMの撮影協力とロケ誘致を通じ、市の魅力と認知度向上などはかる

2022年8月4日(木) 配信

あさひロケーションサービス協議会 関係者

 千葉県旭市(米本弥一郎市長)や旭市商工会(平野陽一会長)らは7月25日(月)、あさひロケーションサービス協議会を設立した。

 同日市内で行われた初の総会で会長には平野氏を選出。同協議会は、映画やドラマCMなどの撮影に対する協力とロケ誘致を通じ、「市の魅力と認知度、イメージの向上」と、「市民の地域に対する誇りと愛着の醸成」をはかることを目標とする組織。

 会員には観光事業者や市民らが名を連ねる。協議会内に、ロケの誘致や製作の支援業務をきめ細かく行う部会「旭おっぺし隊」も立ち上げた。

 設立にあたり、同協議会顧問を務める米本市長は同協議会設立の狙いを、ロケ誘致を官民一体で一層強力に推進するためと説明した。そのうえで、「旭市内でのロケの誘致、映画、ドラマなどの撮影の協力を行うための人材育成、ロケを通じて効果的に旭市をプロモーションする方法などを学び、1つでも多くのロケの聖地を皆様と一緒に作り上げ、制作会社、視聴者どちらからも『ロケのまち 旭』と言われるような取り組みを行っていきたい」と力を込めた。

 一方、会長に選出された平野氏は「自分たちが努力することで旭市が発展し、さらに自分たちに帰ってくる。当然、一生懸命やればやるほどこの協議会の楽しさがわかってくると思います。メディアを通して『旭市を銚子のとなり』とは言わせないぞという意気込みでぜひ頑張っていただければ」と呼び掛けた。

デイユース旅館オープン 客室露天風呂付で御膳楽しむ(金乃竹)

2022年8月4日(木) 配信

デイユース旅館「箱根 金乃竹 茶寮」が8月4日(木)にオープンした

 旅館4店舗と飲食店2店舗を展開する金乃竹(窪澤圭社長、神奈川県・箱根町)は8月4日(木)、デイユースサービスを提供する「箱根 金乃竹 茶寮」をオープンした。マイクロツーリズムへ対応した「泊まれない旅館」として、客室露天風呂付きの部屋に6~10時間滞在し、黒毛和牛しゃぶしゃぶ御膳を楽しめるプランを売り出した。

 客室は、1階に客室露天風呂付きの和室が4室と、2階に和室4室の全8室。ベッドやトイレ、フリードリンクの冷蔵庫を備え付け、各種アメニティを用意した。

 最大10時間滞在のロングステイ、最大6時間滞在のショートステイプランに、昼食付き・夕食付きなど時間帯を選べる。

 料金は2万2000円~6万3800円(税込み)。営業時間は午前11時~午後9時。定休日は毎週火・水曜日。

 そのほか、同社は今年6月、日帰り旅行とデイユースに関するアンケート調査を行った。

 この結果、新型コロナの行動制限の緩和前と比べて36.8%が日帰り旅行への意欲が増し、「日帰り旅行で旅行支援施策を積極的に活用する」と答えた人が65%を超えたとして、「今後のデイユース市場の発展に期待を持てる」との考えを示した。

黒毛和牛しゃぶしゃぶ御膳

関案連 観光キャラバン実施中 近畿2府4県約200社を訪問

2022年8月4日(木) 配信

7月6日には出発式を実施

 石川県内の宿泊・観光施設の大阪営業所などで構成する関西石川県観光旅館・施設案内所連絡協議会(関案連、会長=西元丈人瑠璃光・葉渡莉大阪営業所所長)は7月6日から、関西圏の旅行会社を対象に、石川県の魅力を発信する観光キャラバンを実施している。

 石川県への誘客促進を目的に、毎年夏に行っているもの。今年は8月15日までの期間中に、近畿2府4県の旅行会社約200社を訪れる予定。訪問先では、観光パンフレットを配布して石川県の魅力をアピールするとともに、情報収集や動向調査なども行い、今後の会の事業活動に役立てる。

 7月6日には、「ほっと石川なにわ館」(大阪府大阪市)で出発式が開催され、会員らは4班に分かれて、それぞれの担当エリアに向けて出陣した。

 

 

城西国際大学観光学部・山本ゼミの学生 「チバピザ」メニュー開発へ 「地元食材で観光客を喜ばそう」

2022年8月4日(木) 配信

9月15日の予選会に参加した山本ゼミの学生たち

 城西国際大学(千葉県東金市)観光学部の山本ゼミは、「千葉県の美味しい食材で観光客を喜ばそう」と、学生たちが「チバピザ」メニューの開発と提案に取り組んでいる。

 

山本剛助教

 山本剛助教は「千葉県内の観光地の『旅ナカ食』は、海鮮丼や生魚など同じようなメニューで占められている」との現状認識のうえで、「固着しつつある観光客への食を学生がしっかりと考えて新たなメニュー提案をしたい」と、「~ビバ! チバ‼ ピザ!!! 観光客満足度向上プロジェクト」を立ち上げた。

 

 ピザに焦点を絞ったのは、さまざまな食材を盛り込むことが可能であり、火を通すことで、「子供や外国人旅行者などあらゆる層に楽しんでもらえる」ためだ。

 

 山本ゼミの3年生と4年生は3カ月前から、「“観光客が喜ぶ”千葉県産の食材探しとメニュー開発に向け、地元農家や漁師、食品加工会社などを奔走した。

 

 7月15日(金)には、県内のガス会社「大多喜ガス」ショールームBeE(千葉市緑区)で「チバピザメニュー開発予選会」を実施した。3年生を中心に2人組6チームが「おかずピザ」と「スイーツピザ」の2種類を作った。

ピザを調理中

 審査委員は、「海の駅 九十九里」課長代理の酒井浩市氏をはじめ、親子クッキングコンテスト全国大会で入選経験のある「大多喜ガス」経営企画部地域共創グループの石川章子氏、観光業界の専門紙「旬刊旅行新聞」編集長の増田剛氏、そして九十九里町のゆるキャラ「くくりん」が務めた。①味②コスパ③手間④レア度⑤チバ感――をそれぞれ5点、合計25点満点で採点した。

 

 千葉県産甘栗に鴨川レモンを添えたレシピや、千葉特産のびわとピーナッツぺーストを合わせた贅沢スイーツピザ、大原産タコを事前に銚子産醤油とニンニクで下味をつけ、タコの触感と鰹節の風味を感じさせるおかずピザなど、アイデアあふれる斬新な作品が学生たちの説明とともに提供された。審査員らは「このまま販売しても人気メニューになるのでは」などと高く評価。ハイレベルでの争いとなった。

自分たちが作ったレシピを説明

 とりわけ高得点だったメニューは、イワシをそのままの形で具材とし、アンチョビとオリーブを混ぜてペースト状にしたタプナードソースを使用した「イワシの親子ピザ」や、各審査員から「ビールと一緒に食べたい」と絶賛され、満点を獲得した「イカ一夜干しのおつまみピザ」。

 

 これら予選で高評価を得たメニューは、9月9(金)~11日(日)に「海の駅 九十九里」(九十九里町)で披露し販売も行う予定だ。

 

 山本助教は「産学協同研究がテーマの山本ゼミでは、さまざま企業とも連携しながら、観光を学ぶ学生の視点やアイデアで地域に光を当て、活性化に向けた提案を続けていきたい」と話す。

さぬき市副市長が来社 東讃エリアで連携 香川県東部2市1町

2022年8月3日(水) 配信

中村修副市長

 

 香川県さぬき市の中村修副市長が7月20日、本紙関西支社を訪れ、8月1日に同市と隣接する東かがわ市、三木町の2市1町と締結した観光振興に関する連携協定の概要などを紹介した。

 2市1町がある県東部の東讃エリアは、関西圏から高速道路が直通し、所要時間も約2時間30分程度の距離だが、県中央の高松市内エリアへの通過地になっているのが現状だ。実際、神戸淡路鳴門自動車道から見て最初のサービスエリア(SA)である「津田の松原SA」(さぬき市)は年間を通じて多くの人でにぎわうが、そのほとんどは高速道路を降りることなく通過していくという。

 中村副市長は連携協定締結の背景として、「地方経済はどんどん縮小し、さぬき市も例外ではない。観光客の方に半日でも1日でも来ていただいて、消費してもらうことが東讃エリア共通の課題だ」とする。

 連携協定に基づく最初の取り組みとして、「東讃エリア観光アンバサダー」を設置。「浪速のカリスマ添乗員」として知られる、日本旅行おもしろ旅企画ヒラタ屋代表の平田進也氏に委嘱した。

 8月1日には、さぬき市野外音楽広場「テアトロン」で締結式および委嘱式を実施。3自治体の長と平田氏によるトークセッションも行われた。

 会場のテアトロンは瀬戸内海の絶景を望む大串自然公園内にあり、古代ギリシアの円形劇場のような施設だ。歌手の小田和正さんらがコンサートを頻繁に開いている。

 ほかにも東讃エリアには観光資源が豊富だ。さぬき市には1988年創業の四国初のワイナリー「さぬきワイナリー」(さぬき市)のほか、四国八十八カ所霊場の第86―88番の「上がり三カ寺」、同市出身で江戸時代にさまざまな分野で活躍した平賀源内記念館などがある。

 東かがわ市は全国シェア9割を占める国産手袋産業や伝統の製法で作られる高級砂糖「和三盆」で知られる。三木町は東讃富士と呼ばれる白山や、メタセコイアが生い茂る「太古の森」など自然豊かな場所だ。

 中村副市長は「我われにとって当たり前と思っていることが観光資源になることがある。平田氏にはエリアを回ってもらい、新しい知見をいただきたい。そのうえで、東讃エリア全体が努力し誘客に結び付けていきたい」と力を込めた。

〈観光最前線〉桔梗信玄餅 極(きわみ)

2022年8月2日(火) 配信

桔梗信玄餅-極

 山梨県を代表する土産品の「桔梗信玄餅」の新商品が、山梨県内の一部店舗で昨年12月24日から発売された。

 桔梗信玄餅を発売した昭和43年に寄せられたお客様からの声をついに実現。餅を入れる容器を最中に変更して、フタもカップもそのまま食べられるようにした「桔梗信玄餅 極」だ。価格は1箱3個入り700円(税込)。

 発売開始された直後からSNSなどで一気に話題となった。製造販売する桔梗屋の甲府本館など県内数店舗だけで店頭販売されているが、毎日数量限定で、開店直後にすぐ売り切れてしまうため、入手困難な〝幻〟の商品という状況が続いていた。

 先日、山梨出張の際に運よく購入できた。餅ときなこに黒蜜をかけて最中を食べるとむせてしまい、案外と食べ方が難しいぞ。

【古沢 克昌】

宮﨑信雄氏(中之条町総合アドバイザー、中之条町観光協会 事務局長)に聞く メディアとの「橋渡し役」に 地元・中之条町に“恩返し”

2022年8月2日(火) 配信

宮﨑信雄氏

 今年4月、群馬県・中之条町(伊能正夫町長)の「総合アドバイザー」に宮﨑信雄氏が就任した。併せて中之条町観光協会の事務局長も務める。東京・銀座の群馬県アンテナショップ「ぐんまちゃん家」の所長などを歴任してきた宮﨑氏は、さまざまなメディアとのネットワークを重視し、ロケ誘致など宣伝効果を発揮してきた。伊能町長は「観光客誘致と交流人口の増大により中之条町の活性化を達成できる請負人は、この人しかない」と、宮﨑氏への期待は大きい。   【増田 剛】

        ◇

伊能正夫町長

 ――今年4月に中之条町総合アドバイザーに就任されました。宮﨑さんの目から見た課題などはありますか。

 
 「花と湯の町なかのじょう」をキャッチフレーズに掲げる中之条町は「観光で集客し、交流人口を増やす」ことを重点施策に据えていますが、その目的に向かっていく骨格づくりも、まだまだという段階です。

 
 季節ごとのお祭りやイベント、観光キャラバンなど年間スケジュールに沿って、前例踏襲してしまう傾向にあります。伊能町長からも「新しい発想や経験豊富なノウハウを中之条町の観光発展に向けて注入してほしい」と託されました。

 
 従来とは少し切り口を変えたアプローチや、自分が長年培ってきた、きめの細かなメディア対応などを徐々に生かしていきたいと思っています。

 
 ――中之条町観光協会の事務局長も務められています。

 
 会員である旅館や飲食店、商店などの「売上を伸ばす」努力をするのが、観光協会の使命だと認識しています。目新しい取り組みや、やる気のある会員を精一杯支援していくのが私の考え方です。会員の売上が伸びると町の税収も増え、観光協会の存在意義も高まっていきます。中之条町の知名度や関心度を上げることで、移住、定住にもつながっていくと長期的な視点も大切です。

 
 ――宣伝活動で大事なことは。

 
 「ポイントのぼやけた宣伝はしない」が鉄則です。例えば、町内には四万温泉や、沢渡温泉、六合温泉郷など、規模や個性のまったく異なる魅力的な温泉地がありますが、1つのポスターに並列でアピールしてもインパクトも、訴える力もありません。

 
 観光協会としてしっかりと考えなければならないことは、「それぞれの個性がキラキラと輝く」宣伝の仕方です。

 
 中之条町には季節ごとに多種多様な花と触れ合える施設「中之条ガーデンズ」や、イベントでは国際現代芸術祭「中之条ビエンナーレ」などがあります。「いかに宿泊に結び付けていくか」と民間企業のセンスで、経済波及効果との関連性を持った宣伝方法を探っていくことも大切です。

 
 メディアには明確なターゲットや意図を絞ってアピールしなければ取り上げてもらえないし、消費者にも訴えかけることはできません。

 
 平等に門戸を開いていますので、会員には「観光協会をフルに利用してほしい」と思っています。東京で長年築いてきた財産であるメディアとのネットワークを活用し“セールスマン”として売り込んでいきます。

 
 長年の経験から、マスコミが望むものもわかります。テレビ番組の制作担当者が現地に求めるガイドの用意や、撮影許可などを先回りして用意する“かゆいところに手が届く”手配も可能です。

 
 電話でのやり取りの途中で制作担当者に「プロの方ですか?」と毎度驚かれますが、「いえ、ズブの素人です」と答えています。

 
 ――“歩くDMO”と呼ばれた男の真骨頂ですね。

 
 新聞や雑誌など掲載による費用対効果も見据え、メディアに対する投資も必要です。観光地が伸びるためにはメディアとの人脈づくり、付き合い方はとても大事です。

 
 取材しやすい環境づくりや気配りによって、相互理解や信頼関係が生まれます。地道ですが、“人間の力”がものを言う世界です。取材される旅館や飲食店、商店とメディアとの「橋渡し役」として、積極的に発信していくつもりです。

 

人気観光スポット「奥四万湖」のほとりで

 
 ――組織のあり方はどうですか。

 
 会員が納得する組織であるべきだと思います。会長、副会長、理事の意見をしっかりと聞きながら、事業計画のなかで必要なものと不要なものを精査する。会員と一緒に考え、具体的な手法を明確にして行動する観光協会を目指します。

 
 時代のニーズに合わせてIT化への対応も加速していきたいですね。

 
 ――観光業では、人手不足なども課題です。

 
 観光産業が発展すれば、就労者が増え、人口増にもつながっていきます。衰退せず活性化させるサイクルも考えています。

 
 まず取り組みたいのは、町内の保育園・小学校・中学校の母親など保護者を対象に、就労についてのアンケートを実施し、例えば、Aさんは「子供が学校に行っている午前10時~午後3時まで働くことができる」などの希望をリスト化して登録します。

 
 一方、旅館やカフェ、商店にも人手が欲しい曜日や時間帯を聞き、マッチングさせる仕組みを作りたいと思っています。

 
 旅館や食堂の人手が足りない時間帯と合致すれば、雇用側も常態的な人手不足が解消します。働く人も1日や半日拘束されるのは難しいけど、「2時間なら働きたい」というニーズはたくさんあると思っています。

 
 民間企業だと手数料が発生しますが、観光協会がコントロールすれば無料でできます。町や教育委員会も巻き込んでいきたいと考えています。

 
 観光宣伝とは違い、会員への側面からの支援となりますが、労働力や雇用の確保といった基盤が安定していなければ、観光誘客をしても満足度は高まらず、発展にもつながりません。ぜひ実現させたいと思っています。

 
 人生の集大成として、四万温泉に生まれ、育てていただいた地元・中之条町に“恩返し”をしていきたいと思っています。

 
 ――期待しています。ありがとうございました。

 

宮﨑 信雄(みやざき・のぶお)氏
 1956年群馬県・中之条町生まれ。81年から四万温泉協会でメディアへの宣伝活動を展開。93年には事務局長就任。四万温泉への入込客数を飛躍的に伸ばした手腕を買われ、2008年6月群馬県観光協会(現・群馬県観光物産国際協会)観光部長就任。10年4月ぐんま総合情報センター「ぐんまちゃん家」所長に就任。群馬県各地の観光業者・行政が東京でメディア、旅行会社と交流しながら直接情報発信する「サロンドG」を開き、群馬県観光PRの拠点となった。20年4月同所アドバイザー。22年4月から現職。