東武トップツアーズ、支店と連携強化へ 「全国支援室」など新設

2022年12月20日(火)配信

2023年1月1日付で組織改正

 東武トップツアーズ(百木田康二社長、東京都墨田区)は2023年1月1日(日)付で組織改正を実施する。ポストコロナを見据え、全国支店との連携強化に向けた組織の再編成などを行い、事業構造改革を深化・効率化させて、顧客価値の最大化をはかる方針だ。

 ソーシャルイノベーション推進部内に、全国の自治体をはじめ、大会・MICE、宗教、万博など特定分野の営業推進を担う「全国支援室」を設け、全国支店との連携を強化。あわせて、「関連商品室」を設置し、新たな関連商品の開発や、全国支店への物品提供に関する機能を持たせることで、物販の基幹部署として体制の強化をはかる。

 東京支社内には、全国展開が必要な企業・法人営業の推進、連携、支援をはかる「コーポレート・マーケティング担当」を設置し、組織的な連携の強化をはかるとした。

 ニューノーマルにおける非対面での販売スタイルの浸透と店舗機能の見直しに伴い、「池袋アップルロード支店」は「池袋駅支店」へ、「草加駅支店」が「新越谷駅支店」への統合も行う。

 このほか、現在池袋と浅草の2事業所体制となっているTIC(ツーリストインフォメーションセンター)事業を1つに統合。「TIC東武」として、案内業務などの受託事業を柔軟に対応できる組織体制とする。

【PR】インタビュー「選ばれる地域であり続けるために」 八ヶ岳観光圏が取り組むサステナブル・ツーリズム

2022年12月20日(火)配信

観光地に求められるもの

 UNWTO(国連世界観光機構)が、「責任ある旅行者になるために推奨される具体的な行動例」のヒントにしているのは、「その土地の環境や文化等に配慮した旅行商品の利用」や「自然環境への負荷軽減を意識した行動」「地元産品の消費や購入」「旅行先でのポジティブな経験」など、ただ旅をするのではなく、環境や文化健康を意識した旅行プログラムの利用です。私たち、八ヶ岳観光圏(山梨県北杜市、長野県富士見町、原村)では、この世界ツーリズムの動向に対応するために「地域資源を活用したサステナブルな未来創造事業」に取り組んでいます。地域と来訪者の協働による取り組みで関係人口を増やす狙いも含まれています。

 これからの観光は、日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)の取り組みの「多様性」と「郷土愛」による関係人口の創出が重要になると言われています。持続可能というと「環境」を思い浮かべることが多いですが、「経済・社会」も持続可能である必要があります。

 現在、取り組んでいる事業も八ヶ岳の住民と訪問者が交流をしていくことを通じて、2拠点生活や移住も見据えたプログラムを開発しています。それはただ観光客に来てもらうということだけを考えているわけではありません。

 登山道を地域の人と協働して整備をする。八ヶ岳の自然を教材として親子で環境保全について学ぶ。耕作放棄地を解消するプログラムを提供する。このような取り組みを活用して、持続可能な地域の実現を事業者や来訪者それに地域が住民一緒になって目指します。

 また、(一社)八ヶ岳ツーリズムマネジメントだけでなく、住民や八ヶ岳事業者との協働があるからこの取り組みができています。私たちが採択を目指す「国補助事業」は、基本的には八ヶ岳観光圏内の事業者が既に取り組んでいることを後押しするような事業の申請を心掛けています。なぜなら、補助金欲しさに計画を書いて採択をされてから事業者を募るようなやり方では、補助金事業が終るとコンテンツの提供が止まってしまいます。持続可能ではありません。またサステナブルに私達だけが取り組んでいても、そうでない事業者がいると来訪者からするとチグハグに感じてしまいます。八ヶ岳の環境を守っていくことが事業者の収益になることに気づいてもらいながら、地域全体で仕組みをつくっていきたい。

 ただ、私たちはサステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)への取り組みをしていますが、まだ道半ばです。私自身も勉強している途中です。もしかすると今言っていることややっていることがこれから先変わっていくかもしれない。でも完成して、これでおしまいという取り組みではなく、継続・持続していくことがサステナブルと考えています。

話者:(一社)八ヶ岳ツーリズムマネジメント 代表理事 小林 昭治 (こばやし しょうじ)氏

HIS、企業ロゴ一新 経営軸にパーパス据える決意込め

2022年12月19日(月) 配信

3種の企業ロゴを用意した

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)は12月19日(月)、HISグループの社会における存在意義を示すために制定したパーパス「『心躍る』を解き放つ」を経営の軸に据える決意を込めて、企業ロゴを一新した。

 パーパスは12月15日(木)の決算会見で発表した。旅を通じて未知との出会いを解き放ち、常識を問い直してきた創業時からの軌跡と常に「挑戦者」であるという同社のアイデンティティを基に策定した。「これからも、あらゆる出会いとつながりを創出し、豊かでかけがえのない時間の創造と相互理解を促進することで、世界を近づけ、新たな価値を提供していく」思いを込めた。

 また、これまでの理念体系も見直し、HIS Group Philosophyにまとめた。「創業の精神」を基盤に社会に対する行動規範としての「行動憲章」を守りながら、パーパスを実現するために、バリューを実行していくことを定めた。

HIS Group Philosophyのイメージ

 バリューは、「挑戦は夢中で追いかけられる冒険か」や「どんな状況においても常にプラス思考で行動できているかなどを従業員に問う。

 ロゴにはパーパス「『心躍る』を解き放つ」を併記。また、旧ロゴの背景にあった図形を外したデザインに変えた。外形に囲われていた状態を「解き放つ」ことで、パーパスを表現している。

HISの旧ロゴ

 矢田社長は「創業40年を迎えた2020年にコロナ禍に見舞われ、これを機として将来構想の策定に着手した」とコメント。最終的なゴールとして、「パーパスを意識した行動を自発的に実践するスタッフを輩出する」こととした。

11月の宿泊業倒産は6件 年間件数、コロナ禍以降最少の見込み(東京商工リサーチ)

2022年12月19日(月) 配信 

東京商工リサーチはこのほど、2022年11月の宿泊業倒産を発表した

 東京商工リサーチがこのほど発表した2022年11月の宿泊業倒産は6件(前年同月は4件)だった。負債総額は前年同月比143.6%増の14億8400万円となり、倒産件数と同様に4カ月ぶりに前年同月を上回る結果となった。

 一方で、22年1~11月の累計件数は71件で、前年同期の82件を下回っている。1~12月の年間で見ると、2年連続で100件を下回り、同社は、「20年のコロナ禍以降で最少となる可能性が高まっている」と分析した。

 新型コロナ関連倒産は5件だった。

 地区別では中部が2件、東北・関東・近畿・中国が1件ずつ発生した。

 おもな倒産事例では、しなの木温泉(長野県上田市)が11月10日(木)、長野地裁上田支部から破産開始決定を受けた。負債総額は2億1900万円。

 同社は創業当初、旅館を運営していたが、1990年には5階建てのビジネスホテル「上田西洋旅籠館」を新設し、2002年には日帰り温泉施設「ひな詩の湯」を開設した。ピーク時の1994年12月期には売上高約2億2700万円を計上していたが、その後は徐々に客数が減少し、新型コロナ感染拡大の影響を受けて稼働率が低下した。

 22年5月期には売上高約1億1000万円まで落ち込み、新型コロナ関連融資の返済目途も立たないことから事業継続を断念した。

 地場の建設会社の関連企業として島根県江津市内で「リゾートホテルブルーベイ」を運営していたブルーベイ(島根県江津市)は11月2日(水)、松江地裁浜田支部から破産開始決定を受けた。負債総額は4億円。

 新型コロナ感染拡大以降、観光需要の低下に伴い稼働率が落ち、このなかで関連会社のサンリゾートとサングリーン開発が22年7月に破産開始決定を受けたことで、同社も今回の措置となった。

 また、22年11月の旅行業の倒産は、4件発生した。22年1~11月の累計倒産件数は前年同期比37.9%減の18件。22年通年(1~12月)でも前年を下回ることがほぼ確実となり、20年以来、2年ぶりに通年で20件台にとどまる見込み。

 負債総額は前年同月比65.2%減の3億4700万円だった。

JTB、海外出張の宿泊代 一括後払いサービス始める

2022年12月19日(金)配信

「Hotel Billback」利用の流れ

 JTBグループはこのほど、JTBが発行するマスターカードのバーチャルクレジットカードナンバー(VCN)によるホテル予約、精算代行のサービス提供を始めた。これにより、ホテル予約から精算までをワンストップに行うことが可能となり、海外出張時の利便性が高まるとした。

 提供会社は、ビジネストラベルマネジメントと出張・経費精算管理ソリューションを提供するJTBビジネストラベルソリューションズ(JTB-CWT)と、企業に対する金融・決済サービスを提供するJTBビジネスイノベーターズ。アマデウスITグループが開発する「Conferma」搭載のホテルペイメントプラットフォーム「Hotel Billback」を日本で初めて導入し、VCNを活用してホテル決済を安全かつ効率的に行う。

 今回、従来海外ホテル手配で課題だったホテル代金の現地払い(出張者の立替)を、航空券と同じく後払いによる企業一括精算で行いたいという強い要望に応え、JTB-CWT契約企業を対象に同サービスを始めた。

 Hotel Billbackを導入することで、出張者のコーポレートカードや個人クレジットカードを利用することなくVCNにて予約でき、ホテル代金の精算までを完了できる。

 さらに、利用制限を掛けたVCNを決済に利用することで、クレジットカード情報の漏洩、紛失による不正利用のリスクなどを軽減。加えて、航空券とホテル手配を同じ旅行管理会社に依頼すれば出張者の旅程と滞在先情報が一元化され、管理者による出張一括管理(BTM)が行える。

【PR】移住者No.1の地域、八ヶ岳観光圏が登山道整備を観光プログラムとして提供を始める

2022年12月19日(月)配信

登山愛好者自ら登山道を整備することで地域への愛着が生まれる

 八ヶ岳観光圏(山梨県北杜市、長野県富士見町、長野県原村)は、観光庁のサステナブルな観光コンテンツ強化モデル事業で「登山道整備」や「人と自然の出会いの場づくり」に取り組んでいる。

 八ヶ岳ではこれまで、登山のインフラである登山道の整備を、行政の予算や登山道を整備する事業者などの負担で行ってきた。それを登山愛好者が体験費を支払って行う、サステナブルな観光コンテンツプログラムとして開発。新しい取り組みとして注目されている。参加者がプログラムの中で整備できる登山道の長さはたった2メートルだが、自分たちの手でつくった登山道を八ヶ岳の山好きの人たちが利用し続けるということで地域に愛着が生まれ、地域との関係がつくられていく。地域住民だけでなく地域への来訪者も加わり、共同で地域の観光資源を保護する試みだ。

 また、「生物多様性を学べるオープンソースの教育プログラム」「里山景観保全の取り組みと継承」「耕作放棄地の解消を活用した畑のプログラム」など、サステナブルツーリズムのコンテンツをプロデュースしている。

耕作放棄地の解消を活用した畑のプログラム

 この取り組みを先導する(一社)八ヶ岳ツーリズムマネジメントの小林昭治代表理事は「これらのサステナブルな観光コンテンツプログラムでは、リピーターを増やし八ヶ岳に愛着を持つ人を増やすことで地域の関係人口・交流人口を増やしていくことつながることが大事。そして愛着をもった来訪者が2拠点生活や移住へとつながっていくことで持続可能な地域となっていく。1世帯が移住をすると年間400万円の経済効果があり、八ヶ岳の平均消費単価が約2万7000円なので、148人分の観光客が毎年訪れることと同じ価値がある。選ばれる地域であり続けるためには、観光地の住民を巻き込み、住民との関わりを創ることが大切。世界のツーリズムの動向は、SDGsへの貢献とサステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)の推進による、世界の観光客に選ばれる観光地づくりの時代になった」とコメントした。

(一社)八ヶ岳ツーリズムマネジメントの小林昭治代表理事

 山梨県北杜市は、都会からの移住先として非常に人気が高くこうした移住ランキング上位の常連。「田舎暮らしの本」(宝島社)の「住みたい田舎」ランキングでは、2018年度に総合1位となっている。こうした移住の成果には、八ヶ岳観光圏が「住んでよし、訪れてよし」をテーマとして魅力ある観光地への挑戦をしてきたという背景がある。

問い合わせ=(一社)八ヶ岳ツーリズムマネジメント 電話0551(48)3457

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(215)」軍港クルーズサミット(神奈川県横須賀市)

2022年12月18日(日) 配信

横須賀軍港めぐり(トライアングル)

 12月初旬、横須賀市浦賀にある「赤煉瓦ドック」で、珍しい「クルーズサミット」が開催され参加した。旧鎮守府4都市(横須賀市・呉市・佐世保市・舞鶴市)それぞれに、個性的な「軍港クルーズ船」が就航しており、今回はその4港の関係者が集まる初めてのシンポジウムであった。

 この「鎮守府」の物語(日本近代化の躍動を体感できるまち)は、2016年に日本遺産に認定され、以来、旧軍港市日本遺産活用推進協議会を核に、それぞれの都市の個性を生かしながら多様な連携事業を展開している。

 例えば、海軍の港まちスタンプラリーや、毎年10~12月に掛けて実施される「日本遺産WEEK(22年度からMONTHに名称変更)、各市にある高専(一部大学)関係者による学術交流会や、各市のガイドがそれぞれの経験を交流する「ガイド交流会」などである。

 しかし、これらの事業は、どちらかと言えば行政主導であり、これからは各都市の民間事業者による連携が求められていた。

 今回は「YOKOSUKA軍港めぐり」を主催するトライアングルが各都市に呼び掛け、呉市の「呉湾艦船めぐり」(バンカーサプライ)、佐世保市の「SASEBO軍港クルーズ」(安栄丸水産・佐世保観光コンベンション協会)、舞鶴市の「海軍ゆかりの港めぐり遊覧船」(まいづる広域観光公社)ら関係者がこれに応じた。

 各軍港クルーズは、旧鎮守府時代からの共通の地形を舞台に、それぞれの港ごとの特色を生かしている。横須賀と佐世保は戦後、米軍基地が置かれ、湾内の中心部に米軍の空母やイージス艦などが停泊している。呉港は何といっても大和ミュージアムが起点であり、当時の大屋根が残る戦艦大和の建造所を見ながらの航海が魅力的。また、舞鶴は赤煉瓦倉庫群(現在は赤れんがパーク)から発着するクルーズで、静かな湾内ののどかなクルーズが魅力的である。

赤煉瓦ドック内に仮設舞台を設置して開催

 サミットでは、各港クルーズ担当者から、それぞれの港のクルーズの特色や魅力、他のクルーズにない自慢などをお話しいただいた。これまで関心はあったものの他都市の軍港クルーズの話を間近に聞くのは新鮮であり、各クルーズ当事者も真剣に話を聞いておられたのが印象的であった。当日は、ゲストとしてお招きした日本旅客船協会「船旅アンバサダー」の小林希さんを交えて、楽しいトークを展開した。

 今回の会場は、最近、住友重機械工業から移譲された明治32年建造の横須賀赤煉瓦ドック内で、これも誠に魅力的であった。全長180メートル、深さ10メートルの巨大な赤煉瓦ドックは、いまや世界に5つしか残存しない貴重な文化財である。

 各地でクルーズが大きな注目を集めるなか、遠く離れた地域の民間企業による自発的な試みは、今後の民間企業による事業連携の大きな弾みとなろう。大いに期待したい。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

「観光人文学への遡航(30)」 秘密曼荼羅十住心論②

2022年12月17日(土) 配信

 空海の主著「秘密曼荼羅十住心論」「秘蔵宝鑰」に書かれてあるのは、人間の心を十段階に分け、低い段階から高い段階へと向上するようすである。先月からこの秘密曼荼羅十住心論を具体的に読み解いている。

 

 第一住心は、欲望に従ってのみ生きている動物と同じ状態、第二住心は、道徳心は出てきたが、人から評価されたいという子供じみた自己顕示欲にあふれた状態、第三住心は、宗教心は芽生えてきたものの、癒しや安心感を求めている幼児的な状態を表している。そして、第四住心から仏教境地に入っていく。

 

 第四の唯蘊無我心とは、我をなくして生死輪廻から解脱して涅槃を実現する立場である。蘊とは積み集められた物のことで、唯蘊とは、文字通りただ物のみが実在するのだという意味である。

 

 今まで自分の幸せを追求してきたが、果たして自分というものは何者なのか、自分という存在は本当に存在しているのかと問うことにより、今までの自分の行動を客観視してみると、極めて自己中心的だったことに気づく。ほめてもらうため、評価されるためだけに生きてきたことや、宗教心のようなものが芽生えていたとしても、それは神仏に救われているという小児的な感覚に酔っていただけだったということに気づき恥ずかしくなるはずだ。

 

 これが他の宗教と仏教との大きな違いであり、仏教の導入的考え方である。我欲を捨て去ることにより、輪廻転生から解放されるのだ。

 

 第五の抜業因種心は、生死輪廻の苦しみの根本原因となる無明を退治するために修行を続け、涅槃を実現していく段階である。

 

 無明とは、無知による迷いの中にいる状態を言う。無明こそが人間の苦しみの根源であり、この無明の種を抜くことで、悪業の原因がなくなることになる。現世が不幸なのは過去の悪業のせいであり、現世で悪業を積み重ねていると、来世ではさらに不幸な境遇の許に転生する。そのような生死輪廻こそが苦であり、その輪廻から解脱し、静寂なる涅槃に至るために、その根本原因となる無明を取り去るのである。

 

 第三住心はバラモン教がこれに位置づけられるとされているが、現在もカースト制度が色濃く残るヒンドゥー教もこの生死輪廻が教義の中心となっているが、第四住心以降で説明されている仏教は、その生死輪廻の状態から解脱することを追求するのである。

 

 しかし、これらもすべて自分が涅槃に至ることを目的としているということは、結局自利の追求にとどまっている。第四住心、第五住心は小乗仏教を表しているのだが、文字通り、自分だけが乗ることができる小さな乗り物を作るのが小乗仏教で、ほかの人も乗せることができるのが大乗仏教である。次回以降は、大乗仏教の境地を紐解いていく。

 

島川 崇 氏

神奈川大学国際日本学部・教授 島川 崇 氏

1970年愛媛県松山市生まれ。国際基督教大学卒。日本航空株式会社、財団法人松下政経塾、ロンドンメトロポリタン大学院MBA(Tourism & Hospitality)修了。韓国観光公社ソウル本社日本部客員研究員、株式会社日本総合研究所、東北福祉大学総合マネジメント学部、東洋大学国際観光学部国際観光学科長・教授を経て、神奈川大学国際日本学部教授。教員の傍ら、PHP総合研究所リサーチフェロー、藤沢市観光アドバイザー等を歴任。東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程満期退学。

アニメ聖地88(2023年版)発表  原画展示のミュージアムなど加わる(アニメツーリズム協会)

2022年12月16日(金) 配信

受賞した各自治体の関係者や主催者など

 アニメツーリズム協会(富野由悠季会長)は12月16日(金)、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2023年版)」を発表した。新しい聖地に愛知県豊田市の「シキザクラ」のほか、施設としてアニメの原画を展示している「進撃の巨人 in HITA ミュージアム」(大分県日田市)など13カ所が加わった。今年は、作品の舞台・モデルとして117カ所、施設・イベントに27カ所が選出されている。

 投票は世界のアニメファンを対象に2022年6月1日(月)~9月30日(金)まで、全国160カ所に設置した投票箱とWebで募った。全世界から約11万票が集まった。これらの結果から、著作権者やアニメ聖地候補の地方自治体、観光協会などと協議し、88作品から聖地を決定した。

 同日に東京都内で開かれた発表会で、アニメツーリズム協会の石川和子理事長は今年、理事長に就任したことに触れ、「日本動画協会の理事長を務めるなどアニメ制作に関わってきた経験を生かし、アニメツーリズムの発展に努めたい」とした。ウィズコロナ時代でアニメを見る人が増えたため、「アニメを通じて、日本の魅力を世界に発信することの重要さが増している」と語った。

HIS連結、当期純損失は102億円 ハウステンボス売却益で約400億円赤字縮小

2020年12月16日(金) 配信

会見のようす

 エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)が12月15日(木)に発表した2022年10月期(21年11月1日~22年10月31日)連結決算によると、ハウステンボスの売却益545億円を計上し、当期純損失は102億円と前年同期から赤字幅を398億円縮小した。

 同社は今期から、燃油サーチャージや空港使用料などを除いた会計基準に変更した。この会計基準に則った売上高は1427億9400万円。人件費や広告費など販管費を削り、コスト削減に努めたが、営業損失は479億3400万円、経常損失は490億100万円。当期純損失は95億4700万円。

 旧基準では、売上高が前年同期比120・0%増の2603億5000万円、営業損失は485億9200万円(前年同期は640億5800万円の損失)、経常損失は496億600万円(同632億9900万円の損失)。

 事業別では旅行事業の売上高が、同320・0%増の1805億7400万円、営業損失は292億6100万円(同383億3600万円の損失)。水際対策の緩和を受け、5月から海外ツアー再開したほか、行動制限が解除で国内旅行の需要が増加したことなどで改善した。

 一方、主力の海外旅行事業で国際線の座席供給数が7割まで回復していないことから、本格的な回復には至らなかった。

 ホテル事業の売上高は同93%増の92億円と大幅に増収した。営業利益は41億円(同58億円の損失)と増益となった。九州産交グループの売上高は同16%増の190億円。営業損失は16億円(同27億円の損失)だった。いずれも行動制限の緩和が主な要因。

 同日に行った会見で矢田社長は「国内と海外は回復基調に転じた。コストの削減を徹底し、売上を最大化しながら、両事業でシェアを拡大していく」と話した。

矢田素史社長

 澤田秀雄会長は「日本の海外旅行市場の回復は欧米から6カ月ほど遅れている」との認識を示し、「来年は本格的に需要が戻ると予想している。全社一丸で黒字化を目指す」と語った。

澤田秀雄会長

 同社は決算内容を踏まえ、今後安定した経営体制を構築するため、飲食や人材派遣、自治体事業の運営支援など非旅行事業の売上と利益を伸ばし、中長期に旅行関連事業と非旅行事業の利益率を今期の8:2から1:1にすることを目指す。

 また、会社の原点を確認するパーパスとして「『心躍る』を解き放つ」を設定。

 矢田社長は「出向や休業などでバラバラになった社員の気持ちを1つにする」と目的を説明。今後、企業ロゴも刷新することも発表した。

 そのうえで、店舗を閉鎖し、固定費を削るほか、事業資産の売却などで徹底的なコスト削減にも努める。

コロナ禍前の業績上回るのは2025年度

 また、旅行事業は25年度に19年度上回ると予想。主力の海外事業では、旅ナカで感染した際に、入院や帰国便の変更手配を行う旅行安心パックの提供などで、需要を喚起していく。国内は航空機を利用する利益率の高い方面として、沖縄に注力。レンタカーが不足するなか、独自仕入で在庫を確保し、集客に努める。

 販売チャンネルについては、インターネットの比率を高める。店舗は減らし、コロナ禍前の業績を超えると見込む25年度には売上全体の2割程度になる見込みだという。

 矢田社長はこれまで、社会で「海外旅行のHIS」との認知が広まったことから、「国内旅行もHISを目指す」と語った。

 なお、新型コロナウイルスや燃油サーチャージ、円安の見通しが不透明であることから、23年10月決算は、未定とした。